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ボルボ、Cセグメントに“ガチンコ勝負”の「V40」発表会

世界初「歩行者エアバッグ」採用

2013年2月19日開催

 ボルボ・カー・ジャパン(ボルボ・カーズ・ジャパン)は2月19日、同日発売の「V40」の発表会を、都内で開催した。V40のスペック等は関連記事も参照されたい。

ジャーマンのプレミアム・ブランドとガチンコで

若林ディレクター。手で示している部分が、1960年台のボルボ P1800などから引用されたショルダーラインのキックアップ

 同社は「850」を「ハチ・ゴー・マル」、「V70」を「ブイ・ナナジュー」といったように、数字は日本語で読んできたが、「V40」は「ブイ・ヨンジュー」ではなく「ブイ・フォーティー」と呼ぶ。

 同社マーケティング部の若林敬市ディレクターはボルボ・ブランドのエッセンスを「DESIGNED AROUND YOU」(ボルボの全てはあなたの為にデザインされている)と紹介。その要旨を「スカンジナビアのスタイリッシュなデザインとラグジュアリネス(贅沢さ)をもって、ひとりひとりの個性にフィットするクルマを作っていこう、という姿勢」と説き、「ヴイ・フォーティー」という呼び方についても「“DESIGNED AROUND YOU”をしっかり具現したクルマということで、あえてフォーティーと日本語でも呼んで行きたい」とした。

 「プレミアム・スポーツコンパクト」と銘打たれたV40の“売り”は、満載された安全技術と、スポーティーはドライブフィール、そしてスカンジナビアンデザインが高品質で手に入り、「ボルボ史上最良の燃費」と言う環境性能。

 これまでボルボは、このセグメントを3ドアの「C30」、4ドアセダンの「S40」、5ドアワゴンの「V50」の3台で構成していたが、V40はこの3台を統合したモデルになる。

 若林ディレクターは「輸入車の最大マーケットであるCセグメントに本格的に参入する。C30という3ドアのクルマがあったが、これ(V40)は5ドア。ジャーマンのプレミアム・ブランドとガチンコでいく、という決意」と語った。

1.6リッターの直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載。アイドリングストップ機構や電動パワーステアリング、スポーツモード付きデュアル・クラッチ・トランスミッションはボルボ初の装備だ。ブレーキエネルギー回生などと組み合わせ、JC08モード燃費は16.2km/L。75%のエコカー減税対象となる
上級モデル「T4 SE」の内装はT-Tec+ファブリック。ステアリングホイールはエントリーモデルの「T4」でも本革巻だ
センターコンソールはボルボでお馴染みの「フローティングセンタースタック」。フレームレスのルームミラー、イルミネーテッド・シフトノブなども装備する
T4 SEには大型のパノラミックガラスルーフを装着できる
これもボルボ初の液晶デジタルインストゥルメントクラスター。すべてデジタルグラフィック表示であることを活かし、エレガンス(上段中)、エコ(上段右)、スポーツ(上段左)に表示を切り替えることができる。スポーツではタコメーターが中央に表示され、エコではエコゲージが左に表示される。またイグニッションオフでV40のグラフィックのアニメーションが表示される(下段右)
インテリアのアンビエンイルミネーションを7色に切り替えられる「インテリア・シアター・ライト」もボルボ初。車内温度によって自動的に色が変わるモードも用意される

ボルボ初の安全装備を満載

ライバーグ氏(右)とデッセルズ社長

 発表会にはボルボ・カーからステファン・ライバーグ シニアセーフティエンジニアが来場し、V40の安全装備について説明した。

 同社は「2020年までに新しいボルボ車が関わる事故による死亡者や重傷者をゼロに」する中期目標「ビジョン2020」を掲げている。同社では、実際に起きた事故からのフィードバックを安全装備の開発に活かしている。これにより、ボルボ車で事故を起こした場合にけがをするリスクは、1967年には10%以上あったものが、2009年には2.5%程度まで減少したと言う。

ビジョン2020
ボルボ車が関与した事故からのフィードバックを開発に活かしている
ボルボ車の事故による怪我のリスクは年々下がっているが、これを2020年までにゼロにする

 同社の安全装備は、まず、衝突の危険を検知したときにドライバーの操作をサポートする。ドライバーの操作で衝突を回避できないときは、車両が自動で衝突を回避するよう動き、衝突を回避できない場合でもダメージを最小限に抑える。

 このためV40には、車線を逸脱しないようにサポートする「LKA(レーン・キーピング・エイド)」や、死角の車両の存在を警告する「レーダー式BLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)」など、ボルボ初の安全装備が8つ搭載された。また、低速域での衝突を回避する「シティ・セーフティ」は動作速度が30km/hから50km/hに引き上げられた。

ボルボ車の安全装備の考え方
制限速度と追い越し禁止の標識を読み取ってメーターパネルに表示するロード・サイン・インフォメーション・システム
死角の車両を警告するブラインドスポット・インフォメーション・システムと、車線逸脱を警告するレーン・キーピング・エイド
後退時に左右からくる車両を警告するクロス・トラフィック・アラート
自動ブレーキ機能付き衝突システム
歩行者検知機能
シティ・セーフティは標準装備。動作速度が50km/hまで引き上げられた。ヒューマン・セーフティはセーフティ・パッケージに含まれる
衝突時に乗員と歩行者を守るパッシブ・セーフティも充実
セーフティ・パッケージには新機能が増えたが、価格は据え置き

 さらに、安全装備の発達により乗員の死傷者数は減ったものの、歩行者の死傷者数は横ばいであることを鑑み、世界初の「歩行者エアバッグ」を採用した。現代の車両のフロント部分は、歩行者保護のために緩衝部分を設けているが、Aピラーやウインドーシールド下は剛性確保や乗員保護のために硬くせざるをえない。これら部分に歩行者の頭部があたって負傷するのを防ぐのが、歩行者エアバッグだ。

 バンパーのセンサーが歩行者の足にあたったことを検知すると、ボンネット後端を跳ね上げ、Aピラーとウインドーシールド下端を覆うようにエアバッグが展開するようになっている。

 もちろん、これまでのボルボ車に搭載されてきた「車速追従機能付きアダプティブ・クルーズコントロール」や「車間警告」なども搭載されている。従来よりも安全装備が増えたにもかかわらず、安全装備のパッケージオプションである「セーフティ・パッケージ」の価格は20万円に据え置かれている。

シティ・セーフティなどのセンサー類
歩行者エアバッグ
縦列駐車支援システム「パーク・アシスト・パイロット」もボルボ初の装備。前輪の前にあるセンサーで駐車スペースの長さを測り、それがV40の全長の1.2倍あれば、ドライバーに前進・後退を指示し、さらに自動でステアリングホイールを操作する

 ボルボ・カー・ジャパンのアラン・デッセルズ社長は、2012年の日本での販売台数は、新車がなかったにもかかわらず前年比18%増だったことをアピール、2020年には2万台の大台に乗せる計画を明らかにした。

 V40について「日本の自動車市場に最適と確信している」とし、新車効果による台数増の期待をのぞかせた。

デッセルズ社長
2020年には2万台に

(編集部:田中真一郎)