まるも亜希子の「寄り道日和」

レンタカーでも参戦できる「ロータスカップ・ジャパン」

富士スピードウェイのグリッドに映る、ロータスカップ・ジャパンのマシン。この真っ赤な「エリーゼ・スポーツ220」が、手ぶらで参戦できるレンタカーとして用意されています。ドライバーの交通費やレーシングスーツなどの装備品は別ですが、遠方にお住まいでサーキットまで自走していくのが厳しいという人も、この「ELISE参戦パッケージプラン」なら、マシンの輸送費なども含まれるのでトライしやすそうですよね。シーズンパッケージ価格は271万円ですが、最大3名でのシェアも可能だし、1レースのスポットエントリーなら64万円となっています

 ロータスには、サーキットがよく似合う。富士スピードウェイのピットに並ぶ姿を見て、それをハッキリと感じました。1940年代に自身がレースに出るため、そして誰よりも速く走って勝つために、最初のマシンを自らの手で作って「ロータス」と名付けたという、創始者のアンソニー・コーリン・ブルース・チャップマンさん。一代でF1チャンピオンを獲るまでの名門を築き上げ、1982年に亡くなるまでチーム・ロータスの陣頭指揮を執り続けた、まさにレジェンドです。今もロータスのエンブレムに刻まれる「ACBC」のアルファベットは、その名の頭文字。チャプマンさんの意思が、ロータスの心臓部にしっかりと受け継がれている証のように感じます。

 漫画「サーキットの狼」ファンであればヨーロッパ、F1ファンであれば中嶋悟さんが乗ったキャメルカラーのマシンと、人それぞれロータスと聞いて思い浮かべる象徴的なモデルがあると思いますが、私にとっては1995年のフランクフルトモーターショーで、新世代ロータスとしてお披露目されたロータス・エリーゼ。その翌年、新人編集部員として奮闘する中、日本にも導入されたエリーゼを初めて見て、乗ったときのインパクトはものすごかったんです。

 小さいながらも無駄なく鍛え上げられた、スポーツカーとして完璧なプロポーション。ドアを開けたらサイドシルが思いのほか太くて、スカートじゃ乗り降りに気を遣うくらいの硬派な感じ。路面が近い低さ、アルミ剥き出しのフロア、ダイレクトに遠慮なく響いてくる音。そして車重が700kgを切る軽さで、風になったかのようなファン・トゥ・ドライブ。当時、ライトウェイト・オープンスポーツなら「日本にはロードスターがある!」と思っていた若造でしたが、これが本場の、生粋のライトウェイトスポーツなのかと思い知らされた瞬間でした。

 また、このエリーゼの登場によって、ロータスはモータースポーツシーンに本格的にカムバック。欧州各地を転戦するワンメイクレースがスタートしたというのも当時、話題となりました。そして、少し遅れて日本でも2007年から「ロータスカップ・ジャパン」がスタート。ナンバー付き車両で行なわれ、タイヤは純正指定の横浜ゴム。カップカーを購入すれば、必要最低限の追加装備で参戦可能ということや、1.8リッターの直4エンジンはノーマルモデルと同等のスペックで、イコールコンディションでのレースということで、輸入スポーツカーの中では比較的トライしやすい、開かれたモータースポーツというイメージでした。中には、パワーでごまかしがきかない分、「武者修行にもってこい」だと言う声も。ミッドシップならではの面白さ、奥深さもあるのだと思います。

メディアとして10年以上、ロータスカップ・ジャパンに参戦している「ティーポ」の佐藤考洋編集長。マシンはV6エンジン搭載のエキシージで、この日はポールポジション! なんですが、もうベテランで速すぎるからか!?(笑)、 賞典外での参戦となっていました

 そこからエリーゼが進化したりエキシージが登場したりと、15年目を迎えて現在も続いているロータスカップ・ジャパン。古巣である「ティーポ」の佐藤編集長が長年参戦しているので、何度か外野から応援した記憶はあるものの、なかなか間近で観戦する機会がなかったのですが、なんと今回、ロータスカップ・ジャパン2022の第2戦/富士スピードウェイに夫がスポット参戦することに。

