まるも亜希子の「寄り道日和」

ヒョンデの新型EV「コナ」に試乗したお話

ヒョンデ・KONAの試乗会では、自然の中でのんびりする休日のようなディスプレイが目を惹きましたが、KONAそのものよりも、手前の小さなモビリティに注目する人多数。これだけ欲しい、という声もあったそうで、そのうち市販化されるのかどうか、期待しちゃいますね

 コーヒーが大好きな私にとっては、「コナ」と聞くだけで芳醇なアロマが香るような気がしてしまいますが、今回の「コナ」は世界3大コーヒーの1つであるハワイのコナコーヒーではなく、韓国の自動車メーカー、ヒョンデの新しいBEV(バッテリ電気自動車)「KONA」のお話。でも、名前の由来として無関係ではなく、青い空と海を想起させる心地よい名前として名付けられたのだそうです。

 日本再上陸の第一弾として発売されたBEV「IONIQ 5」はちょっと大きめで、斬新すぎるデザインでしたが、KONAは全長4355mmで全幅1825mmと、なかなか日本の道路事情にもピッタリなサイズ。無数の星が輝くように灯る「ピクセルグラフィック」というヒョンデらしいデザインのモチーフも、少し控えめに用いられていて奇抜という印象はありません。ちょっと未来的なオシャレ家電、というような親しみやすいエクステリアだなと感じました。

 試乗会の会場には、ネオテリックイエローという蛍光レモンイエローのようなビビッドなボディカラーのモデルが飾ってあり、フロントの充電口からV2L機器を使って2輪のパーソナルモビリティを充電している光景があったのですが、この2輪車がすごくキュートで興味津々。なんと、スーツケースみたいに折りたたんで、持ち運びしやすくなっているんです。でも、まだ市販化されるまでには法規をクリアするなど課題がある模様。これ、発売されたらすっごく人気が出そうですよね。

 また、充電口は指先でリッドを押すと、自動でスライドして開くようなプッシュオープン式になっていたのですが、これは本国ではこうなっておらず、日本仕様のためにわざわざ変更したというから、ビックリ。というのも、日本では急速充電用と普通充電用の2つの充電口が必要なので、横開きのリッドにすると場所をとってしまうんですよね。この、きめ細やかなローカライズには感心してしまいました。

日本仕様のためにスライドするプッシュオープン式に変更したという、充電口のリッド。ヒョンデはこのほかにも、右ウインカー対応や日本語対応など、きめ細やかに日本人ユーザーの要望に応えてくれているところがすごいですね

 走りの方も、IONIQ 5同様にすごく安定していてなめらかな加速フィールがいいなと思ったのですが、IONIQ 5の時にもあった「自然の音」がさらに種類が増えているではないですか。これは、ディスプレイから「自然の音」をタッチすると、鳥のさえずりや焚き火の音、雨の音といった癒しの音が流れるようになっていて、すごく心地いい空間を演出してくれるんです。それぞれのタイトルも「夏夜のひととき」「冬のぬくもり」といった、その言葉だけで癒されるものが揃っていて、全部聞いてみたくなっちゃいました。

IONIQ 5の時にも楽しませてもらった「自然の音」は、より多彩な音が選べるようにパワーアップしていました。都心にいても、自然が身近に感じられるドライブが楽しめるというのは、エンジン音がしない、静かなBEVだからこその演出ですね

 コンパクトなボディでも、バッテリー容量は64.8kWhとたっぷりで、一充電走行距離も625kmと十分。しかも、399万円台からというお値打ち価格。KONAでどこか景色のいいところへドライブして、V2Lでお湯を沸かしてコナコーヒーを飲みながらのんびりする……なんて、ちょっとやってみたくなったのでした。

 さて、なんとこのコラムはついに、300回を達成! いつも読んでくださっている皆さま、ありがとうございます。これからも、クルマを軸に家族、犬、暮らしや遊び、グルメや旅などなど綴っていきたいと思いますので、変わらぬお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします!

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラスなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSDとスズキ・ジムニー。