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ホンダ、“新次元の運転感覚を具現化した”新型「アコード ハイブリッド」発表会

「新型アコード ハイブリッドはホンダにとって新しい時代の幕開けとなる」と伊東社長

新型「アコード ハイブリッド」と代表取締役 社長執行役員 伊東孝紳氏
2013年6月20日開催

 本田技研工業は6月20日、新型「アコード ハイブリッド」「アコード プラグイン ハイブリッド」の発表会を都内で開催した。

 発表会には同社の代表取締役 社長執行役員 伊東孝紳氏、専務執行役員 日本営業本部長 峯川尚氏に加え、アコード ハイブリッドの開発責任者である本田技術研究所 四輪R&Dセンターの二宮亘治氏が出席した。

 アッパーミドルセダンのアコード ハイブリッドは、「LX」「EX」の2グレード展開。ともにパワートレーンは直列4気筒DOHC 2リッターエンジンに走行用(124kW/307Nm)、発電用の2つのモーター、エンジンで発電した電気と減速エネルギーを回生した電気を蓄え、走行用モーターに供給するリチウムイオンバッテリーなどを組み合わせた「SPORT HYBRID i-MMD」システムを採用。4915×1850×1465mm(全長×全幅×全高)という堂々とした体躯とつつ、JC08モード燃費30.0km/Lを実現している。

アコード ハイブリッド「EX」。ボディーサイズは4915×1850×1465mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2775mm。ボディーの前後を絞り、Bピラーあたりを張り立たせた樽型の「バレルシェイプ」形状に加え、ボディー下部のエンジンアンダーカバー、フロアアンダーカバーなどの装着により空力性能を高めた。Cd値は公表されていないものの、ミドルサイズセダンではトップクラスを誇ると言う
搭載エンジンの出力は最高出力105kW(143PS)/6200rpm、最大トルク165Nm(16.8kgm)/3500-6000rpm。エンジン側に配置される走行用モーターは、最高出力124kW(169PS)/3857-8000rpm、最大トルク307Nm(31.3kgm)/0-3857rpm
EXのインテリア。撮影車は運転席8ウェイパワーシート(スライド/リクライニング/ハイト前後、メモリー機能付)のレザーシート、運転席&助手席シートヒーターをパッケージ化したオプションの「レザーパッケージ」装着車
ステアリングとセレクトレバーは本革巻が標準
マルチインフォメーション・ディスプレイは、アクセルやブレーキの操作からエコドライブ度を判断するアンビエントメーター機能が備わり、メーターまわりの色がブルーやグリーンに変わり、グリーンに近いほど燃費のよい走り方をしたことになる。メーター左側にハイブリッドシステムの発生出力を表示できる
カーナビ画面にハイブリッドシステムのエネルギーフローを表示できるほか、エコ情報なども確認できる

 このSPORT HYBRID i-MMDでは「EVドライブモード」「ハイブリッドドライブモード」「エンジンドライブモード」の3つの走行モードを用意し、速度や勾配といった走行状況に応じてもっとも効率のよいモードを自動選択する仕組みになっている。

 EVドライブモードではエンジンを停止し、低速走行時などではバッテリーから走行用モーターに電力を送って走行、ハイブリッドドライブモードでは発電用モーターをエンジンで駆動し、その電力を走行用モーターに供給して走行、主に高速走行時に使われるエンジンドライブモードでは、「エンジン直結クラッチ」によってエンジンの出力軸を車輪へと直結し、エンジンの動力を車輪に直接伝えて走行する。

アコード プラグイン ハイブリッド。エクステリアではアコード ハイブリッドとの差別化はほとんどされていないが、専用のホイールキャップが備わるとともに(中身は鍛造ホイール)、アコード ハイブリッドではフロントバンパー部の加飾がクローム調のところシルバー調に、さらにバッヂがプラグイン ハイブリッド専用となる
アコード プラグイン ハイブリッドは大容量のリチウムイオンバッテリーと組み合わせた新開発のプラグインハイブリッドシステムを搭載。複合燃費は70.4km/L(JC08モード燃費)を達成している。充電リッドは左フロントフェンダーに用意
アコード プラグイン ハイブリッドのインテリア。トランクルーム下に充電ケーブルなどが備わる

SPORT HYBRID i-MMDは今までにない、新次元の運転感覚を具現化

「JC08モード燃費が30.0km/Lという軽自動車に匹敵する圧倒的な燃費性能は、世界No.1のハイブリッド技術であると自負している」と語る代表取締役 社長執行役員 伊東孝紳氏

 同社は1999年に発売した「インサイト」を皮切りに、「シビック」「フィット」「フリード」などにハイブリッド技術を投入してきた。同技術は、熱として捨てられていた減速後のエネルギーを電気的に回生して加速に再利用するもので、このことについて伊東社長は「我々はハイブリッドが低燃費へのもっとも有効な技術であると確信してその進化させてきた」とし、アコード ハイブリッドに搭載する2モーターハイブリッドシステムは、同社の新世代パワートレーン技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」の中核の1つであると説明。

