まるも亜希子の「寄り道日和」

夕暮れに早めのヘッドライト点灯“おもいやりライト運動”に参加してみました

呼びかけアクションは、青信号で走っているクルマにはやらないのがルール。驚かせたり、脇見運転の原因になったりしてしまいますからね。でも、小さな子どもまでパネルを持って呼びかけている姿は、何かしらドライバーさんに響いたのではないかと思います

 夕暮れが早くなってきましたよね。「秋の日はつるべ落とし」などと言われますが、まさに、東京ではもう16時前くらいになると薄暗くなって、あっという間に日が沈んでいく印象です。

 実はこの時期、こうした薄暗くなった時間帯の交通事故が多くなって、特に死亡事故は例年、10月~12月がとても多くなっているんです。その原因の1つが、日が短くなって暗くなるのが早いにもかかわらず、「まだ16時だから」とヘッドライトをつけずに走行するクルマ。ドライバーが歩行者などを見落としやすくなることに加えて、対向車など周囲のクルマから自車が見えにくいというのも事故が起こりやすくなる要因なんですよね。

 そこで、ドライバーがいつもよりちょっと早めにヘッドライトをつけるだけで、交通事故は減らせるんですよ、ということを呼びかけているのが「おもいやりライト運動」。もともとは、日産自動車がハローセーフティキャンペーンの一環としてスタートしたのがきっかけとなり、2010年9月にWebサイトが開設され、初イベントが開催された活動です。もう10年以上、続いているんですね。

 私も2012年くらいから少しずつ、取材させていただいたりするようになり、2020年には日本全国でこの活動に参加している皆さんと、活動報告や今後の課題などをディスカッションする「TRY-LIGHT ONLINEフォーラム」と呼ばれるフォーラムにも参加させていただきました。

 そこで、いろんな街で「呼びかけアクション」を行なう様子を見せてもらっているうちに、私もやってみたいなぁと思うように。「呼びかけアクション」とは、黄色いパネルを持って路上に立ち、ドライバーの皆さんに早めのヘッドライト点灯をアピールして、知ってもらうという活動です。各自、暗い中でも目立つようにこの活動では「サムシングイエロー」と呼ばれている、黄色い洋服や小物を身につけて参加するのがまた、連帯感が出て楽しそうなんです。

 そしてついに、毎月10日が「点灯の日」で、特に11月10日は「いい点灯の日」ということで、そこに近い11月13日に、吉田由美さんと共同主催する「クルマ業界女子部」とのコラボイベントとして、横浜市の日本大通りで「呼びかけアクション」をやってきちゃいました!

 緊急事態宣言が明け、土曜日ということでクルマの通りは多く、人もにぎわっている中、日の入りが16時10分ごろということで、その少し前の15時30分に集合。黄色い「いま、点灯!」という横断幕や、ひと言ずつ呼びかける言葉が書かれたパネルを各自で持ち、交差点の角に陣取ります。とっても目立つ黄色い軍手をおそろいで手にはめて、少しずつ距離をとって並べば、さぁ、呼びかけアクション開始です。

 青信号でクルマが走っている時は、脇見運転の原因になってしまうのでパネルは下にさげて、ドライバーの視線を邪魔しないように気をつけます。その間にも、ライトをつけていないクルマがたくさん通過するのでウズウズしてしまうんですが、そこはガマン。そして赤信号になってどんどんクルマが停車したら、待ってましたとばかり、パネルをドライバーさんに向けてアピールします。恥ずかしいのか視線を合わせないように無視したり、そっぽを向いたりするドライバーさんもいて、そこは悔しい気持ちになるんですが、目が合うとすぐにライトを点灯してくれて、手を振ってくれるドライバーさんもたくさんいて、そういう時はすごくうれしくなるんですよね。パネルを見てライトを点灯してくれたら、パネルをひっくり返すと「ありがとう!」という言葉が伝えられるようになっています。そうするとまた笑顔になってくれるドライバーさんも多くて、通じた~とさらにうれしくなりました。

 もうあとはひたすら、ガンとして無視するドライバーさんをなんとか点灯させようと、だんだんオセロみたいなゲーム感覚になってくるのが面白いところ。今回の印象としては、タクシーや路線バス、トラックといったプロドライバーさんたちがまったく点灯しておらず、アピールしても無視するという、なんとも残念な現実を知ってしまいました。中には、お客さんを乗せていたタクシーが、お客さんがパネルに気づいて運転手さんに何か言ってくれたらしく、ライトを点灯してくれたシーンもありました。そうです、乗っているお客さんの命もかかっているんですから、しっかり早めにライト点灯してください、運転手さん!

 というわけで、16時過ぎの日の入りを持って、呼びかけアクションは終了。30分ちょっとの短い時間でしたが、いろいろと感じた貴重な体験となりました。何より、一緒にアクションした皆さんとは、初対面の人も多かったんですが、たった30分ですごく連帯感が生まれて、うちの娘と参加者の娘さんもすっかり仲よしに。最後は「まだ一緒に遊びたい~」と名残惜しそうな感じがほほ笑ましかったです。

「おもいやりライト運動×クルマ業界女子部コラボ呼びかけアクション」に集まってくれた皆さん。黄色い横断幕やパネルを手に持ち、みんなでワイワイと楽しく安全運転を伝える呼びかけができました。実は、わが娘と義母も参加(笑)。楽しかった、あっという間だった、と感想をもらいました。こういう活動は硬く考えられがちですけど、楽しんでできるのが一番ですね

 ずっと参加してみたかった「呼びかけアクション」。1台1台のドライバーさんに呼びかけていくという、地道な草の根運動ではあるんですが、ライトをつけるだけで守れる命があるということ、これからもしっかり伝えていきたいと思います。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Zなど。 現在は新型のスバル・レヴォーグとメルセデス・ベンツVクラス。