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日産、NISMOのラインアップを紹介する「NISMO Premiere Event」開催

「スポーツカーはバランスが大切」とM・クルム選手

レーステクノロジーが生きるNISMO車両の魅力をアピール
2013年7月1日開催

 神奈川県横浜市にある日産自動車 グローバル本社ギャラリーで7月1日、NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)の新ラインアップ発表イベント「NISMO Premiere Event」が開催された。

 発表イベントでは、まずNISMOの宮谷正一取締役社長が登壇。NISMOのモータースポーツシーンでの活躍や日産車のカスタマイズ事業について解説。「カーエンスージャストだけでなく、クルマにこだわりを持ち、運転を楽しむより幅広いお客様にNISMOブランドの魅力を発信していきたい」という新しい戦略を掲げているNISMOは、今年1月の東京オートサロンの会場で「ジューク NISMO」を新戦略の第1弾として発表。ジューク NISMOはグローバルで3000台を受注する人気モデルとなっており、これを受けて第2弾の「フェアレディZ NISMO」、第3弾の「マーチ NISMO」を発表。また、ジューク NISMOと同じく今年1月の東京オートサロンで公開し、夏頃のデビューと予告していたリーフの「NISMO エアロパッケージ」「NISMO パフォーマンスパッケージ」も市場投入されることになった。宮谷社長は「NISMOは今後も、パーツビジネス、アクセサリービジネスにも強化していく」とコメントした。

6月24日に発表されたばかりのマーチ、フェアレディZ、リーフのNISMOモデル3車種を一般ファンに向けて公開
「NISMOは今後もますますラインアップを充実、拡大させるため準備をしています。日産のモータースポーツ、およびパフォーマンス&パーソナライズブランドであるNISMOに、これからも注目、ご期待ください」と語るNISMOの宮谷正一取締役社長

 フェアレディZ NISMO、マーチ NISMOの商品解説を行ったのは、日産自動車の田村宏志チーフ・プロダクト・スペシャリスト。「みなさん、初めてクルマを動かしたときのワクワク、ドキドキを覚えていますか? NISMOでは、そんなワクワク、ドキドキをどうやってみなさんに伝えていけるのかを常に考えています」と語り、日本を代表するスポーツカーであるフェアレディZでは、NISMOの手を入れることでさらにスポーツカーのワクワク、ドキドキ感を強調。レーシングカー作りで培った空力設定や足まわりの技術をふんだんに投入していると解説し、さらにそんなフェアレディZ NISMOの開発で市販車とミックスした技術がマーチ NISMOにも連動して受け継がれていると紹介。キュートなマーチをベースにさまざまなエアロパーツを投入し、サーキット走行もイメージできるホットハッチに仕立て直している。また、マーチ NISMO Sでは5速MTと1.5リッターエンジンの組み合わせとなり、「このエンジンはとくに中間トルクのトルクカーブが絶妙にセットアップされていますので、12月の発売までにどれだけ試乗車を用意できるか分かりませんが、ぜひ多くの人に体感してもらいたいと思っています」とコメントした。

田村チーフ・プロダクト・スペシャリストは「パフォーマンスを考えて、内外装もコーディネートできる。トータルでバランスさせられるのがNISMOです。NISMOは1984年に設立されて30年近く歴史があります。そんな歴史とノウハウが生み出すこの3台は、きっとみなさんに新しいクルマのライフステージを作れると思っています」と紹介
「人によってはヌメっとしていると見るかもしれませんが、バンパー形状とスポイラーの2つのカナードできちんとフロントを抑えて、ルーフからリアウイングに流れてボディーを押さえつけられたZは、リフト係数が-0.159と、現行型のGT-Rと同じぐらいの数値になっています」と解説する田村チーフ・プロダクト・スペシャリスト

 リーフに設定された2種類のパッケージオプションについては、日産自動車の金子晃チーフ・ビークル・エンジニアが解説を実施。同じNISMOの名を冠しているが、「ゼロ・エミッションビークル リーダーシップ」と日産が位置づけるリーフだけに、ZとマーチではNISMOのシンボルとしてボディーの要所に赤いラインを描いている部分にブルーを使用。「ホットなNISMOに、クールなEV。そんなイメージです」とルックスでの大きな特徴について紹介したほか、エアロパーツではほかのNISMO車両と同様、空気抵抗でのロスなくダウンフォースを増やすというコンセプトで設計を実施。また、パフォーマンスパッケージのスポーツリセッティングでは、走りたいときは加速を早く、エコモードのときは加速力は甘くしても航続距離が伸びるようなマッチングを施しているという。

EVならではの「クールなNISMO」をブルーのラインで表現しているとのこと
「それぞれ、リーフを購入していただいてから、あとで取り付けられるパッケージです。これまでのようなロードカーだけでなく、アクセサリーパーツも開発したことを認識していただきたいと思っています」と語る金子晃チーフ・ビークル・エンジニア