 そのアコード ハイブリッドに搭載するSPORT HYBRID i-MMDの特長について、「ゆとりあるサイズのセダンでありながら、JC08モード燃費が30.0km/Lという軽自動車に匹敵する圧倒的な燃費性能は、世界No.1のハイブリッド技術であると自負している」「さらに強力なモーターがなめらかで力強い加速性能を発揮し、今までにない、新次元の運転感覚を具現化している。これは卓越した燃費性能と走る楽しさを高い次元で両立させようという、EARTH DREAMS TECHNOLOGYの思想そのもの」(伊東社長)と、SPORT HYBRID i-MMDの完成度に自身を覗かせる。

 また、すでにアナウンスされている1モーター式の「Intelligent Dual Clutch Drive」、3モーター式の「SH-AWD」についても触れ、「小型車からスーパースポーツまで、優れた燃費性能を実現しながら走る楽しさを高い次元で成立させる、ホンダ独自の新世代ハイブリッド技術を準備している」と述べるとともに、こうしたさまざまなハイブリッドモデルを「スポーツハイブリッド」と総称し、さまざまなハイブリッドモデルをリリースすることを予告。「スポーツハイブリッドの第一弾である新型アコード ハイブリッドはホンダにとっても、また自動車の未来にとっても、新しい時代の幕開けとなると確信している。今後もホンダは豊かな移動の歓びと、持続可能な社会の実現を目指して夢のある商品を提供し、お客様の期待に応えていきたい」と結んだ。

スポーツハイブリッドの第一弾である新型アコード ハイブリッドの登場はホンダにとって新しい時代の幕開けとなると伊東社長は述べた

「これまでのアコードの名声を超えて“超アコード”と呼ぶべきセダン」

専務執行役員 日本営業本部長 峯川尚氏

 次に登壇した峯川氏は、「ホンダが四輪車を作り始めて50年目となる節目の年に、“調和”の意味を持つ新型アコードが誕生する。初代の発売から40年近くが経ち、クルマを取り巻く環境は大きく変わった。人との関係だけでなく、社会のこと、地球のことにまで深く思いを巡らせなければ、もはやクルマは存在できない。調和という考え方は今、そして未来に向けてますますその意義は高まっていくと確信している。そんな思いから、私たちはこの未来を切り開く新しいセダンに、改めてアコードの名をつけて世に送り出そうと決意した」と、アコード命名の背景を語る。

 また、新型アコードがハイブリッドシステムを搭載してJC08モード燃費30.0km/Lを実現したことについて、「これまでのアコードの名声を超えて“超アコード”と呼ぶべきセダン」と述べるとともに、今後ハイブリッドシステムを搭載するセダンモデルの強化を図るとした。なお、主に法人企業・官公庁などを中心としたリース販売となるアコード プラグイン ハイブリッドについては、「年内中に一般ユーザー向けにリース販売を行えるよう検討する」としている。

アコードは“調和”を意味する
1976年に登場した初代アコード
直列4気筒DOHC 2リッターエンジンに走行用(124kW/307Nm)、発電用の2つのモーター、エンジンで発電した電気と減速エネルギーを回生した電気を蓄え、走行用モーターに供給するリチウムイオンバッテリーなどを組み合わせた「SPORT HYBRID i-MMD」システム。同システムの搭載により、「超アコード。」になったと峯川氏は言う
SPORT HYBRID i-MMDでは「EVドライブモード」「ハイブリッドドライブモード」「エンジンドライブモード」の3つの走行モードを用意
クラストップの低燃費である30.0km/L(JC08モード燃費)を誇る
ボディーの前後を絞り、Bピラーあたりを張り立たせた樽型の「バレルシェイプ」形状を採用し、空力性能を高めるとともに室内にゆとりを持たせることに成功した
力強いフロントマスクとし、LEDヘッドライトを採用。ヘッドライト点灯時、約35km/h以下でウインカーやステアリング操作と連動して点灯、曲がろうとする方向の内側の路面を照らす「アクティブコーナリングライト」機能も備わる
メーター中央のカラー液晶ディスプレイに、推定航続可能距離や平均燃費、外気温、エネルギーフローなどを表示できる「マルチインフォメーションディスプレイ」を備える
3種類の高強度なハイテン材を組み合わせて使用するほか、アルミボンネットなどの採用により軽量化を実施
ハイブリッド車としての静粛性を高めるため、吸音材、遮音材を積極的に採用するとともに、こもり音を低減する効果のある「アクティブサウンドコントロール」を採用
軽量のフロントストラットサスペンションを装備
EXグレードはフロントグリル内に備えるミリ波レーダーを使って障害物を検知する「CMBS(衝突軽減ブレーキ)」を装備。従来では15km/h以上で自動ブレーキが作動したところ、5km/h以上に拡大した
アコード ハイブリッドはあらゆるセダンが追い求めた「セダンの理想像」とした

(編集部:小林 隆)