東京モーターショー2017
【東京モーターショー2017】「TOKYO CONNECTED LAB 2017」トヨタ/日産/ホンダ/KDDIなどが、モビリティとITがつながる社会を提案
2017年10月26日 11:31
- 2017年10月25日 開幕
- 2017年10月27日 プレビューデー
- 2017年10月28日~11月5日 一般公開日
「第45回東京モーターショー2017」の主催者テーマ展示として開催されている、「TOKYO CONNECTED LAB 2017」。クルマの自動運転の先にある、クルマと人、社会とがつながる「モビリティ社会」の実現によって、どういった新しい価値がもたらされ、人と社会のつながりが変わっていくのか。そういった未来のモビリティ社会を体感しながら理解を深め考えていく、というコンセプトで実施されている展示となっている。
TOKYO CONNECTED LAB 2017は、来場者参加型の展示やトークイベントなどを行なうコンテンツゾーンと、自動車メーカーや部品メーカーなどがテーマに沿った展示を行なう展示ゾーンの、2つのゾーンに分けられている。コンテンツゾーンについては既報のとおりであり、本稿では展示ゾーンの様子をお伝えする。
トヨタブース
トヨタブースでは、トヨタ自動車をはじめとする自動車関連各社が推進する、車載機器とスマートフォンアプリなどとの連携規格「Smart Device Link(SDL)」をベースとしたコネクテッドソリューションや、安全運転につながるさまざまな最新技術についての展示を行なっている。
SDL関連ソリューションとしては、車載システムとスマートフォンを連携させて、車載システムからスマートフォンのアプリを操作するとともに、スマートフォン側で動作しているアプリやナビゲーションの動作画面を、車載システムの画面に転送して表示するデモなどを行なっている。実際にLINE MUSICで音楽を再生したり、Yahoo!カーナビやNAVITIMEのナビゲーション画面を車載システムの画面に表示したりといった動作を体験できる。
また、LINEが提供しているAIスピーカー「Clova」を車載システムと連携させたデモも行なわれている。今回の展示では、届いたLINEメッセージの内容を読み上げたり、LINE MUSIC経由で音楽を再生したり、天気やニュースなどを読み上げるといったものとなっているが、将来的にはカーナビゲーションシステムとの連携で、音声で目的地を設定したり、現在地周辺の観光情報、レストラン情報なども提供できるようにしたいという。
このほか、交差点に設置したセンサーの情報を無線でクルマに転送し、対向車や歩行者への注意喚起を提供することで事故を防ぐ安全技術「ITS Connect」や、スマートフォンをクルマのキーとして活用して、カーシェアリングサービスなどの利便性を高める「Smart Key Box」、タクシー事業者と提携して実証実験を行なっている「通信型ドライブレコーダー活用事例」などを展示している。
このうち、通信型ドライブレコーダー活用事例の展示では、実際に東京都内で行なわれているタクシー500台に設置した実証実験の様子を紹介。実験に参加しているタクシーのリアルタイムの状況が表示され、各車のドライブレコーダーから送られてきた映像も見られる。また、このドライブレコーダーの映像を利用し、将来は道路の車線単位での交通情報を提供する計画。
これにより、ある交差点では右折車線は混んでいるが直進車線は空いている、といった情報が得られるようになるそうで、ナビゲーションシステムにこの情報を利用することで、これまでよりも安全かつ最適なナビゲーションが行なえるようになるという。実際に、2018年春を目途に、トヨタが提供しているカーナビゲーションアプリ「TCスマホナビ」にこの機能を実装する予定とのことだ。
日産ブース
日産ブースでは、日産自動車が取り組んでいる「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」についてシアター形式で紹介。映像を活用して、日産のモビリティ社会への取り組みについて詳しく紹介している。
また、ブース一角ではタブレットを利用した、自動運転技術に関するデモも行なわれている。自動運転車から送られてくるさまざまな情報をオペレーターが確認しつつ、自動運転車では対処できない問題にオペレーターが指示を出し、それ以降はその指示に従って動くようになるというもので、実際にオペレーターが行なう指示出し作業を体験できる。
ホンダブース
ホンダブースでは、「コネクテッド」や「モビリティ」をコンセプトとしたコンセプトカーを4種類展示している。
「Honda Ai-Miimo Concept」は、AI機能を備えて人とのコミュニケーションが行なえるロボット芝刈り機だ。家の周りで芝刈りを行ないながら、住人や来客とのコミュニケーションも行ない、日々の暮らしをサポートするという。
「Honda チェアモビ Concept」は、椅子に座ったままのような感覚で、家から街へと自由に移動できるというもの。自動改札機も通れるコンパクトさや、その場で方向を自由に変えられる小回り性を備えている。また、一緒に行動する人とのつながりも考慮して、人との目線に合わせて座高を自由に調節できる機能も備えている。
「Honda ふれモビ Concept」は、1人乗り用電動車いすサイズに、2人が乗車可能にした新しいコンセプトのモビリティデバイス。2人で同乗することによるふれあいをコンセプトにしているそうで、家族などの絆を高めつつ、社会とのつながりを促進することが目標とのこと。完全自動運転が基本コンセプトとなっている点も特徴だ。
「Honda 家モビ Concept」は、家とクルマがシームレスにつながるコンセプトカー。家の一部がクルマになったような形で、家につながっているときには約3畳の部屋として、そしてその部屋にいるまま街に買い物に出掛けるといった、これまでにないライフスタイルを実現できるという。
デンソーブース
デンソーブースでは、自動運転を体感できるコックピットシステム「ハーモニアス・コミュニケーション・コックピット」を展示。大型ヘッドアップディスプレイや電子ミラーなどを備え、自動車専用道路の合流や車線変更時の支援、突発的な危険が発生した場合などに、どのように自動運転が対応するのかを体感できる。
このほか、デンソーが取り組んでいるコネクテッド基盤をベースとした、走行環境の先読みや車両情報の先読み、サイバーセキュリティなどに関する取り組みの解説、レクサスの新型LSに搭載されている「ステレオ画像センサー」と「ミリ波レーダー」の実物展示などを行なっている。
KDDIブース
KDDIブースでは、「Connected AR」と題して、AR(拡張現実)技術や画像認識技術を応用したサービスに関する展示を行なっている。
まず、スマートフォンを利用して、AR技術と画像認識技術を組み合わせ、カーシェアリングやレンタカーなどで、乗りたい車を画像でとらえるだけで簡単に予約できるシステムのコンセプトを展示。並んでいる車から簡単に車種を決めて予約できるだけでなく、実用化に向けてはスマートフォンをクルマのキー代わりに使うなどの機能も追加したいとのこと。
また、エンジンルームをタブレットのカメラでとらえると、AR技術によって内部の情報を表示して、点検などに役立てるシステムも展示。こちらは、クルマ側でセンサーなどによって情報を読み取り表示するのではなく、カーメンテナンス店などで管理している顧客情報を利用して、交換時期などを示すといったことに使うことを想定しているという。
このほか、KDDIが実用化している「ガラスディスプレイ」を利用した、インタラクティブ性を備えるディスプレイも展示。こちらは、カーディーラーなどで顧客にクルマの仕様などを説明するといった用途に活用することを想定したデモ展示となっている。