まるも亜希子の「寄り道日和」

チーム最高順位! チーム・ピンクパンサーの「メデ耐」

若手女性ジャーナリストの瀬イオナさんを新メンバーに迎えた、チーム・ピンクパンサー。お約束の「肉球ポーズ」でチームワークを高めます(撮影すべて:阿部修一郎)

 年に一度、メディア関係者が本気でロードスターを走らせてレースをする日。それが、マツダが初代ロードスター誕生の年から欠かさず続けて開催してくれている、「メディア対抗ロードスター耐久レース(メデ耐)」です。

 第37回を迎えた今年、私は女性だけで結成した「チーム・ピンクパンサー」の監督として参加してきました。NCロードスターが出た2005年にチームが結成され、当時は私もドライバーとして走っていて、楽しさも悔しさも嬉しさも、心臓が口から飛び出そうなほどの緊張感も、ロードスターとともに体験させてもらいました。一度だけ、メンバーのうち3人がコロナに感染してしまい無念の欠場となった年があったので、2026年の今年で参戦20回目という節目を迎えたんです。

 私は途中、出産・育児で何年かお休みしていたんですが、20回ずっとドライバーとして皆勤賞なのは、フジトモちゃんこと藤島知子さん! すごいですよね〜。もちろん今年も、わがチームの頼れるエースドライバーです。池田美穂さん、谷口いづみさんも、長年一緒に走っているドライバー。メカニックの関谷英一さん、カメラマンの阿部修一郎さんもすっかりお馴染みとなりました。

 今年はさらに、次世代の自動車メディアを引っ張っていく若い世代の女性ジャーナリストにも、この貴重な経験をどんどんしてもらいたいと考え、若手ジャーナリストの瀬イオナさんをドライバーとしてスカウト。インスタやYouTubeなどでロードスター情報を発信している「ゆりちゃんモータース」ことゆりちゃんも、ピット担当として参加してくれました。

 みんなでお揃いのピンクのTシャツを着たら、ピットが一段と華やかになっていい感じ。土曜日の朝9時から富士スピードウェイに集合し、1年ぶりに対面するピンクパンサー号を受け取り、掃除をしたりドライバーネームを貼ったりして練習走行に備えます。レースって、走る前からみんなでワイワイやるのが楽しいんですよね。

 2025年は1コーナー寄りの少しコンパクトなスペースとなるBピットでのレースとなり、今年は晴れてAピットが使えるようになった……のはよかったのですが、ほかのレースでも使用するため2日間ずっとメデ耐が使うことはできず、車両準備は最終コーナー寄りのBパドックのテントで行なうという規定に。レースというのは荷物がものすごく多いので、テントの目の前まで荷物を積んだ車両が入れなかったり、テントからAピットまでの移動は台車で行なわなければならず、それがかなり大変で走行が始まるまでにもうクタクタになってしまいました(笑)。

 それでも、ドライバーたちはみんなAピットから見える景色にテンションアップ。練習走行は30分しかないので、ドライバー4人だと1人がストレート1周通過という短い時間で感覚を取り戻してもらうことになってしまいましたが、緊張をほぐすことはできたようです。そしてすぐに、予選アタック開始! アタッカーはフジトモちゃんにお願いしました。10分の間に2周以上の計測が必須なのでギリギリでしたが、22台中19番を獲得することができました。

富士スピードウェイでの開催となって2年目。2025年はどしゃ降りの雨でのレースだったので、ようやくドライ路面で走ることができました

 恒例の前夜祭も盛り上がりましたね〜。私は監督として、決勝スタート時のタイヤ空気圧をどうしようかと悩んでいたので、いろんなチームに話を聞きにいって情報収集。マツダのロードスター開発メンバーが乗る「人馬一体」チームやタイヤを提供しているブリヂストンチームもあるのですが、みんな同じことを考えているのか、ひっきりなしに誰かが話していて私が入るスキがなかったのは残念でした(笑)。

 明けて、いよいよ決勝レース当日。レギュレーションでは、180分の間に4回のドライバー交替が義務付けられており、わがチームはスタートがフジトモちゃん、2番手がいづみさん、3番手がイオナちゃん、4番手が美穂さん、ラストに再びいづみさんでいく作戦。給油ナシで走り切る耐久レースなのですが、今回からエネオスのカーボンニュートラル燃料もアップデートしているので、実燃費がどのくらいなのかを探りながら走っていくことに。監督としては、無線で常に燃費とタイムを管理しつつ、最後にいづみさんがスパートできるよう、なるべく燃料を残してつなぎたいところですが……。

