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JAL、「空港サービス プロフェッショナルコンテスト」を実施

4500名から選抜された10名のグランドスタッフが「おもてなし」の技を競う

2013年11月13日開催

 JAL(日本航空)は11月13日、同社の空港グランドスタッフの頂点を決める「空港サービス プロフェッショナルコンテスト」を開催した。JALグランドスタッフの「おもてなしの心」を極めた優秀者を決定するコンテストで、2012年に第1回を開催して今回は2回目の開催となる。国内・海外で勤務する4500名のグランドスタッフの中から38空港47名のスタッフが選抜されてこのコンテストに臨んだ。

 グランドスタッフは空港のチェックインカウンターなどで乗客と直接やりとりをする、いわばJALの顔だ。JALではグランドスタッフのサービス能力向上を図るため、2012年に空港サービスモックアップを製作。より実践的な訓練を行っている。このコンテストはこうした取り組みの成果を確認するためのものでもある。

 コンテストは2日間に渡って行われ、初日に予選を実施。2日目は予選を突破した10名が本戦に挑んだ。コンテスト内容は2種類用意され、1つ目はイレギュラーなシチュエーションを設定し、10分以内で文章を考えてアナウンスを行う「アナウンス審査」。2つ目は模擬カウンターで顧客役の教官を相手にロールプレイによって応対する「カウンターチェックイン審査」だ。ロールプレイは事前にどんな内容になるか知らされずに行われる。

 これらの競技を行いながら、予選では身だしなみや表情、立ち居振る舞いなど全体の印象やサービススキル全般について評価。ここで選ばれた10名は2日目の本戦へ進み、JALが目指す「お客様視点で向き合うこと」をどれだけ体現できているかを審査し、3名の入賞者を決定する。規格化されたおもてなしではなく、相手の立場に立って満足してもらい、再びJALを利用したくなるような印象を与えられるかについて審査しているそうだ。

会場の様子
ロールプレイの様子を真剣に見つめる見学者たち
応援団も真剣なまなざし

 今回取材したのは本戦で行われた「カウンターチェックイン審査」。ロールプレイの内容は「飛行機が台風により3時間ほど遅れる」という状況。航空会社としては最も避けたい状況の1つだろう。ロールプレイでは大まかな設定は決まっているが、顧客役との具体的なやりとりは毎回異なる。出発時間が遅れることに対するお詫びから荒天の中を苦労して空港までたどり着いた顧客へのねぎらい、そして相手の反応に応じたさまざまな個別対応をロールプレイしなければならない。出場者たちは審査員だけでなく、各空港から駆けつけた応援団など多数の見学者に見守られながら日ごろの成果を披露していた。

「カウンターチェックイン審査」で行われたロールプレイの様子

 関係者によると、彼女たちは「かなり緊張していてガチガチ」ということだったが、相手にかける言葉や表情を記者の目から見た限りではとてもそのようには感じられず、むしろ完璧な応対に見えた。それだけ要求レベルが高いということなのだろう。

 閉会式では、まず本戦に勝ち残った10名にJALが認定する「サービスアドバイザー」であることを証明するバッヂが配られた。このバッヂは高いサービススキル提供する証として勤務中にも身につけるもので、今年から本戦出場者に配布することが決まったものだ。ただし、今回配布したバッヂはまだ仮のもので、2014年の4月には出場者ごとにシリアルナンバーが入ったバッヂが配られる予定。また、2012年の本戦出場者にも配布される。

予選を勝ち抜いた10名。左端はJAL 空港本部長 丸川潔氏
1人ずつバッヂが手渡された
配布されたバッヂ
優勝インタビューに答える片山佳恵さん

 今回のコンテストでこの10名の中から3名が優秀者として選ばれた。通常は1位~3位の3名が選ばれるが今回は1位が1名、2位が同点で2名となった。どのスタッフもレベルが高く、審査が難航したようだった。選ばれたのは1位になった福岡空港の片山佳恵さん、同点2位の長崎空港の堀口梨菜さんと羽田空港の西田百合香さんの3名。1位に選ばれた片山さんは、「今まで毎日積み重ねてきたことが無駄ではなかったことが嬉しいです。今の私があるのは職場の同僚や先輩方のおかげです。お客様に本当に寄り添えているのか私には分かりませんが、“お客様が私に歩み寄ってくださるからこそ私も寄り添わせていただいている”と思いながらいつも接客をしてきました。これからもJALのお手本になれるような接客ができるように頑張っていきたいと思います」と喜びを語った。

左から長崎空港の堀口梨菜さん、福岡空港の片山佳恵さん、羽田空港の西田百合香さん
片山さんと記念撮影するJAL空港本部長の丸川潔氏
最後は出場者全員で「ナンバー1」のポーズを取って記念撮影

 JALの空港本部長である丸川潔氏は今回のコンテストについて「1回目と比べてばらつきが少なくなり、レベルが上がったことで選考面でとても苦労した。このコンテストはスキルの優劣を競うのではなく、JALのフィロソフィーをどの程度表現できているかということ。片山さんは総合的にバランスがよかった」と総評した。

(清宮信志)