 発表イベント後半では、これまでに登壇した3人に加えて、レーシングドライバーのミハエル・クルム選手もゲスト参加し、トークショー形式で3台のNISMOモデルが持つ魅力をアピール。クルム選手はレース活動の近況報告として6月22日~23日に行われたル・マン24時間レースでのエピソードを紹介し、NISMOが手がけたエンジンがレース前のテストからレース終了後までノントラブルで、しかも自身を含めた17台分のエンジンがどれも好調だったと語った。さらに実際にフェアレディZ NISMOを運転した感想について、「レーシングカーに限らず、クルマはバランスが非常に重要。サーキットでは前だけ、後ろだけがよくなっても、結果的にタイムは落ちます。ジューク NISMOは最初の段階から乗っていて、フェアレディZ NISMOもサスペンションの開発に少し参加しています。エンジンパワーとコーナーリンググリップのバランスはとても大切です。マーチ NISMOはまだ乗っていませんが、ここで話を聞いていて、気持ちよいクルマになっているようですぐにでも乗ってみたいです」とコメント。NISMOモデルがバランスの良さを大切にしていることで、運転する楽しさを生み出していると解説した。

経営者、開発担当者、プロドライバーというそれぞれの立場からNISMOモデルが持つ魅力を解説
「この人(クルム選手)はレーシングドライバーでも運転がものすごいていねいな人ですよ。いっしょに乗っていて酔うことがありません。これがニュルブルクリンクを走っているときのデータからも分かって、彼はクルマを壊さない人だな、雨の中でもちゃんと最後まで走ってくれるなと。だからこそ、NISMO車が持つよさをきちんと感じ取ってくれるんですね」と語る田村チーフ・プロダクト・スペシャリスト
「レーシングドライバーはいつもフルスピードで走っていると思われるかもしれませんが、開発段階ではサーキットだけでなく市街地も走ります。イギリスではボロボロな路面でも運転しましたが、あまり硬すぎる足まわりだと車内で会話もできないですし、いっしょに乗っている奥さんに怒られますよね。ハイスピードで走るときの安定性と、街中で気持ちよく運転できることのバランスも大きなポイントです」と説明するミハエル・クルム選手

フェアレディZ NISMO

フェアレディZ NISMO
専用のフロントバンパー、サイドシルプロテクター、リアバンパーはガンメタリック塗装のスポイラー部位を設定。前後バンパーにはアクセントとして赤いラインを引いている
NISMOのレーステクノロジーによって生み出されたエアロパーツによってマイナスのリフト係数を実現
タイヤはブリヂストンのポテンザ・RE-11を採用。サイズはフロント:245/40 R19 リア285/35 R19
NISMOロゴが入った専用ストラットタワーバーや赤いエンジンカバーが特徴的なエンジンルーム。エンジン出力は専用のチューニングコンピューターや等長フルデュアルエキゾーストシステムなどの採用で261kW(355PS)に向上している
レッドセンターマーク入りのアルカンターラ巻3本スポークステアリングや本革巻シフトノブを備えるインテリア
専用コンビメーターはスピードメーターが280km/hスケールとなっている
ホールド性と居心地のよさを両立する本革・スエード調ファブリックコンビネーションシート
フロアマットにNISMOのロゴマーク入りプレートを設置
レッドのラインが入る専用ドアミラー

マーチ NISMO S

12月発売予定のマーチ NISMO S
車幅灯連動のLEDハイパーデイライトを内蔵する専用フロントバンパー。ブラックメッシュの専用フロントグリルにはNISMO S専用エンブレムを装着
Zと同じくポテンザ・RE-11を装着。サイズは205/45 R16
専用のサイドシルプロテクターとドアミラーはレッドの塗装でスポーティさを表現
ディフューザー形状の専用リヤバンパー。両サイドもエッジを効かせた専用形状となっている。口径の大きな専用エキゾーストシステムはNISMO Sだけのアイテム
アルカンターラ巻ステアリングは全車共通。ピアノ調フィニッシャー、220km/hスケールメーターなどはNISMO S専用装備
フロントシートはNISMO S専用のスポーツシート。リアシートの形状はベースモデルと同じだが、シート表皮とレッドステッチが専用品となる
NISMO Sは専用チューンを施されたHR15DEエンジンと5速MTの組み合わせ。アルミ製ペダルのうち、フットレストにはNISMOのロゴが刻まれている
インパネのセンターパネルやフロアマットにNISMOのロゴプレートを装着

リーフ「NISMO エアロパッケージ」「NISMO パフォーマンスパッケージ」装着車

「NISMO エアロパッケージ」「NISMO パフォーマンスパッケージ」を装着したリーフ
ゼロエミッションのEVであることをブルーのラインでクールにアピール
充電リッドの内側もメタリックブルーに塗装
ニスモブラック×ダイヤモンドミラーカットの演出でワイド感を際だたせる18インチアルミホイール。標準仕様から30mmダウンというわずかな隙間から、NISMOロゴの入ったスポーツサスペンションキットの赤いスプリングが見える
スポーツマインドを刺激するカーボンドアミラーカバーとカーボンピラーガーニッシュ。両面テープでの固定となり、手軽に導入が可能だ
リーフのインテリア。フロントシートのフロアマットにはNISMOロゴプレートを設置

 このほか、会場の日産自動車 グローバル本社ギャラリーには、新登場の3台に加えてジューク NISMO、モチュールオーテックGT-R・23号車、リーフ NISMO RCが展示されていた。

ジューク NISMO
モチュールオーテックGT-R・23号車
リーフ NISMO RC

(編集部:佐久間 秀)