スバル、「インプレッサXV」発表会で新型車のシルエット
アウトバック、XV、そしてもう1つの新型車を新体感SUVとして訴求

「インプレッサXV」新車発表会

2012年9月25日開催



 スバル(富士重工業)は9月25日、「インプレッサXV」の新車発表会を開催した。インプレッサXVはインプレッサスポーツをベースに意匠変更を行うとともに最低地上高を200mmまでアップしたクロスオーバーSUVで10月5日の発売となる。車両の詳細は関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120925_561090.html)を参照頂きたい。

 黒いマントをまとった大勢のダンサーによるパフォーマンスで幕を開けたインプレッサXVの発表会。最後にダンサーがマントを脱ぐと下に様々なスポーツウェアを着ている。「Urban Adventure(アーバンアドベンチャー)」という商品コンセプトと、インプレッサXVの持つスポーティでアクティブなイメージを前面に押し出した演出だ。

インプレッサXV発表会の模様。ダンサーがマントを取るのと同時にXVもアンベールされた
富士重工業 執行役員 国内販売営業本部長 飯田政巳氏

 壇上に立った富士重工業 執行役員 スバル国内営業本部長の飯田政巳氏によれば、インプレッサXVの商品コンセプトは「Urban Adventure」だと言い、「スポーティーでアクティブなライフスタイルに似合う今までにない新しいタイプの商品。国内販売をあずかる私としても、エコカー補助金が先週末で終了し、その反動が予想されるまさにこの時期に、スバルのブランド目標である安心と楽しさをこれほどまでに具現化した新商品をラインアップに加えられることに、悦びと拡販への大きな期待を抱いている」と述べた。

 XVのベースとなるインプレッサについては「昨年11月の発売以来、累計4万5000台を越える受注を頂いている」と言い、これは計画台数の2倍を越えるものだとした。この好調について「スバルの特徴である水平対向エンジンを時代に即した新世代ボクサーとし、新しいCVTと合わせて環境対応をしっかりと進めたこと。加えてぶつからないクルマでおなじみの運転支援システムEyeSightを展開したことが大きな要因だと思う」とした。

 インプレッサXVについては、さらにスバルの安心と楽しさを具現化した商品だと言い、より進化したシンメトリカルAWD、新世代ボクサーエンジン、そしてEyeSightなど、「スバルの先進技術を全て盛り込んだ今までにない全く新しいクロスオーバーSUVとなった」とした。また、インプレッサXVのコミュニケーションコンセプトは「a newtype」とのことで、「今までにない新しいカテゴリーのクルマとして、都市型のスポーティなライフスタイルを持つお客様が、アクティブギアとして活用し、わくわくするようなライフイズカーを送っていただけたらうれしく思う」と述べた。

 さらに「このインプレッサXVと、すでに発売中のレガシィアウトバック、さらにもう1つの新型車を加え、スバルが提案するニュータイプのSUVをSUBARU新体感SUVシリーズとして全面的に訴求していきたい」と発言。同日から新体感SUV特設サイトも設けるとした。映像でももう1つの新型SUVはシルエットのみの登場だったが、スバルのラインアップでもう1つのSUV、さらにモデルチェンジの時期を考えると、新型フォレスターの登場が近いことを指しているのかもしれない。

スバルの現在のブランドステートメントは「Confidence in Motion」インプレッサXVのコミュニケーションコンセプトは「a newtype」SUBARU新体感SUVシリーズと呼ばれる3台。右端の1台は次期フォレスターだろうか?

 続いてスバル商品企画本部プロジェクトゼネラルマネージャーの竹内明英氏が登壇し、インプレッサXVの商品説明を行った。

 竹内PGMは最初に「SUVというカテゴリーは荒れた路面や急な登坂路への進入を可能とするために、地上高を高める必要があり、車両の重心は高くなりがちです。しかし、シンメトリカルAWDを持つスバルはクロスオーバーSUVというカテゴリーにおいて、独特のレイアウトを活かしながら低重心設計を徹底的に追求した結果、オンロードでの運動性能と、十分な地上高によってもたらされる走破性とを高い次元で両立させることを目ざし実現させてきた」と述べ、1995年にはレガシィをベースにしたグランドワゴン、1997年にはフォレスターの発売など「クロスオーバーSUVという新しいジャンルの開拓をしてきた」とした。

富士重工業 スバル商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャー 竹内明英氏ツーリングワゴンの火付け役となった2台目レガシィをベースにしたグランドワゴン。後にランカスター、アウトバックと名前を変えている現在のスバルの3本柱の1つであるフォレスターは1997年に登場

