まるも亜希子の「寄り道日和」

青山で、鈴鹿で、オンラインで楽しむ幻の日本GP

今季シリーズチャンピオン獲得を祈願して、青山にチャンピオンマシンが大集結しているイベント「Honda F1 2021 2nd Stage ~夢は挑戦の先にしかない~」が、Hondaウエルカムプラザ青山で10月18日まで開催中。マクラーレンホンダ、ウィリアムズホンダ、そしてもちろん今季のマシンも間近で見られます。優勝を記念して各地のGPごとに製作されているポスターも、すでに8枚がズラリ。すごくカッコイイですよ。会場奥の方に飾られているので、お見逃しなく

 今季限りでF1から撤退するホンダが、最後に鈴鹿を走る姿を間近で思いっきり応援したいと、ずっとずっと願ってきたのですが……。2021年の日本GPは幻となってはかなく消えてしまいました。旧知のモビリティランド社長・田中薫さんが「本当に辛く、厳しく、悔しい決断だった」とコメントしていたのが、こちらにまでその痛みを伝えてくるようでした。何か大切なものを急に失ったような、目標を見失ったような喪失感に襲われた人も多いのではないでしょうか。

 そんな時、試乗車を返却するためにホンダ本社へ向かっていた私のもとに、夫からLINEが。「1階のウエルカムプラザでいいものやってるらしいよ」というのです。なんだろうと思いながら、帰りがけに1階に立ち寄ってみた瞬間、目の前に夢のような光景が広がっているではないですか! 思わず「うわ~」と駆け寄ってしまったのは、私だけではないはずです。セナが、プロストが、ベルガーが、テレビの中でものすごい走りを見せてくれていたあのF1マシンたち。1988年に、16戦中15勝という圧倒的な強さを見せつけ、最多勝利記録とダブルタイトルを獲得した、マクラーレンホンダMP4/4も目の前に鎮座しています。

 そして周囲を見渡せば、平日だったこともあってそれほど混雑はしていなかったものの、来場者はみんなそれぞれマシンに見入ったり、いろんな角度から写真を撮ったり、感動したシーンの思い出話を語り合ったりと、ホンダがこれまで歩んできたF1街道を一緒に歩くかのような世界観が広がっていて、思わず込み上げてくるものが。もっともっとこんな時間が続くと思っていたし、まだまだこの勇姿を見ていられるものだとばかり思っていたのに、終わりが近づいているのだということも実感せずにはいられなかったのでした。

 でも、最後に鈴鹿での再会は叶わなかったけれども、そんな私たちファンとの別れを惜しんでくれるかのように、なんと今日、10月7日から“もうひとつの日本GP”とも言える参加型オンラインイベント「Honda Japanese Virtual Grand Prix」が開幕するそうです! その内容がすごくて、10月7日18時~はなんと、マックス・フェルスタッペン選手とセルジオ・ペレス選手との公開オンラインライブセッション。10月7日19時50分~は、ピエール・ガスリー選手と現在唯一の日本人F1ドライバー、角田裕毅選手がトルコからの中継でオンラインライブセッションを行なうとのこと。2人の生の声が聞けるそうなので、今からドキドキしてしまいます。

 また、10月10日の16時~16時30分には、トルコGP決勝直前のパドックからのライブ中継で、田辺豊治テクニカルディレクターと、山本雅史マネージングディレクターが公開オンラインライブセッションを行なうとのことで、これまた貴重な時間となること間違いなし。前回、惜しくもハミルトン選手にドライバーズポイントをわずかに逆転されてしまったフェルスタッペン選手なんですが、再逆転への意気込みが生で聞けるんじゃないかなと期待しちゃいます。

 そのほか特設サイトでは、選手に届ける応援フラッグに寄せ書きするメッセージの募集や、鈴鹿の大歓声の代わりに選手たちにパワーを贈る応援動画も募集。日本GPのために製作した、幻のトロフィーも披露されるとのこと。実物はHondaウエルカムプラザ青山にて展示されるそうなので、私もまた見に行かなくちゃ。

 あとは、緊急事態宣言も明けたところなので、鈴鹿サーキットに行ってトルコGPをホテルでWeb観戦するというのはどうでしょう。先日、お仕事で宿泊してきたんですが、ホテルのお部屋がとても素敵にリニューアルしていて、壁一面にF1のワンシーンが描かれた壁画があったり、ベッドの頭上にコースレイアウトが飾られていたりと、レース気分満点で宿泊することができました。私が泊まったのは「THE MAIN」の方でしたが、North館のコンセプトルームはもっとすごくて、床がチェッカーフラッグだったり、レカロのチェアやF1フォトグラファーの名作が飾られていたりと、レース好きには夢のようなお部屋。1室しかないプレミアムスイートには、本格的なレーシングシュミレーターまで置いてあって、タイムアタックが好きなだけ楽しめるんだとか。興奮して、眠るどころじゃなさそうですね(笑)。

鈴鹿サーキットホテルの「THE MAIN」の客室には、こんな感じで壁一面にF1のワンシーンが描かれていてとても素敵でした。この時はグランドメゾネットという2階建メゾネットタイプのお部屋で、大人6名+幼児の添い寝2名まで可能な広々空間。2階のベッドに子供を寝かしつけたあとに、大人は1階でF1観戦するなんてのもいいですよね

 それではみなさん、レッドブルを1本ひっかけながら、青山で、鈴鹿で、オンラインで、最後にして幻の日本GPをめいっぱい楽しみましょう!

鈴鹿サーキットホテルに宿泊する際には、ぜひ夕食は「S-PLAZA」にあるグリルフレンチレストラン「SHUN」へ。ここの個室は日本GP開催時に、数々の有名F1ドライバーが訪れてお料理を楽しみつつ、疲れを癒やし、明日への英気を養ったという特別な場所なんだそう。この写真は娘が撮ってくれたんですが、「このシートにはどんなF1ドライバーが座ったのかな」なんて考えると不思議な気持ちになりました。もちろん、伊勢・志摩から届く海の幸と、シェフがこだわり抜いた最上級の和牛、旬の野菜が織りなすお料理も最高に美味しかったです! キッズメニューもあるのでファミリーにも安心ですよ
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Zなど。 現在は新型のスバル・レヴォーグとメルセデス・ベンツVクラス。