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小田急グループとSBドライブ、江の島で自動運転バスの実証実験開始。対向車の有無を確認して右折など高度化

黒岩 神奈川県知事「この1年間で技術は大きく進歩した」

2019年8月21日~30日 運行

信号情報を取得して交差点を右折する自動運転バス

 小田急電鉄、小田急グループの江ノ島電鉄、SBドライブの3社は、神奈川県と連携して8月21日~30日の平日に自動運転バスの実証実験を江の島周辺の公道で実施する。2020年の東京五輪での実用化を目指して2018年に引き続き実施されるもので、2019年は車両が信号情報を取得して走行したり、交差点に設置したセンサーによって対向車の有無を確認して右折したりするなど、より高度な技術検証になることが注目ポイントだ。

 8月26日~30日の5日間は、江の島ヨットハーバーを拠点に開催される「セーリングワールドカップシリーズ江の島大会」に合わせて、約400名の一般モニター無料試乗も開催。8月5日から専用サイトで事前予約を受け付けたが、数日で満席となり締め切ったという。

 区間は「県立湘南海岸公園中部バス駐車場」(臨時バス停)~「湘南港桟橋バス停」の約2km。その区間を往復し、一般モニターの試乗はどちらか片道となる。距離としては2018年の実証実験の約2倍に延び、平均時速は20~25km/hで、片道約15分で走行。今回の実証実験は自動運転バスの実用化に向けてサービス面の検証にも力を入れており、運転士がいない自動運転バスを想定して車掌が同乗し、乗車時の事前予約・本人確認、車いすやベビーカー乗降の補助なども行なう。

 車両には日野自動車「ポンチョ」をベースに改造した定員8名の小型バスを使用し、自動運転「レベル3」相当(限定条件下でシステムがすべての運転タスクを実施し、システムが要請したときのみドライバーが対応する)での走行となる。

実証実験は「県立湘南海岸公園中部バス駐車場」(臨時バス停)~「湘南港桟橋バス停」の約2kmで実施。交差点に設置したセンサーによって対向車の有無を確認して右折するのが2018年との違い

 初日となった8月21日には報道関係者向けの体験走行会が行なわれたほか、午後には黒岩祐治 神奈川県知事や宮治正志 藤沢市副市長らも江の島から復路のみを乗車。試乗を終えた黒岩知事からは「約1年ぶりの試乗となったが、非常にスムーズな走行。この1年間で技術は大きく進歩したなという印象を持った」と笑顔で第一声があった。

左からSBドライブ株式会社 代表取締役社長兼 CEOの佐治友基氏、神奈川県知事 黒岩祐治氏、藤沢市副市長 宮治正志氏、江ノ島電鉄株式会社 取締役社長の楢井進氏
「非常にスムーズな走行」と自動運転バスの評価を行なった黒岩知事

 さらに、「運転手が一部補助をしていたシーンもあったり、ブレーキのかけ方はまだ人間が行なうものと比べるとガクッとしたりと、まだ完成というわけではない」と課題についてもコメント。また、来年に迫った東京オリンピックの自動運転バス走行実現に向けた問いについては、「完成形はもちろん“ドライバーが乗っていない”という状況だが、それに近い形までシフトすることを期待している」と締めくくった。