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首都高、開業直前の中央環状品川線の山手トンネルで「山手トンネルウォーク」を開催

五反田入り口から2万人が約2.5kmを歩いてトンネル内の設備を体験

2015年3月1日10時~16時30分実施

山手トンネルの中を親子連れなど、2万人が約2.5kmを歩いて体験

 首都高速道路は3月1日、3月7日16時の中央環状品川線の山手トンネル全線開業を控え、公募した一般ユーザーにトンネル施設を歩いて体験してもらう「山手トンネルウォーク」を開催した。なお、参加者は、首都高のWebで2月5日から先着2万人を募集したところ、わずか5日間で定員に達している。

 本イベントは、山手トンネルの外回り(新宿方面)五反田入り口から渋谷方面に約1.3kmほど歩き、非常口から内回りに移り、折り返して大井方面へ約1.2kmを歩いてから、再び内回りの五反田出口、もしくは五反田の換気所から外へ出るというルート。雨が時折強く吹きすさぶ天気だったが、トンネルの中ということで、もちろん天候に左右されることなく親子連れなど大勢の参加者がトンネル内を歩いて楽しんだ。トンネル内には、トンネルの工事を紹介するパネルや、トンネルを掘削したシールドマシンの模型、シールドマシンの先端にある掘削用の歯の実物展示、首都高や警察、クルマメーカーによる車両展示、リムジンバスなどバス会社の空港線用バスの展示など、盛りだくさんの内容となった。

