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写真で見る三菱自動車「eKスペース」「eKスペース カスタム」

eKシリーズの本命が登場!

 手ごろなサイズで維持費も安く、そして使い勝手もよいという軽スーパーハイトワゴン。人気も注目度も高いジャンルだけに、自動車メーカー各社はより魅力のあるクルマ作りを競い合っている。その激戦区にまた魅力的な1台が登場した。それが三菱自動車工業の「eKスペース」「eKスペース カスタム」。昨年発売された「eKワゴン」「eKカスタム」に続く新型eKシリーズの第2弾であり、これこそシリーズの「本命」と言える意欲作である。

 eKスペースのタイプは2つで、ベーシックなeKスペースとプレミアム感を持たせたeKスペース カスタムとなる。ともに室内サイズは共通で、室内高は1400mm、室内長は2235mm。室内高に関しては標準的な10歳の男児が直立できるスペースとなっている。室内長と室内幅も十分なので、室内で着替えをさせても不自由はないだろう。

 グレードはeKスペース、eKスペースカスタムともに2モデルを用意。まずeKスペースだが、もっともベーシックなのは「E」。装備を電動スライドドアやキーレス、ABSなど基本的なものに絞ったモデルだ。上級グレートとなる「G」は、SRSサイドエアバッグ、横滑り時の姿勢制御を行うASC(アクティブスタビリティコントロール)など安全装備を充実させるとともに、タッチパネルオートエアコンなどといった便利機能を追加や、内装のグレードアップなどが施され、販売の主力となるモデルである。

 続いてeKスペース カスタムは「カスタム G」と「カスタム T」の2モデル。カスタムグレードはフロントマスクに特徴があり、三菱車らしさを示すため、「デリカD:5」をイメージさせるフロントグリルを装着。ヘッドライト形状もシャープなものになっているが、厳ついイメージではなく、凛々しさをアップさせるデザインで、男性、女性のどちらがステアリングを握っても「さまになる」ことを意識しているとのこと。

 エクステリアではカスタム専用のバンパー、サイドアンダースポイラー、ルーフスポイラー、メッキのテールゲートガーニッシュなどとともに、アルミホイールも標準装備している。そのほか、カスタムG/Tに共通なのが、ディスチャージヘッドライト、マルチリフレクターフォグランプ、LEDターンランプ付き電動格納式リモコンドアミラーなどの装備。インテリアはカスタム専用のブラックシート生地となり、インパネ、ドアトリムもブラック仕様。そして本革巻きステアリング、タコメーター付きのハイコントラストメーターなどを装備している。

写真は標準モデルのeKスペース「G」。基本的なボディー形状はeKスペース カスタムと同じだが、ライトとグリルのデザインが異なる。控えめながら凛々しい顔つきは幅広い年代の男性/女性に似合う。eKスペース、eKスペース カスタムともにボディーサイズは3395×1475×1775mm(全長×全幅×全高)
こちらはeKスペース カスタムの「カスタム G」。三菱自動車らしさを強調するフロントマスクを採用するとともに、サイドとリアにエアロパーツを装備。ボディーサイドにプレスラインを入れたことで、横から見たときにボディーの厚みを感じさせないデザインとした
eKスペース同士だが、ヘッドライト、グリル、バンパーに異なるデザインを採用。どちらも普通車クラスの三菱車に通じる雰囲気を持つ
リアコンビランプは上からブレーキ、ウインカー、バックランプの並び。加えてリアゲート上部にはハイマウントストップランプが付く。eKスペース カスタムはベースがメッキ仕様でクリアレンズとLEDタイプブレーキランプを採用し、高級感が高められている
全車電動格納式ドアミラーを装備。カラーはボディー色と同色に塗装されている。eKスペース カスタムのみ、LEDターンランプを埋め込んだサイドミラーを採用している
オーソドックスな形状だが操作しやすいドアノブ。デザインは全車共通でボディーカラーと同色仕上げ。ルーフアンテナは右側にオフセットしていて可倒式。eKスペース カスタムにはルーフスポイラーも装備する。リバース連動リアオートワイパー&ウォッシャーも全車標準装備
タイヤ&ホイールの設定は、eKスペース カスタムはTグレードのみ165/55 R15タイヤ+アルミホイール。Gグレードは165/65 R14+アルミホイール、eKスペースは155/65 R14+スチールホイール(フルホイールカバー付き)となる
eKスペース カスタムは光軸調整機構付きHIDヘッドライトとフロントバンパーのLED導光タイプのポジションランプを装備。eKスペースのライトは光軸調整機構付きマルチリフレクターハロゲンランプだ

