人とくるまのテクノロジー展 2019
UDトラックス、日野、いすゞは商用車に続々搭載する新技術を展示
2019年5月22日 20:07
- 2019年5月22日~24日 開催
- 入場無料
自動車技術会が主催する自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」が5月22日、神奈川県のパシフィコ横浜・展示ホールで開幕した。会期は5月24日まで。登録が必要だが入場は無料。
商用車メーカーでは、UDトラックス、日野自動車、いすゞ自動車がブースを展開し、トラックなどに搭載する環境技術、安全、通信などの新技術を展示した。
さまざまな技術を盛り込んだ11リッターエンジン「GH11」を展示したUDトラックス
UDトラックスは大型トラック「クオン」に搭載するエンジンの「GH11」を展示した。クオンにはGH11と「GH8」の2つのエンジンがあるが、11リッターと排気量が大きいエンジンがGH11となり、出力が360PS、390PS、420PSの3タイプがある。
展示されたGH11エンジンは、採用技術が分かりやすいようにカットされたモデル。特徴であるユニットインジェクターとコモンレールシステムのいいとこ取りをした燃料噴射システムや、燃焼室形状変更といった技術が確認できる。
また、細かいところではエンジンの冷却要求によって動作を可変させて負荷を抑えるウォーターポンプなど、燃費を最大限に引き出す技術が盛り込まれている。その結果、平成28年度排出ガス規制に適合するとともに、全車重量車燃費基準+5%を達成している。
組み合わされるトランスミッションのESCOT-VI(エスコット・シックス)は12速の自動変速トランスミッション。ハードウェアとソフトウェアの制御レベルを高め、正確で迅速なギヤチェンジを行なうとしている。また、操作性についても、従来ながらのATと同様に前後に動かすストレート式のシフトパターンを採用したことで自然な操作ができるとしている。
大型トラックのエンジンでは、GH11とともに主力となるGH8をパネルで紹介。2019年1月に登場した新エンジンだが、こちらはGH11に対して300kgの軽量化を実施。車両総重量に制限のあるトラックにおいて積載量の増加を図り、架装の選択肢を広げるものとなっている。
また、UDトラックスにおける自動運転の取り組みを紹介。経済産業省と国土交通省が実施している高速道路でのトラック隊列走行プロジェクトへの参画や、車車間通信や車線維持支援システムの開発についてパネル展示。さらに工場構内や港湾といった一定区域で自動運転走行し、生産性を高める技術開発なども紹介した。
大型トラックのハイブリッド技術や小型トラック採用の安全技術をアピールする日野
日野自動車は2019年夏に発売予定の大型トラック「プロフィア ハイブリッド」に搭載予定のハイブリッドユニットを展示した。高速走行の多い車両において燃費効果を発揮するというハイブリッドユニットで、AI活用による勾配先読みなどの制御を行なう。
ハイブリッドユニットはエンジンとトランスミッションの間に挟むように搭載されるもので、下り坂ではエンジンを切り離してジェネレーターで回生してバッテリーに充電。再加速でもエンジンを使わずに電気モーターで走行でき、高負荷時には電気モーターでエンジンをアシストする。
日野が行なった評価実験では、車両重量25tという積載した状態の試験車で、東京都羽村市から静岡県焼津市まで一般道90km、高速道路270kmの合計360kmを走行。軽油14Lの削減効果が確認され、年間12万km走行では年間4700Lの燃料を削減。120円/L換算で燃料費56万円相当を削減できるとしている。
5月7日発売の小型トラック「デュトロ」最新モデルでは、「前進誤発進抑制機能」をはじめとする安全装備を標準装備したことをアピール。安全装備を分かりやすくした状態で展示した。
展示されたデュトロはハイブリッド仕様で、前進誤発進抑制機能をはじめ「LEDヘッドライト」「クリアランスソナー」、乗用車のリアビューモニターに相当する「電子インナーミラー」などを搭載。装備の状態がよく分かるよう、車両には説明が貼られていた。
また、デュトロはコネクティッドカー技術となる「HINO CONNECT」にも対応。燃費情報を1か月単位でレポートする機能や、緊急時や車両異常時に車両の位置情報が確認できる機能、安全装備が作動した場合にメールで連絡する機能などに対応した。
小型トラックや搭載の4JZ1エンジンを展示したいすゞ
いすゞは小型トラックの「エルフ」を展示して、2018年から採用している新エンジン「4JZ1」の搭載による利点をアピールした。
「4JZ1」エンジンは3リッターDOHCのディーゼルエンジン。排気側も可変バルブタイミングとするなどのさまざまな燃費改善技術や、信頼性、メンテナンス性の向上のほか、従来はエンジンとは別に配置していたDPD(Diesel Particulate Defuser)をエンジン側面に装着。これにより、同時に搭載される尿素SCRがあっても従来同様の架装性を維持しているほか、DPDがエンジンに近くなったことで処理に必要な温度も維持しやすくなっている。
展示した小型トラック「エルフ」にも「4JZ1」エンジンを搭載。荷台は架装されていない状態だが、架装性が高いことをパネルで訴求したほか、安全技術やコネクテッド技術などの搭載もアピールした。