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対馬市「厳原港まつり」で“ハンドルのない”自動運転バスが公道走行
8月3日~4日に長崎県対馬市で一般乗客を乗せて走行
2019年8月2日 12:01
- 2019年8月3日~4日 実施
対馬市、明治大学自動運転総合研究所、SBドライブは8月1日、8月3日~4日に長崎県対馬市で開催される「対馬厳原港まつり」において公道走行する“ハンドルのない”自動運転バス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」を報道関係者などに公開した。“ハンドルのない”自動運転バスが地元自治体の協力をもとに一般乗客を乗せて公道走行するのは全国初という。
実験車両は、フランスの「NAVYA」が開発したNAVYA ARMA。実験車両を走行させるSBドライブでは、道路運送車両法の保安基準 第55条による基準緩和認定を受けて、自動運転を前提に設計されたNAVYA ARMAを改造して6月にナンバーを取得している。
改造は、現状の法規制に適合させるために行なわれたもの。具体的には、車両に前後の指定がないNAVYA ARMAにドアミラーや方向指示器、車両を手動で制御するためのコントローラー、ドライバー席などを装備して、車両のフロントとリアを設定している。
実証実験では、厳原地方合同庁舎~対馬厳原港まつり会場の往復約700mを5km/h程度で走行。車両には緊急時に手動運転に切り替えて車両を操作する運転手と、運転手を補助する保安要員が乗車。また、SBドライブが開発中の自動運転バス運行プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を使用して、遠隔地からバスの運行管理を行なうとともに、走行する車両の周辺にも人員を配置するなどの安全措置を取った。
自動運転バスが自律走行する仕組みは、あらかじめ実証実験区間をスキャンした3Dの地図を作成するとともに、ルート上にある工事による凸凹などを考慮して車両の速度をコントロールするなど、人間による走行プログラムが組まれている。こうした準備をもとに、一般客を乗せて行なわれる実証実験では、車両に装着されたGPS、カメラ、LiDARなどで周囲の状況を把握しながらルートを走行することになる。
明治大学自動運転社会総合研究所と対馬市の連携協定による取り組みの第1弾
実験車両の公開を前に、対馬市市長の比田勝尚喜氏、明治大学 自動運転社会総合研究所 所長の中山幸二氏、SBドライブ 代表取締役社長 兼 CEO 佐治友基氏が登壇して今回の実証実験の狙いについて話した。
“ハンドルのない”自動運転バスによる公道での実証実験ついて、比田勝氏は「自治体が関与して一般市民の方を乗せるのは全国初の試みです。市民の皆さまには3日~4日に開催されます厳原港まつりにおいて試乗いただけるよう計画をしております。対馬市は、将来の交通弱者に対する公共交通の確保、拡充に向けて自動運転技術の実装化を切に願っております。この実証実験を皮切りに、今後さらなる取り組むを進め市民生活の向上に生かしてまいりたい」との意気込みを述べた。
この実証実験を前にした3月21日、明治大学自動運転社会総合研究所と長崎県対馬市は、自動運転の実装化へ向けた実証実験など、地域の持続的な発展に向けた共同研究を推進していくといった連携協定を締結している。今回の実証実験はその具体的な取り組みの第1弾という。
明治大学の中山氏は「対馬市では、かねてより“まちづくり”“しまづくり”という観点から、高齢者に関する問題から育児まで総合的な観点から取り組んでおられ、明治大学も地域創世の観点からそれを支援していこうと考えています。地方自治体として総合的に取り組むその一環で自動運転に取り組むという先駆的な事業であり、今回の実証実験は歴史的な意義のある大きな転換点になる」との考えを述べた。
また、この実証実験では、無料で来場者に利用してもらい、自動運転バスの社会受容性の拡大や実用化に向けた課題の整理などに取り組むのがその狙いの1つという。
SBドライブの佐治氏は「この厳原港まつりは自動運転バスの認知度を向上させる絶好の機会となり、来年以降も継続的に実証を続けて実用化につなげていきたい。ハンドルのない自動運転バスの公道での実証は、世界各国で行なわれている自動運転バスの実証のなかでも最先端のもの」と強調した。