まるも亜希子の「寄り道日和」
新型フィット e:HEVで参戦した2021もてぎミニJoy耐レース
2021年12月9日 00:00
新型フィットe:HEVを世界最速のFFコンパクトカーにするぞ! という(勝手な)意気込みのもと、モータージャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」と、Hondaものづくりセンターの技術者たちがタッグを組んでチャレンジしている耐久レース「Joy耐」。
これまで、当初デビュー予定だった2020年夏のJoy耐がコロナ禍で中止となり、11月の2時間耐久「ミニJoy耐」でようやく初戦を終えることができました。総合11位完走という望外の結果に気をよくし、さらなるブラッシュアップを経て、2021年夏には初の7時間耐久を順調に完走。宿敵の故障リタイアによる棚ボタでクラス優勝を勝ち取るという、うれしいオマケまでついたフィットe:HEVだったのですが……。
まだまだ、総合では約70台中37位という状況。「最後に狙うは総合優勝!」という3年計画でいくと、ちょうど半分が過ぎたわけなんですが、次は2回目のミニjoy耐で前年より総合で上の順位を狙いたいのに、タイムアップのためにやるべき手はすべて打ってしまった状態に。ここからのタイムアップはもう、アレに手を出すしかない! ということで、思い切ってLSDを組み込むことになったのでした。
しかしそうなると、またそれに合わせていろいろな調整が必要となり、エンジニアの皆さんは、普段の業務をこなしつつ、レースに向けての準備も間に合わせなければならないので、かなりハードな毎日を過ごしてきたと思います。
ただ朗報は、本番1週間前の練習走行で、自己最高タイムがマークできたこと! いちばん最初にツインリンクもてぎ本コースを走った時のタイムから、なんとなんと20秒以上も速くなるという、うれしい成果が出たのでした。トラブルも何もなく、チーム全体が「よし、これはイケる!」とすごくいい流れで11月28日のミニJoy耐を迎えました。
前の晩に飲みすぎることもなく(笑)、全員が早朝にちゃんとピットにそろい、すがすがしくスタート。まずは橋本洋平が予選アタックです。寒い時期なのでタイヤが暖まりにくい点はありますが、バッテリーをしっかり満タンにした状態で、いざ、全開!
時間ギリギリで出したのは、2分27秒台というこれまた自己ベストのタイム。ライバルまであと数秒のタイムまで迫ってきたこともあって、ピットは拍手喝采、みんなで大喜びしたのでした。
そしてグリッドは23台中17番グリッドを獲得。同クラスのライバルは、2つ前の15番グリッドということで、昨年に比べたらかなり近づいたのは本当にうれしい光景ですね。「スタートで抜いちゃえ~」なんてスタートドライバー担当の橋本に、みんなで声がけして応援していたのですが、ほんとに抜いてくれてまたピットは大盛り上がりでした。ただ、相手の方がラップタイムが速いので、1周で抜き返されましたけどね(笑)。
そこからは、燃費のよさとタイムのバランスのよさを生かして、淡々とラップを重ねていくのがハイブリッドの強みです。できるだけガソリンを軽くして、後半でタイムアップして稼ぎ、順位をなるべく上げてから、サクッと2番手・石井昌道にドライバーチェンジする作戦でした。
よし、順位も10位近くまで上がってきたし、そろそろ……と石井がヘルメットをかぶって交代の準備をし始めたころ。マシンが帰って来ないという連絡が……。場内の映像を確認すると、なんと1コーナーあたりでコースアウトしている、わがマシンの姿が映っているではないですか。すぐに復帰することを願ったのですが、数分経っても動くことはなく、これは何かメカニカル的なトラブルがあったのだと推測できました。
なすすべなく、数十分後にわがマシンはレッカー車に積載されて、パドックに戻ってきたのでした。その姿の悲しいことといったら。みんなぼうぜんとするしかありませんでした。橋本にけががなかったことと、ほかのチームを巻き込まず、レースを中断させることもなかったことに、心底ホッとしています。
この直前まではすべてがうまくいっていただけに、チーム全員、ショックは大きいのですが、現在は原因を調べて反省会を開き、次に向けて何ができるのか、また前を向いていこうとしているところです。でも、予選で自己最高タイムがマークできたことなど、収穫も多かったミニJoy耐。来年はいよいよ集大成にする年です。最速FFコンパクトへの道は、ここからが正念場です!