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コンチネンタル・オートモーティブ、自動運転について中国と日本は好意的、欧州は消極的
日本を含む世界5カ国で、「2020年の世界の自動車のイメージ」をテーマにしたドライバーの意識調査
(2015/5/20 00:00)
- 2015年5月15日開催
コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパンは5月15日、神奈川県横浜市にある本社ビルにおいて、「2020年の世界の自動車のイメージ」をテーマにした、世界各国のドライバーの意識調査結果を発表するプレスカンファレンスを開催。同社のクリストフ・ハゲドーンCEOが、その内容について報告を行った。
同社は世界中に170以上の拠点を持つ、グローバル自動車部品サプライヤー。電気自動車(EV)やハイブリッド車向けの回生ブレーキシステム、LEDヘッドライト用の制御ユニット、自動運転技術の開発など、その製品・技術は多岐にわたり、直近ではトヨタ自動車が新型「カローラ」「オーリス」で導入した新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense C」の中核をなす多機能カメラ一体型レーザーレーダーが同社製のものとなっている。
そんな最先端の技術を開発している同社が今回調査したのは、「自分の自動車を所有したいと思いますか?」「自動運転の第一印象」「運転時のストレスレベル」といった、いわば“ドライバーの感情”について調査したもの。調査はアメリカ、ドイツ、フランス、中国、日本の5カ国で行われ、各国400名(およそ若年層と熟年層が半々)にオンライン調査などを実施している。
自分の自動車を持ちたい?
最初の質問は「自分の自動車を所有したいと思いますか?」。
日本では75%の人が「所有したい」と回答しているが、他国を見るとアメリカと中国では93%、ドイツとフランスでは86%となっており、日本がもっとも低いパーセンテージとなった。
そして若年ドライバー(18~25歳)と熟年ドライバー(60歳以上)のそれぞれに、「自動車を所有することは大事なことである」「他人も望む自動車を所有することが大事である」「自動車があれば、どこへでもいつでも好きな時に移動できる」という3項目で、自身の気持ちがどれくらい当てはまるか評価してもらった。
その結果、「自動車を所有することは大事なことである」との意識に対して高い関心を示したのは、いずれの国でも熟年ドライバーだった。また、「自動車があれば、どこへでもいつでも好きな時に移動できる」については、各国の熟年ドライバーにとって重要な項目であることが示された一方で、若年ドライバーの意識は熟年ドライバーに比べやや低い結果となった。
ハゲドーン氏はこの結果を受け、「若年ドライバーの方が自動車の使い方について合理的な考え方を持っていることが分かった。我々として走行支援アシストにチャンスがあると見ており、例えば渋滞がひどい状況であればストレスが高まる。こうした問題を解決できれば、若年ドライバーも引き続き自動車を所有してくれる可能性がある」との見解を示した。
欲しいクルマは?
次は、実際に乗りたいクルマ(小型車、中型車、大型車、SUV/クロスオーバー、ピックアップ、バン、スポーツカーの全7種類)についての質問。
予算と日ごろのニーズを考慮したうえで、もっとも購入したいクルマはどれかを聞いたところ、日本では「小型車」、ドイツとフランスでは「中型車」、中国とアメリカでは「大型車」との結果が出た。
一方、予算や日ごろのニーズに関係なく乗りたいクルマについて聞いたところ、各国でさまざまな意識変化があった。日本では変わらず「小型車」だったが、ドイツでは「中型車」の代わりに「スポーツカー」の意識が、中国とアメリカでは「大型車」の代わりに「SUV/クロスオーバー」の意識がそれぞれ高まっている。
そしてコスト意識については、70%以上の日本人が「なるべく安い方がよい」と回答しているといい、「これは諸外国と比べ大きな違いがある。フランスでは52%、アメリカやドイツでは40%台ということで、日本はコスト意識が高く、サイズも重要。軽自動車が売れているのはその結果の表れではないか」と述べ、日本人が小型車を好む傾向にあると説明を行った。
電気自動車のイメージ、自動運転の第一印象
次に聞いたのは、電気自動車と従来型自動車(ガソリン、ディーゼル、LPG)を比較して、電気自動車をどう評価しているかについて聞いた。
その結果について、ハゲドーン氏は「もっとも電気自動車についてポジティブな見解を示したのは中国。中国政府の政策により電気自動車は市場規模を拡大できるチャンス」であるとし、日本メーカーは電気自動車の生産を行っている経験があり、他国のメーカーと比べノウハウがあることを踏まえ「日本メーカーにとって成長のチャンス」とコメント。
一方で、自動運転についての第一印象を聞いたところ、もっとも望ましいと回答したのは中国。以下、日本、アメリカ、ドイツ、フランスと続き、欧州では否定的な意見が過半数を占めた。
この結果を受け、日本では電気自動車や自動運転といった先進技術を受け入れる土壌があるとしたうえで、「例えば車内でのインターネット接続なども自動車業界にとって大きなチャンスになると見ているが、こうしたソリューションを提供する側にとってはデータのセキュリティについて考えなければならない」と、今後の課題についても触れられている。
自動運転の実用化に向けたロードマップ
今回のプレスカンファレンスでは、2014年11月から開始した自動運転実験車両による公道での走行実験についての紹介も行われた。すでに北海道紋別市、東名高速道路、東北自動車道などでの走行を終えており、現在5000kmを走行しているという。
先ほどの5カ国を対象に、運転時のストレスレベルについて調査したところ、日本では「渋滞」と「交通量の多い道路の運転」で強いストレスを感じると回答されており、これらを解決するのが自動運転であるとハゲドーン氏は語る。
その自動運転の実用化に向けたロードマップも示され、2018年にドライバーがいなくても自動駐車を行う「パーキングコンパニオン」、渋滞中などに前方のクルマに合わせて自動的に運転する「ロースピードコンパニオン」を実用化するという目標を公開。合わせて2020年に90km/h程度での自動運転を可能にする「クルージングショーファー」、2022年以降に高速道路上でのレーンチェンジなどを含めた130km/h程度での長距離自動運転を行う「ハイウェイショーファー」の実現を目指すことが明らかになっている。
なお、同社は5月20日~22日にパシフィコ横浜で行われる「人とくるまのテクノロジー展2015」に出展。「Toyota Safety Sense C」で使われるカメラやセンサーなどに加え、ガソリンエンジン向けの燃料噴射システム、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)など、多岐にわたる製品・最新技術の展示が行われるので、興味のある方はコンチネンタルブースを訪れていただきたい。