ニュース

ホンダ、3モーターハイブリッド採用で燃費16.8km/Lの新型「レジェンド」

新安全運転支援システム「Honda SENSING」、レバーのない「エレクトロリックギアセレクター」を初採用

新型「レジェンド」(クリスタルブラック・パール)
2015年1月22日発売

680万円

 本田技研工業は、5代目となる同社のフラグシップセダンの新型「レジェンド」を2015年1月22日に発売する。価格は680万円。

※当初発表から発売日が2015年2月20日に変更されました。

モデルエンジン変速機駆動方式価格
レジェンドV型6気筒SOHC 3.5リッター直噴7速DCT4WD(SPORT HYBRID SH-AWD)6,800,000円

 レジェンドは1985年に初代モデルがデビューし、2015年で30年目を迎えるホンダのフラグシップセダン。5代目となる新型は「Smart Exhilarating Luxury」がグランドコンセプト。英語で心の昂ぶりを意味する「Exhilarating」という単語を用い、「昂ぶり」「誇り」「先進」という3要素の具現化を目指して開発が実施された。

 ボディーサイズは先代の4985×1845×1455mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2800mmから、4995×1890×1480mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2850mmと全般的に大型化された。車両重量は1980kg。

 ホンダの技術力をアピールするフラグシップモデルとして、歴代モデルでは世界初の「FF車用トラクションコントロールシステム」「インテリジェントナイトビジョン」「SH-AWD(Super Handling All Wheel Drive)」や、日本初の「運転席SRSエアバッグシステム」「助手席SRSエアバッグシステム」などを搭載してきたレジェンドだが、5代目モデルでもさまざまな新技術が投入されている。

 パワートレーンは6月に発売された「アコード ハイブリッド」に搭載された2モーター式の「スポーツハイブリッド i-MMD」、9月に発売された「フィット ハイブリッド」に搭載された1モーター式の「i-DCD」に続く、ホンダの次世代ハイブリッドシステムである3モーター式の「スポーツ ハイブリッド SH-AWD」を採用。新開発のV型6気筒SOHC 3.5リッター直噴 自然吸気エンジンとモーターを内蔵する7速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせて前輪を駆動するほか、車両後方に2つのモーターを組み合わせた「TMU(ツインモーターユニット)」を搭載。エンジンは最高出力231kW(314PS)/6500rpm、最大トルク371Nm(37.8kgm)/6500rpmを発生し、モーターはフロントが最高出力35kW(48PS)/3000rpm、最大トルク148Nm(15.1kgm)/500-2000rpm、リアは1基あたりで最高出力27kW(37PS)/4000rpm、最大トルク73Nm(7.4kgm)/0-2000rpmを発生して、システム合計出力は281kW(382PS)となる。ちなみに、エンジンとセットされるモーター内蔵トランスミッションはフィットハイブリッドと同じi-DCDの名称を使っているが、3.5リッターエンジンが持つ大トルクに対応するため、デュアルクラッチを伝達効率の高い乾式からオイル循環によって冷却が行える湿式に変更している。

 この3つのモーターを利用するハイブリッドシステムに加え、V型6気筒エンジンでは直噴システムのほか、クルーズ走行時などの低負荷時にはリアバンク側の3気筒を休止させる「可変シリンダー」を採用。これらによって重量が2t近くある4WD車であるにも関わらず、JC08モード燃費は16.8km/Lを実現している。

新型レジェンドの走行イメージ。リアタイヤの左右を2つのモーターで別々に駆動・制動させる「トルクベクタリング」を新採用

 また、リアタイヤを駆動させる2つのモーターは左右別のタイヤとそれぞれ連動し、これを利用してリアタイヤに「トルクベクタリング」の機能を持たせている。先代モデルで採用されたSH-AWDをハイブリッドシステムを利用することでさらに進化させたともいえるアイテムで、左右輪にそれぞれ独立したモーターを組み合わせることで、走行状況に合わせて駆動と制動を同時に行えることが大きな特徴となっている。例えば、旋回初期のターンイン時にはリアタイヤ両方で回生発電による制動力を発生させ。減速と荷重移動によってフロントタイヤのコーナリングフォース発生をサポート。また、同時に制動力を発生させているリアタイヤ左右で、イン側を強く制動させるといった制御も可能だ。コーナリング中にはイン側の制動を維持しつつアウト側には駆動力を与え、大きな内向きのヨーモーメントを発生させる。最終的なコーナー脱出時には4輪すべてで路面に駆動力を伝え、力強い立ち上がり加速を実現する。この制動も利用するトルクベクタリングにより、ドライバーのステアリング操作に合わせた的確なライントレース性が確保される。

