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日産、3000円(税別)/月の定額で急速充電器が使い放題になる新プラン説明会
キャンペーン中は1429円(税別)/月。2015年3月末までに急速充電スポット数を全国約6000基に拡充
(2014/10/2 15:28)
日産自動車は、同社の電気自動車(EV)「リーフ」をはじめとするEVオーナー向けサービス「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム」を10月1日から拡充し、2015年3月末までの間に設置予定とされる全国約6000基の急速充電スポットが一定額で使い放題になるプランを発表。この「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム」に関する説明会を同日に開催した。
従来の同サービスは、日産の販売店に設置されている約1250基(2014年8月時点)を利用できるものだったが、これを「ライトプラン」として継続しつつ、新たに追加した「スタンダードプラン」では利用できる充電スポットを大幅に拡大。遠出したいユーザーのEVカーライフをサポートする。
ライトプランは従来通り月額1429円(税別)、スタンダードプランは月額3000円(同)。ただし2015年3月末まではお試しキャンペーンとして、スタンダードプランも月額1429円で提供される。いずれも5年間有効のサービスで、充電スポットの利用だけでなく、EVのリモート操作、メンテナンスサービス、緊急時のレッカーサービス、レンタカー割引などのサポートも引き続き利用可能になっている。
2015年までに充電器大幅増。ネットワーク化で改善検討も
発表会では、まず日産自動車 充電インフラ推進部の新倉治氏が、充電インフラに関する取り組みについて解説した。2010年12月にリーフを発売した当初、満充電時の航続距離(JC08モード)は200kmだったが、2年後のマイナーチェンジで228kmへと伸ばした。車両性能が向上する中、2013年には経済産業省の補正予算により、EV向けの充電インフラに関わる補助金として1005億円が計上。これを受け、日産のほか、トヨタ自動車、本田技研工業、三菱自動車工業の4社が共同で充電インフラの拡大推進を発表し、2014年5月には同4社らによる合同会社日本充電サービス(NCS)の設立に至った。
これまでEV向けの充電スポットは自動車メーカーなどが独自に設置していたが、今後はNCSによる運用に1本化。補助金の中から充電設備・工事費の2/3がまかなわれるため、比較的低いコスト負担で新設が可能となり、今後2015年12月末にかけて急速充電器、普通充電器の大幅拡充を目指すとしている。
具体的には、急速充電器は現在全国に約2300基あるが、これを2015年3月までに順次拡大し、約6000基にまで増やす。急速充電器の設置場所は高速道路のSA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)、コンビニエンスストア、道の駅やそのほかの商業施設、観光施設などとなっている。
それとは別に普通充電器(リーフの場合、満充電時間は約8時間)についても、宿泊施設、ゴルフ場などを中心に増設される。現在の普通充電器の設置数は約3000基だが、2015年度末までに1万1000基まで増加させる計画。自宅、経路上、目的地の3個所において充電インフラが整うことにより、「リーフユーザーが不自由なくEVカーライフを楽しんでいただける世界になる」(新倉氏)とした。
なお、充電インフラの運用が新会社のNCSに1本化され、充電インフラのネットワーク化が実現することで、全国的な利用状況の詳細も把握できるようになるとしており、利用効率を最大化する設置場所の検討、場所ごとに設置すべき基数など、今後の展開に向けたさまざまな情報収集が行えるようになるのもポイントとしている。
「1回で元が取れる」スタンダードプラン
今回の日産ゼロ・エミッションサポートプログラムの新プラン「スタンダードプラン」は、こうした充電スポットの増加見込みに合わせ、リーフなどのEVユーザーに新たな選択肢として提供されるものとなる。もともと同プログラムはリーフユーザー向けに提供されていたが、使い放題の対象は日産販売店に設置している急速充電器(約1250基、今後1600基まで拡大)のみ。ユーザーが自宅に設置している普通充電器もあるものの、遠出するのは現実的に難しい面もあり、リーフは主に街乗りに利用されることが多かった。
そうした中で新たに加わったスタンダードプランでは、日産販売店の急速充電器と合わせ、2014年度末までに計6000基となる全国の急速充電器が使い放題になる。一般ユーザーが急速充電器を利用する際の料金は、標準的には1分間あたり50円。30分の急速充電を利用した場合、1回で1500円かかるという。そのため、ライトプランのユーザーがスタンダードプランに乗り換えた際に追加となる1571円は、ほぼ1回の急速充電器の利用で相殺されることになる。
日産自動車 マーケティングディレクターオフィスの井上氏によると、5年分の車両点検費用を勘案し、一定条件を元に試算したランニングコストは、一般的なガソリン車で1カ月あたり1万3500円となるのに対し、スタンダードプランを利用したリーフでは1カ月あたり5000円。同プログラムでサポートされるメンテナンス、レッカー、レンタカー割引といったオプションサービスも含めると、リーフ+スタンダードプランはガソリン車に比べて大きなコストメリットがあると訴えた。
さらに、すでに述べたように同プログラムの既存ユーザーやリーフの新規購入者は、2015年3月末までお試しキャンペーンとしてスタンダードプランの料金が月額1429円となる。この期間内に「十分に体験、体感していただいて、新しいEVカーライフを堪能していただきたい」(井上氏)と述べ、専務執行役員の川口氏もユーザーによってリーフの用途は異なるとしつつも、「大いにスタンダードプランを使ってほしい」と語った。
2015年3月末までの設置ペースについては、NCSがプロジェクトを主導することから、ある程度一定のペースで増えていくのか、後半に偏る形で設置が完了するのか不明だとしながらも、現在のところは期限を前倒しできるようなペースで進めているとしている。また、他の自動車メーカーが同様のサービスを展開するのか、どういった料金設定になるのかについては、メーカー独自の判断になるため把握していないとのこと。
【お詫びと訂正】記事初出時、急速充電器を使用した場合の充電量について誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。