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首都高、首都圏3環状の最初の環となる中央環状品川線の開通式

中央環状線が全通。「2020年までに外環道を全通させ、渋滞のない東京を目指す」と舛添都知事

2015年3月7日16時開通

関係者一同でくす玉が割られ、ついに8年半に及んだ工事がここに完成。首都高中央環状線は全線が開通した

 首都高速道路は3月7日9時、中央環状品川線の開通式を開催。舛添要一 東京都知事や首都高速道路 代表取締役社長 菅原秀夫氏ほか、国会議員や品川区長、目黒区長、地元や工事の関係者など、多くの来賓が参列するなか盛大な式典が行われた。

関係者と地元小学生によるテープカット
東京都知事 舛添要一氏

 冒頭の挨拶で東京都知事 舛添要一氏は「この中央環状品川線が8年半という短い工期で完成することができたのは喜ばしく、関係者の尽力に感謝したい。この中央環状品川線の完成により、湾岸線と接続することで千葉、木更津方面、横浜方面のレジャー施設や商業施設のアクセスが向上し身近なものになる。東名高速、中央道、関越道、東北道からのアクセスも容易になり、東京だけではなく首都圏全体、日本全体の発展に大きく寄与する。また、立川の防災基地、有明の緊急対策本部、川崎の物資輸送拠点の3点を結ぶ、防災ネットワークも強化される。新宿から羽田空港へのアクセス時間が半分に短縮され、物流の効率化にも寄与する。さらに、渋滞緩和効果もある。都心環状線には、1日約40万台の車両が入ってくるが、その6割が都心に用事がなく通過するだけの車両だ。今回の開通で都心環状線の交通量は5%減る見込み。この5%により、中央環状線内側の混雑量を約40%減少させる大きな効果がある。2020年のオリンピック・パラリンピック開催を目指して、世界の大都市の中で東京は渋滞のない都市になることを目指している。そのため2020年のオリンピック・パラリンピック開催前までになんとか外環道を開通させてこの目標を達成したい。また、この中央環状線は大規模災害時には交通を支える『命の道』にもなるだろう」と述べた。

首都高速道路 代表取締役社長 菅原秀夫氏

 次に首都高速道路 代表取締役社長 菅原秀夫氏は「本日、中央環状線の全長47kmが全線開通し、首都圏3環状道路のうち最初のリングを完成することができた。昭和38年に計画されてから50年という長い年月をかけようやく実を結んだ。本線の開通により都心環状線は、例えて言うなら、金曜日の混雑から土曜日並の通行量になる。経済効果はもちろん、環境の改善や交通事故の減少も期待される。また防災ネットワークの強化にもつながる。品川線のトンネルは安全面にも万全な対策を行っており、かつ24時間体制でトンネル内をしっかり見守っている。ここに全面開通の日を迎えられたのは関係者の尽力の賜物。これからも社会の期待を真摯にとらえ、安全・安心・快適に利用して頂けるように努力を重ねていく」と述べた。

国土交通省大臣 太田昭宏氏

 来賓祝辞として、国土交通省大臣 太田昭宏氏は「都市部の限られた空間の中で高い技術力を発揮して工事を完成させてことに敬意と感謝を述べたい。首都圏3環状道路は来年の末までに8割が開通する見込みとなっており、圏央道については、東名高速から中央道、関越道、東北道、常磐道、東関道そして成田空港までつながることで、首都圏の物や人の動きが多く変化し、観光や物流の起爆剤になると確信している。また今後整備されたネットワークを効率的に賢く使うための料金体系を検討している」と述べた。

東京都議会議長 高島なおき氏

 さらに来賓祝辞として、東京都議会議長 高島なおき氏は「地元の皆様をはじめ関係者の尽力に感謝を申し上げる。本開通は首都圏、さらに我が国の国際競争力強化につながる。現在、国際標準コンテナを積んだトラックは都心環状線を通過できず、一般道を利用しているが、中央環状線はこのトラックが走行できるため、一般道を通らずに他の高速道へのアクセスが可能になり、効率的な物流ネットワークが実現できる。まさにロジステックな機能が強化され、環境面での効果も大きい。この道路は日本をけん引する原動力であり、東京を世界で一番の都市につくあげていくために大きく寄与するものと確信している。都議会としても、東京の発展のために様々な課題に積極的に取り組んでいくつもりだ」と述べた。

東京都第二建設事務所長 田中慎一氏

 事業報告として、東京都第二建設事務所長 田中慎一氏は「工事期間8年半、総事業3100億円をかけここに品川線トンネルは開通する運びとなった。平成18年に工事を着手し、東京都は大井トンネル、大井JCT(ジャンクション)、換気所建物などの工事を担当した。また、首都高は大橋近辺のトンネルと五反田出入り口、大橋JCT接続工事、トンネルおよび換気所内の施設整備を担当している。工事にあたっては、多くの先端技術を使い、今回開通する品川線は1基のシールドマシンで掘り進んでいる。大橋JCTでは2つのトンネルを地中で接合する難易度の高い工事を行った。五反田付近では予想外の出水にも見舞われたが、関係者で一丸となって対策を行い問題を解決した。換気所には環境面に考慮して二酸化窒素などの有害物質を低減する施設を設置している。中央環状線が多くの人に利用され、東京の発展に寄与することを祈念している」と述べた。

新旧の名車たちによる「通り初め」

 式典後の「通り初め」では、警視庁の誘導車両に続いて東京都の舛添要一知事を乗せた車両を先頭に、往年の名車や各メーカーの次世代の車両、高速バスやトラックなどのパレードが行われた。

「通り初め」でパレードしたクルマたち

 中央環状品川線は本日午後、3月7日16時に開通し、供用を開始する。

(シバタススム)