 インプレッサXVは、すでにヨーロッパ、オーストラリア、中国、ロシア、先月からは北米でも発売を開始。グローバルにおけるインプレッサシリーズの販売台数は、XVも含め今年度だけで約6万4000台。これは前年同期比185%になると言う。そのうちXVが26%を占めると言い、この状況について竹内氏は「これはダウンサイジングへの傾向やエコへの関心が高まっている中、ベストバランスのクルマとしてスバルXVを含めインプレッサ全体が認められている証と捉えている」と述べ、日本市場においてもダウンサイズ、エコという観点でクルマ選びの傾向は変わらないものだと思っているとした。

 また、インプレッサXVの商品コンセプトであるUrban Adventureについて「ここで言うアドベンチャーは道なき道を行くようなアドベンチャーを意図したものではない。日本は成熟した自動車社会。どこに行くにも便利でどこにいっても舗装されているといった都市的な生活を送っている。そこからいつもの生活がちょっと刺激的になる。いつもの街がちょっと違って見える。週末の遠出が楽しみになる。何か新しいことにチャレンジしたいという気持ちを高揚させる。そういう意味でのアドベンチャーをイメージしている。インプレッサXVを所有していただくお客様にワクワクする気持ちを感じてもらえるようなクルマにしたいという思いをアーバンアドベンチャーというワードに込めてきた」と述べた。

インプレッサシリーズは、4ドアのG4、5ドアのスポーツ、そしてXVからなるインプレッサシリーズ全体の今年度の販売状況は前年同期比185.4%の6万4000台。そのうち25.7%をXVが占めるシティユースで楽しさを味わえるインプレッサXVのコンセプト「Urban Adventure」

 デザインについては「スタイリッシュでスマートな都会的なフォルムとSUVの機能性、力強さを併せ持ったスタイル。例えば独創的なデザインのアルミホイールや専用にデザインされたバンパー、SUVらしさと楽しさを表現している。200mmという十分な地上高と、スリムなボディーシルエットがかもしだすスポーティでコンパクトなたたずまいが、新しいクロスオーバーSUVの姿を提案する」とした。また、ボディーサイズについて、「移動先での駐車スペースの確保はどこにお住まいの方でも大切なこと。車高を1550mmに抑えつつ乗り降りのしやすさにも配慮したパッケージングは日本における日常の便利さを考えたもの」とした。

 環境性能では、第三世代の水平対向エンジンとリニアトロニックCVTを組み合わせたパワートレインを搭載し、さらに走行抵抗の低減などによりクラストップレベルの燃費性能を実現。安全性能ではスバルがこれまで取り組んできた高いアクティブセーフティ、パッシブセーフティの性能を持つとともに大変好評な先進運転支援システムであるEyeSight(Ver.2)も発表と同時にラインアップしたと言う。

 インプレッサXVは、210万円台から始まるベーシックグレードからEyeSightを搭載したモデルまで全3グレードで展開。専用色としてタンジェリンオレンジ・パールとデザートカーキを加えた全9色の設定。

専用のバンパーやホイールなどによりスマートで力強いデザインとした地上高の高さに対し乗用車ボディーの薄いシルエットが新しいバランスを産んだと言う日本仕様では、最低地上高200mmという本格的な走破性を持ちながら、ルーフレールレス車では1550mmという全高に抑えている
新世代ボクサーエンジンとリニアトロニックCVTの組み合わせによりクラストップレベルの低燃費15.8km/Lを実現レガシィなどでも定評のある安全性能に加え、最初からEyeSightモデルをラインアップ全3グレードで価格は219万4500円~246万7500円。約10万円でEyeSightが付けられる計算だ

 竹内氏はインプレッサXVについて「SUVを初めて検討される若いお客様や女性の方、ミニバンを卒業されたお客様などに選んでいただきたい」(竹内氏)と締めくくった。

ボディーカラーは専用色のタンジェリンオレンジ・パール専用デザインとなったフロントバンパー
ホイールアーチやサイドシルにクラッディングを設けSUVらしい力強さを表現。ホイールも専用デザインだルーフレールは全グレードでオプション設定リアバンパーも専用デザインだ
インパネ。キーレスアクセス&プッシュスタートやアルミペダルは2.0i-L以上に標準設定ファブリック/トリコットのシート。2.0i-L以上で運転席がパワーシートとなり、ブラックレザーセレクションがオプション設定6:4分割可倒式のリアシートやラゲッジの広さ、ユーティリティ性能はベースのインプレッサスポーツに準ずる
エンジンは全グレード共通で2.0リッターDOHCの水平対向エンジンを積む。トランスミッションもリニアトロニックCVTのみだサスペンションを長くすると共にサブフレームとボディーの間にゲタを噛ませてリフトアップ。また、リアのマルチリンクの1つが専用設計となっている最低地上高200mmと4WDが組み合わさればかなり高い走破性が期待できる

(瀬戸 学)
2012年 9月 26日