「山手トンネルウォーク」を体験してみた

実際に「山手トンネルウォーク」を体験してみたので、その様子を写真とともにリポートする。

「山手トンネルウォーク」出発点の「五反田入口」
開通前のため案内板には白いシートがかぶせられ、電光掲示板はまだ点灯していない
入口の反対側を望む。高架は首都高速2号目黒線、その下には大崎郵便局前の交差点
いよいよトンネルに入っていく
山手トンネルには4つ発光体を1灯にしたLED照明が使われており、省エネルギーと長寿命が特徴
トンネルの開口部。料金所の表示
料金所部分は2車線
料金所は左がETC専用、右がETCと一般の兼用
右側を通ってみた
料金所を過ぎると再び合流する
トンネル壁面の各所には、非常口までの距離が書かれた看板が設置されている
黒い丸に2つ目があるように見えるのは、25mおきに設置された熱感知装置
料金所の合流部には巨大な換気用ダクトが
トンネルの各所に非常口の扉が設置。火災で煙が発生している場合には、車両を路肩に止めて、ドライバーはこの出口から避難する
天井部の各所にはジェットファンが設置
本線との合流部分
合流部分から大井方向を望む
本線とは走行車線で合流できるように設計されている
合流部から入口を望む。一番乗りの一般参加者がすでに待機していた。一番乗りは9時に来た40代の男性とその家族
合流地点には、警察の管轄境界を示す標識があった
合流部の先端にはトンネル信号と電光掲示板がある。この部分は起点となる大井JCT方面から9.88kmの地点
左側にはシャッターと非常口。このシャッターは大井方向に向かう内回り線につながっており、事故などの際はこのシャッターを開いて、車両を内回りに誘導して排出する
消火栓も各所に設置
本線と合流したところ
トンネルの壁面を色とりどりにライトアップしてイベントを盛り上げていた
しばらくは同じような景色が続く
大井JCTから約10.24kmの地点で左側に避難路と内回り線とつながる非常口が見えてきた。どちらかのトンネルで火災などが起きたら、この非常口を使い、片側のトンネルへ避難する
ここにもジェットファンがある。進行方向に空気を流して、空気の入れ換えとトンネル内の温度が均一になるようにしている
天井部の近くにはモニタリングカメラが進行方向を向くように設置されている。このカメラは施設管制室でモニターしており、トンネル内で死角がないように設置されている
超音波を利用した車両センサー。車の流れの速度を測定する
トンネル内には、起点となる大井JCTからの距離を示すキロポストが設置されている。このキロポストは大井JCTから10.18km地点
途中には、今回開通する品川線の全景模型が設置されていた
大井JCTの航空写真の展示
品川線の山手トンネルはほぼすべての区間で「シールド工法」と呼ばれる円筒形の掘削機でトンネルを掘り進み、その内壁にコンクリートのブロックを並べて構築されている
シールド工法用の掘削マシンの模型。左側に地中を掘り進む、ビット(歯)がついている
トンネルの断面図。道路の下には、排水管や配電管などが通っている
掘削マシンの先端につけられていたタングステンの合金でできたビット(記念品としてメッキされている)。右が新品、左が8km掘り進んだ後の状態
五反田換気所の模型。青が吸気の流れ、赤が排気の流れ、緑が避難通路
防災関連のデモゾーンの前には、歩く距離を短くするための、内回り線へいける通路が設置
消火用ホースを握って体験できた
先端を回すと、消化剤の射出状態を棒状と噴霧で切り替えられる
非常電話ボックスの内部も見学できた
故障や救急など種類によってボタンを押すと施設管制室とつながる仕組み
高速道路維持作業車が展示されていた
折り返し地点
トンネル内の放水システムのデモが行われていた。降雨量に換算すると300mm近い水量が放水される
非常口から内回り線へ渡る。山手通りの中央分離帯にある出入り口からでも走行車線に合流できるように、山手トンネル内は車線が逆になっている
内回り線側には記念撮影ポイントと標識車の展示
道路パトロールカーの展示
山手トンネル専任の道路パトロールバイク。事故などの際は15分前後で駆けつけ、交通規制などを行う
警視庁高速道路交通警察隊のパトカー
警視庁高速道路交通警察隊の白バイ
去年導入されたリムジンバスの新型車「スーパーキャビン」。座席を1列なくすことで、前後の間隔を広く各席には電源もある。リムジンバスは新宿や池袋と羽田空港を結ぶ路線で品川線の山手トンネルを使って空港バスを運航する予定。なおはとバスは、山手トンネルのクルーズツアーを募集している
五反田出口の800m手前から出口を示す標識が出てくる
内回り線も基本的には外回りと同じ構造
照明が落とされ、東京の夜景をトンネルの壁に投影しているコーナー
自動車メーカー各社が往年の名車や未来のコンセプトカーを展示しているコーナーを設けていた
五反田出口の手前、大井JCTから10.18km地点
ここでコースが五反田出口から出るコースと五反田換気所の非常口から出るコースに分かれる
まずは五反田出口から出てみることに
1車線の上り坂を上ると
出口の明かりが見えてきた
出口のゲートをくぐる
これで山手通りに合流する。東急目黒線の不動前駅の手前。半数ぐらいの参加者はここから帰っていた
もう一度、五反田出口の分岐点に戻る
分岐点の本線側にゲートがあった
また、しばらく同じようなシールド工法のトンネルが続く
白い籠のようなものはトンネル内の風速計
トンネル内に放送を行うスピーカーも各所あった
9.8km地点にトンネル信号と車両排出用のシャッターがあった
そしてようやく終点の9.12km地点に到着。よく見ると天井に窪みが。これはトンネル内の排気用の換気口。向こう側に見える出っ張った部分が外から吸気した空気をトンネル内の進行方向へ流す換気口
ここの非常口から地上に階段で上る
地上まで175mの地下4階、階段の踊り場から踊り場まで10mずつ登っていく。車いすなどで階段を上れない場合はこの場所で待機する
階段は思いのほか、急で登り切る頃には、汗だくに
途中には椅子がある一時待機所があった。外に出る前にここで待機して指示を待つ
ようやく地上45mまで到着。ここからは長い通路を少し歩く
そして、地上まで到着。このハッチは普段は閉じている。高速道路などでもよく目にするアーチ状のハッチ
五反田換気所の排気塔。トンネル内の空気は排気ガスの大半を除去してこの塔から放出する

(シバタススム)