 というのも、すごくビックリしたのが、ロータスカーズの正規輸入代理店であるエルシーアイは、ほぼ手ぶらで参戦できるエリーゼの「レンタカー」を用意しているんです! 参戦パッケージとして使用料、エントリーフィー、レース前後の基本メンテナンス、新品タイヤ1セット、マシン輸送費、レース保険代、レース当日のメカニック費用、当日のお弁当(2名分)がまるっとセット。ぶっつけ本番が心配な人は、練習走行のオプションも用意されているので、「一生に一度、ロータスでレースに出てみたい」という夢を持つ人も、「いきなり購入してレースはハードル高いから、ちょっとその前にお試ししたい」という人も、エイヤッとトライできるプランがあるのは素晴らしいですよね。

 で、今回は夫がそのレンタカーを体験させていただけることになったというわけです。86レースを卒業して以来、スプリントレースからはちょっと遠のいていたわが家なので、これは応援に行かねばと出かけてきたのでした。フル参戦していたころはまだ、ベビーカーに乗せて広いパドック内を移動していた娘ももう、7歳。思えば生後3か月で応援に連れてきた時に、念願の初優勝を飾って「勝利の女神は私じゃなく、娘だったのね」と悟ったのを思い出します(笑)。今回もそのジンクスは繰り返されるでしょうか?

 グリッドに13台のエリーゼとエキシージが並ぶ光景は、とてもかっこいいものでした。今回はいつもよりちょっとエントリーが少ないみたいですが、V6エンジンを積んだエキシージのクラス1と、旧エキシージとエリーゼが混走となるクラス2があり、夫は8台で激闘必至のクラス2で走ります。毎度のことながら、グリッドスタートのレースは見ているこちらまでお腹が痛くなる緊張感。「パパがうまくできますように〜」と娘も胸の前で手を合わせて拝んでいます。というのも、ロータスカップの前に行われたポルシェカップのスタート直後に、2台が絡んで横転するという大クラッシュが発生したのを見ちゃったので、よけいに心配になったんですよね。

 でもロータスカップのエントラントは皆さん、長年参戦しているチームが多く、ドライバーの年齢も高めということもあって、ドライビングのマナーがとてもいい印象。全員が互いを尊重しあって、スポーツマンシップあふれるバトルをしているのが伝わってくる、とても爽やかなレースでした。もちろん、競り合っている数台が10周の中でいくつもの見せ場を作ってくれて、夫も2〜3回はギャラリーを沸かせてくれましたかね。ピットに残ったメカニックさんやスタッフさんたちと、映像を見ながら応援していたんですが、「パパの前の人、遅いよね」なんて、娘が思ったことをなんでも大声で言っちゃうので、周りは爆笑、私は冷や汗。もう、早く終わってくれ〜と祈る気持ちでした(笑)。

 そんな、新参者の私たちも温かく仲間に入れてくれる、アットホームな雰囲気がロータスカップ・ジャパンにはありました。レンタカーを担当してくださったメカニックさんも、質問するとすごく丁寧に教えてくれるので、これなら初めての人でも安心じゃないかなと感じます。富士スピードウェイだと、ストレートでエキシージは250km/h、エリーゼでも230km/h近くのトップスピードに達するというから、それなりにレース経験のある人の方がいいとは思いますが、きっと常連の皆さんも、新たなチャレンジャーを楽しみにしてるんじゃないでしょうか。この第2戦の展開、結果については夫(橋本洋平)から近々、レポートが掲載されると思いますので、ぜひ読んでやってください。

レース終了直後にポディウムで暫定表彰式があり、その後、リザルト確定を待って正式に表彰式が行われました。台数に応じてクラス1は上位2名、クラス2は4位までにトロフィーと副賞を授与。こちらはクラス2で見事入賞された皆さんですが、夫もいますね。みんな和気あいあい、とても和やかな雰囲気なのが印象的でした。次戦は7月24日、SUGOサーキットです。お近くでしたらぜひ一度、応援に行ってみてくださいね
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとユーノス・ロードスター。