 エクステリアデザインは「Firmed Elegant FORM」をコンセプトに、フラグシップモデルとしての世界基準の風格と高出力パワーユニットが生み出す卓越した走りを表現。フロントマスクでは複雑なカットを与えた光学レンズとLEDを組み合わせた「ジュエルアイLEDヘッドライト」を装備。導光体となるレンズとアルミ蒸着リフレクターでLEDの光をレンズ内で2回反射させる仕組みを用い、薄型のライトユニットでもしっかりとした配光性能を確保。さらに複雑にカットした光学レンズは非点灯時にも外光できらめき、ロービームとは別に用意されるブルーLEDでアクセサリーランプとして青白い発光も楽しめるようになっている。また、リアコンビネーションランプにもLEDを使い、ボディーラインを際立たせ、車体のワイド感も強調している。

 このほか、前後245/40 R19 94Yサイズのタイヤと組み合わせるアルミホイールは、7対14本スポーク高輝度シルバー塗装ホイールが装着される。このホイールも先代同様、ホイールを取り巻くように中空構造のレゾネーター(消音装置)を配置した「ノイズリデューシング」機構を採用している。ボディカラーは新色の「ギルデッドピューター・メタリック」を含む6色を用意。

点灯・非点灯を問わず強烈な個性を発揮する「ジュエルアイLEDヘッドライト」。内側(写真左側)の縦1列がハイビーム、残り4列はロービームで、アクセサリーランプとしてブルーに点灯する
フロントフェンダー後方にハイブリッドのバッヂを装着。サイドビューではフェンダーからのラインを上下に流して優雅な運動性をアピール

 車内スペースはリヤタイヤに駆動力を伝達するドライブシャフトがないパッケージングを生かし、ボディーサイズの拡大と合わせて定評のある車内の広さをさらに拡大。室内寸法は高さのみ30mmダウンとなっているが、室内長は55mm、室内幅は25mm増加しており、リアシートのレッグスペースを70mm、フロントシートのカップルディスタンスを10mm増やして乗員の持つパーソナル感を高めた。内装色は「プレミアムブラック」「シーコースト・アイボリー」「ブルーノ」の3種類。

 車内の装備では、ホンダ車として初めてシフトセレクターからレバーを廃した「エレクトリックギアセレクター」を採用。ドライブ(D)レンジのスイッチは斜め前方に押し込み、リバース(R)レンジは後方に引くプル式のスタイルとして自然な操作性を実現している。このエレクトリックギアセレクターには車両の走行性能を重視して各制御を変更する「SPORTモード」を用意。選択時にはエンジンが気筒休止することなく動き続け、変速制御ではエンジンの高回転域まで使用する制御マップを使用。シフトダウンしたときには「自動ブリッピング」が行われ、モーターの駆動も積極的に利用するようになり、トルクベクタリングは回頭性の鋭さを重視する設定となる。

 また、フロントウインドーに投影するスタイルのヘッドアップディスプレイでは、スピードメーターやカーナビのターンバイターン表示のほか、トルクベクタリングの作動状況をリアルタイムで表示するモニタリング機能も設定されている。

ホンダ車初採用となる「エレクトリックギアセレクター」。パーキングレーキも電磁式となる
全席本革シートが標準装備となり、フロントシートはシートヒーターとベンチレーション機能を備える

 このほかの装備では、10月に先行発表されたホンダの新しい安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20141024_673026.html)(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20141024_673040.html)を採用。ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせて使用し、「衝突軽減ブレーキシステム(CMBS)」「路外逸脱抑制機能」「LKAS(車線維持支援システム)」「渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール」「歩行者事故低減ステアリング」「誤発進抑制機能」など、高度な先進安全支援システムを機能させる。

 また、新型レジェンドではアクセルペダルに反力を発生させることで運転をアシストする「リアクティブフォースペダル」を備え、ペダルの踏みごたえを重くすることでエコドライブや雪道での加速をアシストするほか、Honda SENSINGとも協調制御して衝突軽減ブレーキシステムや誤発進抑制機能が作動するような状況でアクセルペダルにノックするような振動を与え、ドライバーに注意喚起することも可能となっている。

(編集部:佐久間 秀)