ジュネーブショー 2017

【ジュネーブショー 2017】“新生”三菱自動車の第1弾モデル・コンパクトSUV「エクリプス クロス」デビュー

「プレミアムなSUVとEVメーカーとしての立ち位置を確立できるよう進んでいく」と益子社長

2017年3月7日(現地時間)発表

世界戦略車に位置付けられる新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」を世界初公開

 三菱自動車工業は、ジュネーブショーで新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」を発表した。

 プレスカンファレンスでスピーチを行なった代表取締役社長兼CEOの益子修氏は、「グローバルでSUVの需要は年々増加しています。アメリカでは半数のオーナーがSUVを選び、中国でもブームとなっています。いまSUVの市場は想像以上に成長しています。三菱自動車は、オフロードラリーでもアウトランダーのPHEVを走らせるなど長年に渡ってSUVを扱ってきました。これからも三菱自動車としては、プレミアムなSUVと電気自動車のメーカーとしての立ち位置を確立できるよう進んでいきます」というように、長年に渡って扱ってきたSUVにより注力していくことを語った。

プレスカンファレンスでスピーチを行なった三菱自動車工業株式会社 代表取締役社長兼CEOの益子修氏

 初公開されたエクリプス クロスは、2013年の東京モーターショーで初公開された「Concept XR-PHEV」がベースとなっていて、2015年ジュネーブショーではより実車に近づいた「Concept XR PHEV II」が公開されている。コンセプトカーのクーペルックとコンパクトSUVという出で立ちを踏襲し、カラーリングも当時の赤と変わらない姿でエクリプス クロスはジュネーブショーの舞台に現れた。

 ただ、コンセプトカーと異なっていたのは、プラグインハイブリッドではなく新規に開発を行なったコンベンショナルなディーゼルエンジンとガソリンエンジンを搭載すること。スペックは明らかになっていないが、2.2リッターのクリーンディーゼルターボエンジンまたは1.5リッターのダウンサイジング直噴ターボエンジンの2タイプが採用される。組み合わせるトランスミッションは、ディーゼルエンジンが8速ATでガソリンエンジンが8速スポーツモード付きCVT。駆動方式はS-AWC(Super All Wheel Control)を採用する。

 新開発のエンジンと三菱自動車のヘリテージとなっている4輪制御技術によって、エクリプス クロスはどのような走行状況でも安心して楽しめるドライビングフィールを生み出しているという。S-AWCは、路面状況や走行状況によって最適なトルクを後輪に伝え、これにAYC(Active Yaw Control)ブレーキ制御を加えたシステムとなる。シャシーはひと回り大きなアウトランダーと共用になるが、オーバーハングを削っているためボディサイズは4405×1805×1685mm(全長×全幅×全高)と、アウトランダーより全長が190mm短くなる。

 再起を賭ける三菱自動車の第1弾モデルとなるエクリプス クロスは、年内中に欧州で発売が開始され、2018年には日本をはじめ北米やオセアニアなどグローバルに展開される予定だ。

ワールドプレミアされたエクリプス クロス。カラーリングはコンセプトカーと同様の赤で塗られる。ショー用の専用塗装ではなく市販を考慮したカラーで、三菱自動車初の5層塗りとなる
外装デザインは、三菱自動車がテーマに掲げる「ダイナミックシールド」を採用
インテリアのデザインはドライバーを中心としたコクピット形状を取り入れた。また、コネクティビティを大事にしたインフォテイメントシステムを採用。スマートフォン連携ディスプレイオーディオやタッチパッドコントローラーなどの機能を持ち合わせている
センターコンソールにはタッチパッドコントローラーが装備される
Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応するディスプレイオーディオ
リアシートにはシートヒーターが装備される
ラゲッジルームはリアシートをスライドさせることで容量を拡大できる。シートは40:60の可倒式

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。