まるも亜希子の「寄り道日和」

魚沼の田舎体験村で「そば打ち体験」

白っぽくてきれいな自家製そば粉を使い、家族みんなでそば打ち初体験がスタート。子供にとってはお砂場遊びみたいな感覚かもしれませんが、手でこねていくのは見た目よりも難しく、経験と技術が必要なところです

 関東近郊では各地で紅葉が見ごろを迎えていますが、同時に「新そば」の季節でもありますよね~。信州生まれの父親の影響か、幼いころからそばに目がなかった私は、もうこの時期になると新そばが食べたくて仕方がなくなります(笑)。ドライブをしていて、おいしそうなそば屋さんを見かけると、思わず寄り道してしまいそうになるんですが、皆さんはもう新そば、いただきましたか?

 こんなにそばが好きなのに、いや、こんなに好きだからこそずっと手が出せなかったのが、実は「そば打ち体験」なんです。だって、せっかく農家の方が苦労して育てて細かくひいてくれたそば粉なのに、おいしくないそばにでき上がってしまったら申し訳ないじゃないですか。そうです、単に自信がなかっただけなんですが、新潟へ行った時に子供と一緒に参加できるそば打ち体験があると聞き、ついに禁断の扉を開いてしまいました。

新潟県魚沼市にある「上田の郷」は、田植えや稲刈りなどいろんな田舎体験ができるところです。マイカーでドライブがてらに行けて、子供も一緒に参加できるのがいいですよね。冬にはかまくらを作り、その中で飲んだり食べたりする体験もできるそうです

 行ってきたのは新潟県魚沼市にある「上田の郷」という、田舎でしかできないいろんなワークショップを行なっている、田舎体験村。「魚沼市」と聞けばピンとくるのは有名な米どころということだと思いますが、田植えの時期には田植え体験、収穫の時期には稲刈り体験が人気のワークショップ。冬にはかまくら作り体験ができたり、餅つき体験などいろんなことができちゃいます。その中で、1年を通して行なっていて、雨天でも参加できるのが「そば打ち体験」。電話で申し込み、クルマで行ってみると、すでに家族3人分の自家製そば粉が用意されていて、さっそく体験開始です。

 まずは大きな器の中で、そば粉と水をよく手でこねて、きれいなお団子のようになるまでせっせとこねます。手早くやらないとすぐに乾いてきちゃうけど、水を入れすぎると柔らかすぎちゃうので、加減が難しいんですね。でもそこは、熟練の技を子供にも分かりやすく伝授してくれるので、泥んこ遊び感覚で娘も楽しそう。そしてツヤツヤしたまん丸のカタマリになったら、今度は板の上で伸ばしていきます。

 子供の肩幅の3倍はある長い麺棒で、両手を均等に動かして少しずつ広げていくんですが、これが素人だと片寄った広がりかたになってしまうのに、先生がやるときれいな長方形に伸びるから不思議。A3くらいの大きさになったら、麺棒に巻き付けてさらに広げていきます。最終的には厚さが数mm、A3が2枚分くらいの大きさになったら、それを四つ折りくらいにたたみ、いよいよ包丁で細く切っていきます。

身長が110cm程度の娘もやりやすいように、踏み台を用意してくれているのがありがたいです。手取り足取り、丁寧に教えてくれるので、子供でもしっかり体験できました。自家製そば粉のそば打ち体験は、1人1600円で2名以上の受付となっています。自分で打ったそばと天ぷら盛り合わせがいただけることを考えると、とってもお得!

 これはどうしても娘が「やりたい!」と言うので、大丈夫かしらと不安になりつつも、先生が丁寧に教えてくれるので任せてみることに。包丁が曲がらないように、板で押さえながら切ることでそれなりに細く、均一なそばになるようですね。私も途中から少しやってみたんですが、けっこう力がいるのでビックリ。手打ちそばって、こんなに重労働なんだなぁと知って以前よりさらにありがたみが増したのでした。

 そして無事に全部切り終えたら、すぐに厨房でゆでて、揚げたての天ぷら盛り合わせとともに、自分たちの手打ちそばを食べられるのもうれしい! 想像よりかなり太めのそばでしたが(笑)、苦労した分だけおいしさもひとしおでした。最近はフードロスの問題も重視されていて、うちの娘も出されたものを平気で残したり、好きなものしか食べないことがあるんですが、こうした「作る楽しさ、大変さ」を知ることで、食べ物を大事にする気持ちも育まれたらいいなぁと思います。

 上田の郷ではそば打ち体験のほかにも、「あんぼ作り体験」や「ちまき作り体験」「ぬか釜炊き体験」も通年でできるそうなので、ドライブで田舎体験、また行ってみたいなと思っています。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Zなど。 現在は新型のスバル・レヴォーグとメルセデス・ベンツVクラス。