エコを追求する自然吸気と余裕の走りを実現するターボ

 搭載される0.66リッターエンジンは、連続可変吸気バルタイ機構のMIVEC付きとなるDOHC12バルブの自然吸気と、MIVEC付きのDOHC12バルブ+インタークーラーターボの2タイプ。ターボエンジンはカスタムのTグレードのみに設定されている。スペックは自然吸気エンジンが最高出力36kW(49PS)、最大トルク59Nm(6.0kgm)。ターボエンジンは最高出力47kW(64PS)、最大トルク98Nm(10.0kgm)だ。

 このうち自然吸気エンジンのみに設定される機能として、アイドルストップ機能である「オートストップ&ゴー(コーストストップ機能)がある。さらにガソリンをほぼ消費しない減速時のエンジン回転力を利用して発電機を動かし、そこで作られる電気を蓄電する「アシストバッテリー」も装備。これはアシストバッテリーに貯めた電気を使うことで、エンジンから動力を取る発電機を余分に回さない=ガソリンの節約による燃費向上を狙うというもの。

 トランスミッションはCVT(INVECS-III)で、スムーズな加速ができる変速設定と、燃費向上を両立させている。急坂での発進時などにクルマがずり下がることを防止する「ヒルスタートアシスト」も装備する(カスタムTは除く)。

エンジンは2タイプで、アイドルストップ付きの直列3気筒DOHC 0.66リッター自然吸気エンジンをeKスペース全車とeKスペース カスタムGに搭載。最高出力は36kW(49PS)/6500rpm、最大トルクは59Nm(6.0kgm)/5000rpm。eKスペース カスタムTのみにハイパワーな直列3気筒DOHC 0.66リッター ターボエンジンを積む。こちらの最高出力は47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク98Nm(10.0kgm)/3000rpmだ
トランスミッションはワイドレシオのCVT(INVECS-III)。変速制御に最新のプログラムを採用したことで、アクセルの踏み込み量に対してエンジン回転とスピードがリニアに追従する
減速時のエンジン回転力を利用する回生システムを装備。ここで発電した電気をアシストバッテリーに蓄えることで、メインバッテリーの消耗を軽減。するとエンジンの駆動力を使う発電機の動作時間も減るので燃費向上に繋がってくれる

eKスペースの本領はリアシートにあり

 eKスペースは30歳代で子育て中の女性に乗ってもらうことを想定している。これは単に「女性向け」ということではない。この世代の女性は家事や仕事、そして幼い子供の子育てとかなり幅広い事柄への対応を求められていて、これらを補助するアイテムを必要としている。そこでeKスペースでは多忙なママさんが「便利」と思える機能を盛り込むことにした。女性用という言い方より、「生活の達人に向けたユーティリティカー」と言えるものだろう。

 そのeKスペースで特に注目したいのが後席空間についてだ。リアドアはワンタッチで操作できる電動スライドドアを採用し、開口幅は580mm。これは大人の男性の肩幅より広い。そして開口部の高さだが、こちらも十分なサイズと言える1226mmになっている。ここは全グレードに共通する部分である。

 リアスライドドアは、運転席のスイッチ操作およびキーレスオペレーションキーで操作を行える。また、キーレスオペレーションキーを携帯していれば、ドアハンドルのスイッチを指先で押すだけでドア操作が可能。子供を抱いて、荷物も持って……という状態でも車内へのアクセスが容易になっているのだ(Eを除く)。

 そして室内。写真でも確認できるがリアの足下は非常に広い。これは大人が座っても広々と感じるもので、軽自動車としては十分すぎる足下スペースを確保している。さらにリアシートの座面も約58cmと縦方向の長さがたっぷりあるので、無理して行儀よく座らずとも腿の裏が座面から余ってしまうことはなく、ゆったり座ることができるだろう。

