まるも亜希子の「寄り道日和」
いろんな発見があった日本EVフェスティバル
2023年11月30日 00:00
環境問題だけでなく、世界平和のためにも全人類が手を取り合うこと、互いを思いやることが必要だと思いますが、その第一歩はまず身近な人同士がつながることかもしれないですね。
毎年恒例で29回目となる日本EVフェスティバルが11月25日に東京国際交流館で開催され、そのテーマが「つながろう みんなでCO2削減」でした。私も試乗インストラクターとミニトークショー担当として参加させてもらいましたが、これからの自動車は、私たちの生活だけでなく、街と行政と産業とをつなぐモビリティであることが求められる、という日本EVクラブの舘内代表のメッセージを、みんなが確認して議論して、体感することができる、素敵なイベントになったと思います。
展示車の中でとっても面白かったのは、栃木県立鹿沼高等学校のサイエンス部の高校生が制作した「KPCEV-11」という、動くいす。「いつも座っているいす、どこにでもあるいすで自在に走ってみたかった」という動機がかわいらしいことに加えて、テレビゲームと同じようなコントローラーを使って走らせたり、充電式の電池を使って作られているところなど、すごく親近感が湧く設計になっているのです。
実際に“試乗”もOKとのことなので、日本EVクラブ副代表の御堀直嗣さんに乗っていただいたところ、けっこうパワフルなロケット発進でびっくり(笑)。フットレストの力の入れ方で進行方向を変えるようになっていて、最初はなかなか思った方向に行けないようでしたが、すぐに慣れて向きを変えられるようになっていました。学校やオフィスのいすが全部これになったら、いすは人数分しか用意しないで、会議室までみんながいすごと移動したりして? わざわざ電動車いすを買わなくても、自宅にあるいすにこの装置をつければよくなるのかな? なんて、いろいろな未来を想像するとちょっと面白いですよね。彼ら高校生の今後に、期待!
そして試乗会では、今回は三菱自動車「エクリプスクロスPHEV」、日産「サクラ」、フォルクスワーゲン「ID.4」、BMW「i4」のインストラクターを担当し、たくさんの来場者にハンドルを握ってもらいました。今回は若い世代が多くて、EVを運転するのが初めてという人ばかり。静かさや加速の滑らかさにビックリしたり、低重心で安定感があるので運転しやすいといった感想が多かったです。私たちの世代はどうしてもガソリン車と比べてしまうことがありますが、若い世代はそうでもなくて単純に面白がって、いろんな視点で評価するのが印象的でした。
さらに、午前と午後には御堀さんとのミニトークショー。「ジャーナリストのちょっと立ち話」というテーマのとおり、完全に台本ナシでお話をさせてもらいましたが、さすがは30年余りをEVとともに過ごしている御堀さん、いろんなネタを分かりやすく、面白く話してくださるので、私も楽しませていただきました。とくに、ヒョンデやBYDといったアジアの最新EVの話の中では、中国と韓国はスマートフォンの機器でも世界でしのぎを削っている国なので、人がどんな操作性を求めているのか、どう動いたらもっと人の役に立つのか、そのあたりの考え方が優れているのではないか、という考察はなるほどと感心。確かに、日本車とも欧州車とも違う、独自性のある装備が多いのはそういうことなのかもしれないですね。
このほか、屋内会場ではホンダがエネルギーマネジメントに関する講演をしたり、パネルディスカッションがあったりという「EVシンポジウム」が開催されていて、私はそちらもぜひ聞きたかった! でも、今回もいろんな発見があったり、懐かしい人にも会えたり、とっても楽しい日本EVフェスティバルでした。