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三菱自動車の燃費不正行為、相川社長「いい燃費に見せるための操作があったことは確か」
(2016/4/21 16:55)
- 2016年4月20日 発表
三菱自動車工業は4月20日、同車製軽自動車62万5000台について、型式認証取得時に同社が国土交通省へ提出した燃費試験データに不正があることを公表。同社取締役社長 相川哲郎氏、同取締役副社長 中尾龍吾氏、同執行役員 開発本部長 横幕康次氏が出席する記者会見を実施した。
今回の発表では、対象車両の型式認証所得に際し、燃費を実際よりもよく見せるため不正なデータ操作が行なわれていたことが判明するとともに、国内法規で定められた試験方法と異なる試験方法が採られていたことも判明している。
排出ガスや燃費性能を計測する台上試験では、シャシーダイナモで走行抵抗負荷を再現するために走行抵抗値を入力する必要があるという。走行抵抗値はメーカーからデータが提出され、そのデータをもとに燃費試験が実施される。
まず、開発本部長の横幕氏の説明では、国が定めた測定方法の「惰行法」に対して、同社が「高速惰行法」と呼ぶ試験方法の存在を認めた。
横幕氏の説明によると「惰行法」はある一定速度からギヤをニュートラルにして速度の変化を見るというもので、例えば「惰行法」では90km/hから10km/h減速して80km/hになるのに何秒かかるのかといったことを計測するのに対して、「高速惰行法」では1秒間の間に何km/hスピードが減速するのかをみる違いがあるという。
今回不正を認めた62万5000台の燃費試験では、法律に定められた測定方法の違いに加えて、国交省に提出する走行抵抗値をもとめる際に、通常であれば計測したデータの中央値を捉えるところを、データの下限を捉えて燃費値をよくみせる不正な操作が行なわれたという。
同社取締役副社長の中尾龍吾氏は「現在、正しい走行抵抗値で再試験をしている最中。(JC08モード)燃費値の乖離の割合は5%~10%程度の影響があるとみているが、いずれにしても最新の数値を国土交通省に提示する予定」と話した。
また、相川社長は「この操作は意図的なものであると考えている。その理由は現在調査中であるが、いい燃費に見せるための意図があったことは確か。私としてはこの件は把握していなかったが経営として責任を感じている。まずはこの問題を解決する。そして再発防止のため道筋をつけることが私が責任を果たすこと。それ以上のことは考えていない」との考えを示した。
今回の不正発覚の経緯は、次期車の開発にあたり日産自動車が現行車である該当車の燃費を参考に測定したところ、届出値との乖離があり、三菱自動車が試験で設定した走行抵抗値について確認を求められた。これを受けた三菱自動車による社内調査の結果、実際より燃費に有利な走行抵抗値を使用した不正が明らかになった。
該当車は、2013年6月から生産している「eKワゴン」「eKスペース」と、日産自動車向けに供給している「デイズ」「デイズルークス」の計4車種。これまでに三菱自動車は計15万7000台を販売、日産自動車向けには計46万8000台を生産している(2016年3月末現在)。現在、該当車は生産と販売を停止。日産自動車でも販売を停止しており補償についても今後、協議するとしている。
今後のユーザーに対する保障について、中尾氏は「社内でどういうことをしていけばお客様に納得していただけるか検討を始めた段階。今後どのようなことをやる必要があるのかを決めてお客様に案内していきたい」と述べるとともに、エコカー減税に適合しないモデルについては、減税分の返納等など対応をしていく考えを示した。