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【LAオートショー】ホンダ、2015年市販の燃料電池車コンセプト「FCEV CONCEPT」公開

市販モデルは日本と欧州、米国で発売へ

FCEV CONCEPT
2013年11月20日~21日プレスデー、22日~12月1日一般公開日

ロサンゼルスコンベンションセンター

 米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開幕した「2013年ロサンゼルスオートショー」(以下、LAオートショー。11月20日~21日プレスデー、22日~12月1日一般公開日)。本田技研工業の現地法人であるアメリカン・ホンダモーターがこのLAショーに持ち込んだのが、FCV(燃料電池車)のコンセプトカー「Honda FCEV CONCEPT」。

FCEVコンセプト

 FCVは、車両に搭載したボンベに水素を充てんし、その水素と大気中の酸素を化学反応させて電気を発電、そのエネルギーで走行するEV(電気自動車)の一種。FCVを究極のクルマと位置付けているホンダでは、トヨタ、日産の両社がガソリン車のコンバートタイプのFCVを登場させる中、2008年にFCV専用モデル「FCXクラリティ」をリース販売という形で登場させている。

 FCXクラリティの登場から5年を経て、後継モデルとして世界初披露されたのがこのFCEVコンセプトとなる。今回は、FCVの技術披露というよりは、このデザインコンセプトモデルのお披露目がメインとなる。

先進のエアロダイナミクスフォルムで、後輪を隠した特徴的なデザイン。大人5人が乗れるフルキャビンと空力的に最適化したシルエットを両立する。車体寸法はFCXクラリティよりも全長、全幅ともに50mmほど大きくなっているイメージだ

 FC(燃料電池)技術については、FCスタックが、FCXクラリティに比べ、体積で33%減、出力密度で60%も向上したことを公表。これにより、スタックのユニットおよびモーターを、通常のエンジン車と同じようにボンネット内に収めることができるようになった。具体的には、セルの積層数を3割減らしながらも電流密度を1.5倍向上させ、1セルにつき1mmという超薄型のスタックに仕上げているという。もちろん、白金の使用量も具体的な数値は示されなかったものの低減させているという。

 ホンダは、2015年に市販モデルを投入することを予定しており、このFCEVコンセプトの市販モデルは、2015年に日本と米国、その後欧州で発売する予定となっている。

 市販モデルについては、航続距離はモード燃費換算で300マイル(約480㎞)以上を目指すとしている。FCXクラリティでは240マイルとしていたので、大きく飛躍することになる。FCXクラリティで使用していた金属ライナーの35MPa対応の燃料タンクから、他社と足並みをそろえて70MPaのタンクになるが、そのサイズや配置についての詳細は語られていない。また、加速時のアシストや回生で得られる電気を一時的に貯めておくバッテリーのサイズや容量についてはまだ不明としながらも、岩村哲夫副社長は「これまでと違うバッテリーかもしれませんね」と意味深な発言も! 2015年の市販を前に、2014年には形を見ることができそうな雰囲気である。

本田技研工業 代表取締役副社長執行役員である岩村哲夫北米地域部長が車両の説明を行った。後方にスライド上映されているのが、非常にコンパクトになったFCスタックの画像。このコンパクト化を成功したことにより、フロントのフード内にシステムユニットすべてを入れ込むことが可能なだけでなく、将来のFCEVの複数車種展開も可能とする
プレスカンファレンスでは、水をイメージした映像と、雨のように水を落としたウォーターカーテンの向こうにベールをかぶったFCEVがいるという演出

(青山義明)