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トヨタ、2015年3月期第3四半期決算を発表。通年の営業利益見込みを2兆7000億円と上方修正

リーマンショック以降、過去最高の営業利益を達成

2015年2月4日開催

決算の発表を行う、トヨタ自動車 常務執行役員 佐々木卓夫氏

 トヨタ自動車は2月4日、2015年3月期 第3四半期決算を発表。売上高は7兆1700億円(前年同期比8.9%増)、営業利益は7628億円(前年同期比27%増)、純利益は6000億円(前年同期比14.2%増)となった。また、第3四半期の累計(4月~12月)では、売上高20兆1156億円(同5.2%増)、営業利益2兆1148億円(同13.9%増)、純利益1兆7268億円(同13.2%増)となっている。好調の要因としては、前提為替レートの見直しや原価改善活動、営業利益の改善活動、固定費の圧縮などが挙げられる。これはリーマンショック以降、過去最高の営業利益となる。

 第3四半期(10月~12月)の3カ月累計の連結販売台数は、北米や欧州などは増加したものの、日本やアジアでの減少により、前年比5万4000台マイナスの226万3000台になった。なお、グループ全体では4万7000台増加の261万5000台となった。内訳として、日本国内では、エスクァイアやレクサスなどの販売が牽引したものの、消費増税の影響で販売台数は4万2000台減。また、北米では、ハイランダーやタコマの売り上げが好調で4万8000台増、欧州では東欧やロシアでの販売減少により3000台減、東南アジアではタイや競合が厳しいインドネシアの販売の減少により4万8000台減、その他の地域ではオセアニアや中近東で販売が伸びたもののアフリカや南米での販売数減少により9000台の減少となった。

2015年3月期 第3四半期決算 連結販売台数
連結決算要約
連結営業利益 増減要因
連結決算要約(9カ月)
連結営業利益 増減要因(9カ月)
営業利益 日本
営業利益 北米
営業利益 欧州
営業利益 アジア
営業利益 中南米など
金融セグメント 営業利益
持分法投資損益

 2015年3月期の見通しとしては、販売台数は5万台減の900万台。これは北米は増加が見込まれるが、日本や欧州、アジアが引き続き減少するためとみている。対して、売上高は5000億円増の27兆円、営業利益は2000億円増の2兆7000億円、営業利益率は10%、純益は1300億円増の2兆1300億円を見込んでいる。なお、この予想の前提為替は米ドル109円、ユーロ139円としている。研究開発費は200億円増、設備投資は200億円増、減価償却費は100億円増を予定している。

見通し 連結販売台数
見通し 連結決算要約
見通し 連結営業利益 増減要因
見通し 研究開発費など
見通し グループ販売台数
連結とグループの数字の違いについて

 会見の結びとして佐々木氏は「持続的成長に向けて競争力を強化していく。2014年には新たなモビリティ社会を実現する燃料電池車『ミライ』を発売。また、世界トップレベルの性能の予防安全技術を開発パッケージ化した『Toyota Safety Sense』を2017年度末までに日本や北米、欧州などの全ての乗用車に設定する。これからもお客様に笑顔になっていただく魅力ある製品を届けるために、開発体制の強化や1000万台を支える経営基盤の構築に向けて1歩1歩着実に取り組みを進めていく。そのための活動のひとつひとつが持続的成長のための真の競争力強化に繋がり、さらには日本経済の好循環にも結びつくようトヨタとして最善の努力をする」と語った。

 さらに記者からの質疑応答として「リーマンショック前と比べて、今回の最高益は円高の厳しい環境のなか、仕入れ先をも含めたオールトヨタが一丸となって原価改善などに取り組んだ成果が出ている。仕入れ先、販売店、トヨタ全社員に感謝したい、さらにトヨタを選んで頂いた全世界の人に感謝したい。また新興国での販売台数の減少については、東南アジアはタイなどで減速感があるが、中期の目線では人口が多く所得も延びているので、販売台数は戻ってくるだろう」とのこと。

 さらに、営業利益10%を達成した取り組みとして「いかに既存の工場設備の稼働率の向上や生産効率の向上をするかがポイント。これにより、固定費を抑え、粗利を改善する取り組みをしている。また、為替に頼らない経営基盤を作る取り組みをした結果である。また、トヨタとして中長期の成長を第一と考え、国内生産300万台体制の維持と雇用の確保を軸に、仕入れ先と表面的な価格の議論をするだけではなく、モノ作りの競争力をいかに高めていくかを考えて取り組んでいる。さらに、デフレ脱却のため企業としてできることを考えて実行し、二次、三次の取引先を活性化させ、日本経済の好循環に繋がっていくように勤めていく」と語った。

 業績改善による、還元施策としては「企業の業績が改善したならば、まずは税金を納めることに貢献する。また収益を従業員の報酬として還元するのも会社として当然である。春闘のベースアップに関しては、労働組合から正式な申し入れがあり次第、議論していく。いままで継続的に取り組んできた国内のモノ作りと雇用をしっかり守り、従業員の労働条件を改善し、国際競争力を高め、日本経済の好循環に寄与するため、労働組合と議論をつくしていく」と結んだ。

(シバタススム)