日下部保雄の悠悠閑閑
ちょい見した「東京モーターショー 2019」
2019年11月4日 12:00
この稿が掲載される時にはすでに多彩なメディアから報道がなされていると思うが、私もちょい見した東京モーターショー 2019の感想を記してみよう。
ちょい見というのには理由がある。実は病院に約2週間も閉じ込められており、ようやく解放されたのはモーターショーのプレスデー初日だった。さすがに速攻お台場に行くことはできずに、翌日の半日あるプレスデーに朝から出かけてみた。
会場は広大で、最初に調べておかないとどこに行ったらよいのか分からない。ガイドブックの存在もパッと見た目には分からなかったので、偶然行き会わせたAJAJの諸星君(彼は2日間とも出勤)に「どこへ行けば何があるの?」とお教えを乞うた。何しろ2週間とはいえ浦島太郎状態なのだ。
彼の説明をもとに、およその見当を付けて有明エリアから探訪する。西展示棟では日産、三菱自動車、スズキといった乗用車メーカーと川崎、ヤマハといった2輪メーカーが揃っていた。
隣接する南展示棟の1階には、ホンダ、マツダ、レクサス、メルセデス、アルピナといった乗用車メーカーが、4階にはブリヂストン、住友ゴム、横浜ゴム、グッドイヤーといったタイヤメーカーをはじめとした、部品メーカーなどが展示している。
本当ならば各ブースを回って、新しい技術、普段目にすることができない技術の説明を受けるのも楽しみなのだが、残念ながら退院直後の体力と根気に自信がなく、先を急いで横目で見ながら通過する。それぞれ魅力的で無念なのだ。
日産のBEVのSUV「アリア コンセプト」やマツダ初のBEV「MX-30」、ホンダのBEV「Honda e」と新型「フィット」、レクサスのコンセプトクーペなど、モーターショーだからこそのお披露目だ。BEVの本格的な時代を迎えていることがうかがえる一方、日本は内燃機のイノベーションでハイブリッドと組み合わせたCO2の削減を目指しているように思える。それぞれのプレゼンも少ししか聞けなかったが、内容の濃いものが多かった。
次はシャトルバスに乗って、青海に移動。ここではトヨタ、ダイハツ、スバルといった乗用車メーカーや、いすゞ、三菱ふそう、UDトラックス、日野といった大型トラックメーカーが名を連ねる。
スバルは新型「レヴォーグ」やコンセプトカー、ダイハツは発売間近のコンパクトSUVが展示されており、モーターショーらしい雰囲気だったが、変わっていたのはトヨタブース。ここには車両展示がない。パフォーマンスや来場者体験型のマシンで表現した未来のクルマ社会が提案されている。電動化技術を集めたEVプラットフォーム、そして未来のコンビニなどがブース内にあり、展示に特徴がある。トヨタの想定する未来の端っこがここにはあり、それはそのまま自家用車の所有を前提とした、現在のビジネスモデルから踏み出そうというトヨタの意思が読み取れる。
新型「ヤリス」や次期型「MIRAI」、自動運転、AIを搭載したコンセプトカー「LQ」は全く別の場所に展示されており、ここで見ることはできない。
ここまで本当に荒っぽく、各ブースを回ったところでガクリと体力が尽きてしまった。残念だし、精魂込めて展示してきた各メーカーには申し訳ない気持ちがいっぱいだ。
今回は東京モーターショーを俯瞰でとらえることしかできなかったが、広いエリアに展示された展示内容には、それぞれ注目すべき内容が多かった。グローバルなポジションは失ってしまったとはいえ、東京モーターショーは各メーカーの主張や技術の発露を感じられて相変わらず面白かった。東京ならではのモーターショーの存在感が高まった。
あえて言えば自動車を中心としたEXPOを目指すとすれば、点在しているブースの置き方や展示方法などをブラッシュアップする必要があると思う。来場者への休憩場所や、案内表示の充実、展示ブースの詳細などが一目瞭然とする努力が必要だと感じた。来場者の数も大切だが、いかに心地よく過ごしてもらえるかが重要だと思うのだ。
ところで約2週間も病院に入っていたのは、喉の具合がわるくて耳鼻咽喉科を訪ねたら、そのまま緊急入院となってしまった。原因は帯状疱疹が喉に出てしまい飲み込むのが難しく、点滴に頼ることになったためだ。医師の早期の処置のおかげで日常生活に不自由ない程度まで回復した。病院の規則正しい生活と栄養管理のおかげで体も軽くなった。ただ、体を動かさなかったので体力がすっかり落ちてしまい、退院直後のモーターショーはかなり応えた次第。
おかげさまで順調に回復しています。