 さらに、このリアシートには260mmというスライド幅が持たされている。シートは左右2分割なので、それぞれ独立してスライドさせることが可能だ。そのため左リアシートにチャイルドシートをセットした場合、ドライバーシートのママさんがシートに座ったまま振り向いた姿勢でもチャイルドシートに手が届く距離まで後席を前方へスライドさせることが可能になっている。この振り向き姿勢に関しては、身体をひねったときに上半身をリア側に寄せやすくするため、ドライバーシートの肩部分を丸めるデザインを取り入れるこだわりようだ。

 積載についてもこのリアシートが活躍する。左右独立フラット格納機構も備えており、前倒しして足下にたためばリアにフラットなスペースが生まれる。ホームセンターやショッピングモールで大きな買い物をしたときに便利なのはもちろんのこと、自転車で学校や塾へ通っている子供の送迎にクルマを使う場合でも、シートをたためば27インチサイズの自転車を載せることもできてしまう。長尺物を積むときは分割シートのどちらかをフラットにすれば対応でき、片側には人を乗せるという使い方もできるのだ。

 このように使い勝手と居住性に優れたeKスペース。さすが30歳代で子育て中の女性という「多用に多忙な人」を意識しているだけに、誰に対しても“使えるクルマ”であることは間違いない。

eKスペース カスタムの内装。シート生地やインパネがブラック色になっていてスポーティかつプレミアムなイメージ。カスタムグレードはタコメーターも装備する。メーターベゼルはシルバーで立体的な形状となっていて、文字盤デザインは白色グラデーションとなる。メーターセンター部にはマルチインフォメーションディスプレイを配置。オートエアコン操作部はタッチパネル式で、表面パネルはピアノブラック塗装となり高級感のある仕上がり
こちらは標準モデルのeKスペース。内装色は暖かみのある上品な色合い。インパネからドアトリムまで柔らかなラウンドで形成されたデザインで、クラスを越えた質感となっている。標準モデルのメーターは大型のスピードメーターが主体。マルチインフォメーションディスプレイは下側に配置する。ここにはオートストップ&ゴー(アイドルストップ)のモニター、平均燃費、外気温度(Eを除く)、凍結警報(ブザー連動)、航続可能距離、サービスリマインダー、イルミネーションコントロールが表示される。運転席右側には左右の電動スライドドア操作スイッチ、アイドルストップスイッチ、光軸調整機構付きなどがある
フロントドアはほぼ直角に近い85度まで開く。また、シートの高さ設定にもこだわっていて、路面からの高さはフロントが670mm、リアが740mmという設定。室内の寸法は2235×1320×1400mm(室内長×室内幅×室内高)もある。レッグスペースが広いので標準体型の大人4人が乗っても窮屈な感じにはならない
フロントドアのスピーカーグリルをトリムデザインとして生かしているので、トリムにも高級感が出ている。下部にはペットボトルと書類が入るポケットが設けられている
フロントシートの両サイドには引き出し式のカップホルダーを用意。エアコン吹き出し口を調整すれば、ホルダーに置いた飲み物に風を当てることもできる
ステアリング下部にもポケットを用意。奥にはリモコンキーがバッテリー切れを起こした際に差し込んでキーを認識させる緊急用ポートもある。助手席側にはダッシュパネルにポケットがあり、グローブボックスも奥が深く容量はたっぷり。各ポケット類は走行中の振動や加速&減速Gを受けても中身がこぼれにくいように入り口部の形状を工夫してある
天井高が高いのでサンバイザーもロングタイプ。運転席側にはミラーを装備している。運転席後ろの天井に付くリアサーキュレーターのセンターには小物入れがある。リアシートに乗せている子供がお菓子を食べたりジュースを飲んだりしているときに、口元をサッと吹いてあげるためのウェットティッシュなど入れておく、そんな使い方も考慮してこの位置・向きになったという
助手席下にあるトレイは前方だけでなく、後方にも引き出せるようになっている。これも女性の声を取り入れて採用したもの。リアの使い勝手に優れるクルマなので、リア側から使える小物入れが増えるのは非常に便利。トレイは水洗いが可能だ
助手席背面にはシートバックテーブルが付く。リアシートに小さい子供を座らせた場合、テーブルがちょうどよい高さになるように設定してある。テーブルの右横には耐荷重1kgのフックがあるが、これは運転席からドライバーが振り向いたときの使いやすさを考えてのもの。後席のサイドトリムにも飲み物が入るポケットがあるが、最近はコンビニで紙パックの飲料を購入するケースも増えている。そこでここは四角いパック飲料が入る形状になっているのだ。細かい部分までこだわっていることがうかがえる
前席シートベルトは座る人の身長に合わせて高さを変更できる。調整はボタンを押しながら上下にスライド。リアシートのシートベルトにも細かい気使いがあり、使わないときに金属の差し込み部が走行中の振動で内装にカチャカチャと当たらないよう、固定用のフックが付いている
クラス初の装備となる天井装着のリアサーキュレーター。室内が広いクルマだけに、夏場は室内全体を冷やすのは大変。エアコンの風量が常時強い状態では風の音も大きいし、電力も余計に使う。そこで前席のエアコンの冷気をリアに効率よく送るための装置がこのサーキュレーターになる。これとあわせてリアウインドーに装備されるロール式サンシェードを使えば、気温が高い時期のリアシートの快適性は大幅に向上する
リアシートをスライドさせたときの足下スペースをイメージしてもらうための写真。前席はシートバックを前倒ししているが、シート位置は身長170cmが座ってちょうどいい位置だ。その状態でリアシートを前後に最大限スライドさせている。スライド量は260mmもあり、左右それぞれでスライドできるのも便利だ。リアシート座面の縦サイズはメジャーでの簡易計測で約53cmとたっぷりある。座面幅が足りないと、腿裏が変に浮いてしまい座っていて疲れが出るが、このシートならその心配はなさそう
リアシートをたたむことで、大きいラゲッジスペースが生まれる。シートの倒し方は肩部にあるレバーを引くと背もたれが前に倒れる仕組み。同時にシート下のフックとの固定ロックも解除され、背面のストラップを引き上げると足下スペースに座面ごと収まる。ちなみにリアシートをたたんだ状態でも前席を前に詰める必要はないので、ドライビングに影響はない。助手席でシート座面からダッシュパネルまでの幅を計測したところ約26cmもあった

eKスペース カスタムオプション装着車

こちらはオプション装着のeKスペース カスタムG。ボディーカラーは有料色となるパープリッシュネイビーパール
カスタム用のコーナーポール。ライトを付けると光るので夜でも確認しやすい。価格は1万1550円(工賃込み)
ボディー色塗装済みのヘッドライトガーニッシュ。取り付けは両面テープ。1万5540円
メッキミラーカバーは価格は1万6170円(工賃込み)。メッキドアハンドルカバーは価格1万2810円(工賃込み)
本革ステアリングカバーを装着。価格は1万9950円(工賃込み)。色本革調シートカバーは3万9900円。色はどちらもブラウン
車名プレート付きデラックスフロアマットの価格は1万9950円(工賃込み)。足下が青く光っているのはドアカーテシ連動LEDフロアイルミネーション装備のため。価格は1万4700円(工賃込み)
リアシート背面とリアラゲッジフロアに付くラゲッジトレイ。価格は1万8900円(工賃込み)
イルミネーション付きスカッフプレートは価格2万2260円(工賃込み)
ハイスペックなワイド2DINの7型AV一体式メモリーナビゲーションシステム。工賃込み価格で18万4590円
カスタムのみにステアリングオーディオリモコン+リアスピーカー+ツイーターのオプションがある
LED照明付きのプラズマクラスター。価格は2万685円(工賃込み)
カスタム G/Tに用意されるオプションがマルチアラウンドモニター(バードアイビュー機能付き)。クルマ上部から見たバードアイビュー、フロントビュー、リアビュー、左右それぞれのサイドビューをルームミラーに表示できる。駐車時などの運転サポート、そして安全性向上に大きく貢献する装備だ。ハイスペック7型AVメモリーナビを付けた場合、ナビ画面にこの映像を表示することが可能

(深田昌之)