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SBドライブと神奈川中央交通、多摩ニュータウンで自動運転バスのサービス実証
“お買い物難民”など社会課題の解決に向けたビジネスモデル構築も
2019年2月21日 00:00
- 2019年2月13日~22日 実施
神奈川中央交通とソフトバンクグループのSBドライブは2月13日~22日の期間、東京都多摩市の多摩ニュータウンにおいて自動運転バスの実証実験を実施している。実証実験では、自動運転技術を活用して“お買い物難民”などの社会課題解決に向けたビジネスモデル構築も見据えた検証も行なわれる。
実証実験の運行ルートは、「豊ヶ丘四丁目バス停」から「スーパーマーケット Santoku 貝取店」までの約1.4km。運行時間帯は9時30分~16時30分で30分に1便程度運行されている。
運行車両は日野自動車の小型バス「ポンチョ」をベースとした自動運転実験車両を使用して、一般の人も利用可能。料金は無料で、乗車方法は事前の乗車予約は必要なく、先着順で各便定員8名となっている。
実証実験の運行ルートは、多摩ニュータウン内にある交通結節点から団地内を経由して、Santoku 貝取店までを結ぶ経路。途中に勾配のある起伏に富んだコースで、走行路の上空には街路樹がせり出しているといった環境。
走行ルートには街路樹などによりGPSが受信できない場所を考慮して、道路に磁気マーカーが約2m感覚で埋めこまれた。これによりバスの位置を正確に把握することが可能になる。
実際に自動運転バスに試乗してみると、停車のためのブレーキ制御、下り勾配における速度制御などで乗客が不安になるような挙動は感じられなかった。車内にはSBドライブが開発した遠隔監視システム「Dispatcher」が搭載されており、車内の様子を監視。乗員の1人ひとりの様子をカメラで捉えていることをモニターに表示して、人の動きに異常を感じると、遠隔にいる監視者から安全確認のアナウンスが入る様子などもデモがされた。
実証実験では、ルート上に2か所のバス停が設置されるなど、既存の路線バスの運行形態に近い形で実施されており、利用者からのアンケートも実施して地域の住民に自動運転がどのように受け入れられるかを検証していきたいとのこと。自動運転の技術的な検証というより、自動運転の受容性や地域内移動手段の可能性に関する調査がメインとなるようだ。
今後、神奈川中央交通とSBドライブでは実証実験の結果を踏まえ、自動運転バスの実用化を目指してお買い物難民に代表される社会課題の解決に取り組んでいくとしている。
実証実験を担当する神奈川中央交通の運輸計画部 自動運転推進課の鈴木圭太氏に話を聞くと「今回の実証実験では途中にバス停を設置するなど、既存の路線バスの運行形態に近い形で実施しています。バス事業者としてどのように自動運転を取り入れられるかを実証していきたいです」と実証実験の狙いを話した。
この実証実験ではスーパーマーケットのSantokuを運営する三德が協力しており、お買い物難民への対応をどのように考えていけばいいのかといった部分も検証していきたいとのこと。
鈴木氏は「われわれバス事業者としては、既存の路線バスを自動運転バスに置き換えても、事業性や採算性は合わないと考えています。例えば商業施設と連携して集客性に貢献できる移動手段を提供して、お客さまには便利な移動手段となり、お店側にもメリットがあり、われわれ交通事業者も事業性のある中で交通を維持できる。そんなモデルを将来的に考えていけないかといったことも検討していきたい」との考えを話した。