 ローリングスタートは1台も傷つくことなく、スポーツマンシップあふれるスマートなスタートとなり、いよいよ静かなる熱い闘いの火蓋が切って落とされました。フジトモちゃんには、メーター内の燃費計と距離を読んでもらい、それを関谷さんがPCに打ち込んで実走行距離との乖離を計算していきます。これによって、残りの燃料の量を正確につかむためですね。ターゲットにしたのは燃費8.0km/L、タイムが2分26〜27秒というところ。ドライバー交替を行なわなければいけない時間帯も決められているので、それをオーバーしないようにバトンをつないでいきます。

 スタート前に、思いつきでタイヤの空気圧を少し上げてもらったのですが、フジトモちゃんによればそれが吉と出たようで、「すごくグリップがよくて安定しています!」と楽しそうでした。前年の1位〜6位まではハンディキャップがあるので、強豪チームがピットインして停車している間に、ピンクパンサーはじわじわと順位を上げ、一時は6位に浮上! 2番手いづみさん、3番手イオナちゃんとつなぎ、90分経過時点では10位につけて順調か……と思いきや、なんとイオナちゃんとの無線が途切れてしまうトラブル発生。燃費を抑えて欲しいという意思をみんなでサインボードに託し、見てくれますように〜〜とドキドキでしたが、「ちゃんと見てましたよ!」ということで一安心。無事に美穂さんにつなぐことができました。

 美穂さんも順調なタイムで走りながら、燃費が少しずつよくなっていくのはさすが。ストレートスピードを抑えながら、マシンに負荷をかけずに走って目標タイムを出すというのが、すごく上手で感心しました。しかし、終盤になって無線で燃料タンクの針がどこにあるか聞いたところ、予定より減りが早いような……? もしかして、車両側の燃費計の数値とのズレがあって差分が蓄積してしまったのかもしれません。そこでラストのいづみさんには、最初から超燃費走行をお願いすることになってしまいました。10位以内につけていたのに、私たちは他チームより10秒以上遅いタイムで周回しなければならず、どんどん順位を落としていくのが悔しいのなんの。

各チームにはケテルの無線機が提供され、監督はヘッドフォンをつけてずっとドライバーとやりとりしながらレースを進めます。年に一度の監督ですが、ようやく慣れてきたような……

 でも、わがチームは結成以来、一度もガス欠したことがなく、完走上等! で頑張ってきたので、今回もしっかり完走を目指すことを選びました。そしてついに、ドラマは起こったのです。ラスト2〜3周のところで上位を走っていたロードスターが次々とガス欠でコース脇に停止。その数、なんと13台! そのうちに180分が迫ってきて、優勝は若いドライバーを集めた「チームahead」。2位はメーカーの垣根を超えた「共挑S耐ワイガヤクラブ」。3位は社長自らドライバーとして走った、「ブリヂストンモータースポーツウェブ」。さらにモニター表示を見ていたメンバーたちから「きゃーっ」と悲鳴にも似た歓喜の声が! 地道に完走したピンクパンサーが、6位入賞となっているではないですか。でもそこで冷静なフジトモちゃんが「混乱してモニターがバグってるのかな」なんて疑ってたのが面白い(笑)。いえいえ、正真正銘の6位入賞! チーム最高順位を更新し、ピットではみんなで抱き合って大喜びしたのでした。

参戦20回目にして初の表彰台! 6位入賞のトロフィーをいただき、本当に感動しました

 初めての表彰台。初めてのトロフィー。初めてのブリヂストンキャップ。監督の私まで一緒に表彰していただき、高いポディウムから見た富士スピードウェイの景色は本当に感動的でした。さ、これで来年はハンディキャップがつくのが確定ですが、ま、私たちらしくコツコツと地道にやるのみです。また若手女子を勧誘して、この素晴らしい体験を引き継ぎ、自動車メディアの活性化につなげられたらなと思います。

まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラス、スズキ・ジムニーなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSD。