人とくるまのテクノロジー展 2019

横浜に特設コースを設置、SBドライブの自動運転シャトルバス「NAVYA ARMA」に初乗車

5月23日の10時~16時にも一般試乗可能

2019年5月22日~24日 開催

入場無料

SBドライブが自動運転EV(電気自動車)バス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」で試乗会を実施

 自動車技術会が主催する自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」が5月22日、神奈川県のパシフィコ横浜・展示ホールで開幕した。会期は5月24日まで。登録が必要だが入場は無料。

 本展では主催者展示企画として、SBドライブが協力する「自動運転バス試乗体験」を実施している。この試乗は、自動運転EV(電気自動車)バス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」で往復340mのルートを走行するというもの。今回、自動運転バスの試乗体験に初めて参加したので、その模様をレポートする。

車両の外観・内部について

 NAVYA ARMAの上部には3Dで対象物を認識するLiDARを、車両の下部には近くの対象物を2Dで認識するLiDARを搭載。3D LiDARは車両前方と後方に1つずつ計2基、2D LiDARは側面のものも含めて計8基ついている。そのほかにも、車両上部にGPSが設置されている。

 車両は、前方後方どちらにも走行することが可能で、前後だけでなく側面のデザインも、どちらから見ても同じとなっている。バスのドアはバス停に到達すると自動で開閉するが、開閉操作をドアの緑ボタンを使って手動で行なうこともできる。

車両上部の3D LiDAR。前後に装着
車両下部の2D LiDAR。前後と側面も含めて計8基を搭載
車両のルーフにはGPSを搭載
通常は自動でドアの開閉が行なわれるが、緑のボタンで手動も可能

 客席は前方と後方に4席ずつ向かい合うように配置されている。ほかに、窓際に並ぶ形で設置されている折り畳みの補助席が3席、つり革が4本あり、計15人乗りの車両となる。

車内には遠隔で乗客の安全を見守るためのカメラが付く

 試乗車は公道を走る法規制に対応することを意識し、元のNAVYA ARMAの車両にミラーを設置するといった一部改良がされている。試乗会とは別に展示されている車両にはバスの後方に運転席を設置するなど、不完全ではあるがより公道を走るための規制に対応したものになっているとのこと。なお、SBドライブのコンセプトに近いものは試乗用の車両であるという。

いよいよバスが走る

 バスにはあらかじめ走行ルートが登録されており、パネルで到着するバス停を指示すると走り出すという仕組み。今回の試乗会では、ほぼ直線の往復ルートを約7km/hのスピードで走行。往路ではバス停にたどり着くと自動で停止。ドアも自動で開いた。

このパネルを使いバス停を指定する

 今回のコースは歩道橋の下をくぐる点や、同じような風景が続き、あまり変化がない点が自動運転バスの走行に向いていないという。というのも、橋やトンネル・木が生い茂るような道はGPSの電波が阻害され、位置が特定できなくなってしまうからだという。また、原っぱや同じような塀が続くといった変化のない風景も、LiDARで走行位置を読み取ることが困難だといい、今回はその対策として、建造物に見立てたパネルがコースに設置してあった。

自動運転バスは変化の少ない風景が苦手なため、建造物に見立てたパネルを設置

 元の場所に戻るためにまたパネルでバス停を選択し、少し進み始めたところで突然バスが急カーブののち停止した。バスはルートを外れたと判断すると自動で止まる仕組みになっており、今回は歩道橋の下を通った際にGPSの電波を正しく受信なかったため、ルートを外れてしまったということであった。バスは手動で操作することも可能なので短い距離を手動運転で走り、元のルートに戻ったところで自動走行が再開。元いたバス停に帰還した。

GPSの電波を拾えなかったため、最初に出発を指示したパネルで再起動を行ない、短い距離だけ手動運転を行なった
手動運転はゲームのコントローラを使用

 試乗体験中に急停車してしまった際は、あまりスピードが出ていなかったこともあって危険を感じなかったが、GPSの不良といった不測の事態が起こり得ること考えると、将来的に目指している乗務員がいない状態での運用にはさらなる対策が必要と思えた。ただ、急ブレーキといった不規則な動きがあったのは歩道橋付近でルートを外れて停車したときのみで、それ以外は通常のクルマに乗っているときと同様、安心して乗車できる走行であった。

 車両を提供するフランスの企業「Navya SAS」の関係者によると、自動運転バスは現在日本で6台が導入されているとのこと。世界では140か国で導入実績があり、公道を走った実績がある国も複数あるという。

 試乗会は5月23日の10時~16時(12時~13時を除く)にも行なわれる(24日は実施なし)。参加は展示ホール Bの企画展示コーナーで当日受け付けを行なう。1時間につき5便が運行し、各便の定員は8人。試乗時間は解説などを含めて約10分間となる。

試乗会場

佐川莉央