まるも亜希子の「寄り道日和」

応募作品数1万件超え! 子どもアイディアコンテスト最終審査会に参加しました

2年連続でオンライン開催となってしまった「子どもアイディアコンテスト」最終審査会ですが、青山のホンダウェルカムプラザの大きな画面を使って、こんな感じで審査員たちが子どもたちのプレゼンを見守りました。審査員長の茂木健一郎さんは、脳科学者という堅そうな肩書きとはちがって、とてもユーモアのあるすてきな方。子どもたちの素顔を引き出したり、会話を盛り上げつつ本音を聞き出すところなど、いつも感心しています

 未来にあったらいいな、と思うモノをカタチにして、そのアイディアや制作過程、完成した作品とその魅力を自ら解説するプレゼンテーションを「夢」「挑戦」「創造」の3点で競う小学生のコンテスト、「第19回子どもアイディアコンテスト」が開催されました。コロナ禍で2年目の開催となった今年の応募作品数は、なんと初の1万件超え! 日本全国の小学生から1万1868作品もの応募があり、関係者一同ビックリでした。

 私はこのコンテストに審査員として関わらせていただいてから、おそらく10年目くらいとなる最古参審査員となってしまったのですが(笑)、今年はちょっと心境の変化が。実は娘が小学生になったことで、応募資格が得られたんですね。そこで年初から、「もし娘が自分からこのコンテストに興味を持ったら、トライさせてみよう」という想いを心に秘めていたというわけなのです。

 実際、ツインリンクもてぎへ行った際にパンフレットが置いてあり、娘がすかさず「なにこれ?」と手に取ったので、「へ~、面白そうだね~、やってみれば?」なんて素知らぬ顔で言いながら、心の中では小さくガッツポーズ。帰宅してからさっそく、アイディアを考えてまずは絵に描いてみたらと勧めてみました。

 ところが……。なんとなく絵までは描けたものの、そこから先がまったく進まず。こういうものは子どものやる気が大事で、親が無理やりやらせるものではないと思っていたので、あまりガミガミ言うのもなぁ……と遠慮しているうちに、なんだかんだと計画は頓挫。初のわが子の応募には至らなかったんです。

 なので今年は、コンテストに応募しているというだけで、子どもたちとその保護者や先生がたを心から尊敬! しかも、史上最多のアイディアの中から最終選考会に残ったのは、わずか低学年10作品、高学年10作品のみなのですから、それだけでも私からしたらスーパー小学生と崇めたくなる皆さんなわけです。いやいやホントに、子どもたちだけでなく保護者の皆さんにお会いして、どんな秘訣があるのかじっくりインタビューしたいくらいです。

 最終選考会は、本来ならホンダ本社のあるウェルカムプラザ青山に、全員が集結して開催されるはずですが、今回もコロナ禍のため昨年に続いてオンラインでの開催に。実際の作品や子どもたちに会えないのは残念ですが、それでも画面から元気いっぱいの子どもたちの様子が伝わってきました。

 プレゼンは、1人の持ち時間が2分と決まっていて、まずは低学年の部からスタート。例年は、自分の番を待っている時にはガチガチに緊張している子どもたちの姿があるのですが、オンラインだとトラブル回避のため事前収録なので、自宅でリラックスして自分の番を待っている様子です。また、青山でやる際には他の人の手助けは基本的にできないのですが、自宅だと作品の後ろにお父さんやお母さんが隠れていて、作品を広げるのを手伝う手がチラリと見えたり、家族の一生懸命さも画面を通して伝わってくるところがいいですね。やっぱりこういうところに出てくる子どもたちには、その活動を支え、見守り、応援する保護者の存在が欠かせないのだなと実感しました。

 そして、大人顔負けの立派なプレゼンは今年も圧巻。低学年だとまだ多少、たどたどしい口調だったり、幼いところも残っているのですが、高学年になるにつれてもう演技は入ってくるし、工夫を凝らして作品の魅力を余すところなく伝えてくれるし、その様子を見ていると、これからの日本が国際社会と対等に渡り合える姿さえ想像させてくれるのです。

 でもその後に審査員からの質問タイムがあり、その際にはどんな質問がくるかわからないので、急に素の小学生に戻ったような素朴な受け答えに(笑)。このギャップがまた、かわいいなと感じるところです。作品のテーマとしては、今年は熱海や広島などの大雨被害のニュースが多かった影響か、大雨被害に役立つアイディアが3作品ありましたね。地震の被害を軽減させるようなアイディアや、避難所でも役立ちそうなアイディアも。

東京都の小学3年生・前田朔矢さんの作品「音楽パワーで走る自動車」のプレゼンは、いろんな仕掛けがあって審査員もビックリ。大きなアイディアの中に、たくさんの小さなアイディアが詰まっていて、楽しみながら作品づくりをしたことがヒシヒシと伝わってきました。今年も個性あふれるプレゼンばかりで、感動!

 Honda主催なので毎年、未来のクルマをテーマにした作品も多いのですが、今回は「音楽パワーで走る自動車」(3年生・前田朔矢さん)のみでした。でもそれが、アフリカの「カリンガ」という楽器の音が好きで、プレゼンの中で自作のカリンガを演奏してくれたりと、私が想像する音楽の範囲を超えた独創的なもの。作品そのものも、クルマが真ん中からパカッと開いて中の構造がわかりやすく作ってあったりと素晴らしく、思わず高得点を入れたのでした。この作品は、低学年の部の優秀賞に輝きました!

高学年の最優秀賞を獲得したのが、滋賀県の小学6年生・山本希未さんの作品「貧乏ゆすりが地球を救う!」です。お父さんの貧乏ゆすりがひどいので、それを何かに役立てることはできないかな? と思ったのがきっかけだったそう。普段はこんなに可愛らしい女の子ですが、プレゼンの時にはお茶の水博士みたいに変身していたのもインパクト大でした(笑)

 この最終審査会の模様はHondaの公式YouTubeで生配信されたので、アーカイブで見ることができます。あとで娘に見せてみて、また興味を持ってくれたら来年こそはチャレンジしてみたいなぁ。皆さんもぜひ、お子さんの可能性を引き出してみませんか?

第19回 子どもアイディアコンテスト 最終審査会
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Zなど。 現在は新型のスバル・レヴォーグとメルセデス・ベンツVクラス。