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SBドライブ、「ITSフォーラム 2018」に関連し福岡空港で国内線と国際線をつなぐ自動運転バスをデモ

東京 渋谷から声優がアバターバスガイドとして参加

2018年4月26日 実施

車内に声優によるバーチャルバスガイドが登場したSBドライブの自動運転バス。SpiralMindの「アバターテレポーテーション」技術を活用

 ソフトバンクグループのSBドライブは4月26日、九州の福岡空港で国内線と国際線をつなぐ自動運転バスのデモ走行を行なった。この自動運転デモ走行は、ドライバーが乗った状態で手放し運転を行なうハンズオフのレベル3自動運転。5月8日~10日に福岡県で開催される「ITSフォーラム 2018 福岡」に関連して、関係者向け・報道陣向けに事前試乗会を実施した。

 自動運転に用いられたのは、日野自動車の22人乗りバス「ポンチョ」改造車。SBドライブは、既存のバスでも容易に自動運転車にできることを示すためと、中古バスを実験車に用いることでコストを抑えるためなどの理由から、意図的にディーゼルエンジン搭載バスを使っている。もちろん、将来的に電動駆動バスになれば、さらに容易にコントロールできるとしている。

「ITSフォーラム 2018 福岡」仕様となったSBドライブの自動運転バス「日野 ポンチョ」
フロント部のミリ波レーダーやLiDAR
Aピラー上部のカメラやLiDAR
リア上部のカメラやLiDAR
福岡空港で国内線と国際線をつなぐ自動運転バスのデモ走行

 自動運転「ポンチョ」は、羽田空港でANA(全日本空輸)とレベル4自動運転、レベル3自動運転を行なったものと同じ個体。今回のレベル3自動運転ではSpiralMindの「アバターテレポーテーション」技術を活用し、バス内の映像・音声を東京 渋谷に通信網を用いて送信。本職の声優が、車内でバーチャルバスガイドとして自動運転を解説してくれる。SpiralMindのスタッフによると、この技術は声優の表情をiPhone Xの顔認証技術を用いて読み取り、まばたきや顔の向きなどを3Dで連動再現。3DエンジンにはUnityが用いられていた。

 試乗会では、SBドライブとともに自動運転技術を開発している先進モビリティ 技術部主任 釘宮航氏が技術解説。その後、主催者である第16回 アジア太平洋地域ITSフォーラム 2018 福岡 実行委員会事務局長 浦正勝氏より趣旨説明があり、協力団体代表として福岡県知事 小川洋氏があいさつを行なった。

先進モビリティ株式会社 技術部主任 釘宮航氏
第16回 アジア太平洋地域ITSフォーラム 2018 福岡 実行委員会事務局長 浦正勝氏
慎重ながらも自動運転バス導入への期待を述べる福岡県知事 小川洋氏

 小川県知事は、インバウンドの伸長により福岡空港も外国からのお客さまが増えているといい、国際線と国内線をつなぐバスの運行も増便を行なっていることを紹介。このバスの増便に伴う運転手の確保が難しいこと、山間部は人口減少や高齢化により減便やバスの運行が難しくなっていることなどを挙げ、こうした問題の解決に対する可能性を実験を通じて探っていきたいとした。

 一方、そうしたニーズ面の切実な問題もあるのだが、福岡はアジアからのインバウンドの入口として大きな役割を担っており、国際線に到着した乗客が自動運転のバスに乗って驚いてもらうのも面白い試みだという。来日客に対する「最初のおもてなし」(小川県知事)として、自動運転バスに手応えを感じているようだった。

 小川県知事のあいさつの後は、小川県知事ら代表者によるテープカットを実施。テープカット後の初便には、テープカットを行なった小川県知事、福岡県議会議長代理 福岡県議会県土整備委員長 吉村悠氏、SBドライブ COO 最高執行責任者 宮田証氏、先進モビリティ 技術部主任 釘宮航氏、浦正勝事務局長らが搭乗し、国内線ターミナルと国際線ターミナルを結ぶ道路での自動運転試乗を行なった。

関係者によるテープカット。左から先進モビリティ株式会社 技術部主任 釘宮航氏、SBドライブ株式会社 COO 最高執行責任者 宮田証氏、福岡県知事 小川洋氏、福岡県議会議長代理 福岡県議会県土整備委員長 吉村悠氏、第16回アジア太平洋地域ITSフォーラム2018 福岡実行委員会事務局長 浦正勝氏
無事テープカットが行なわれた
初便に乗る関係者
いろいろ並んでいる車内
Dispatcher画面。同じものが渋谷でも共有されている。これにより車内外の様子やバスの各種情報が分かる
毎回変わるモニタ配置。だんだんディスプレイが増えてきている気がする
左上が車外映像。ディープラーニングによってオブジェクト認識されている
こちらは車内映像。乗員が座っているか、立っているか認識できている
運転席は極めて普通。ちょっとモニタが多い程度

 国内線ターミナルと国際線ターミナルを結ぶ道路は、ほとんどの区間が制限区域と呼ばれる一般の立入が制限された箇所になる。この制限区域との境目にはゲートが設けられており、このゲートを越えて制限区域に入った段階でレベル3自動運転に切り替えていた。

 小川知事は試乗後の感想を「とてもスムーズ」と表現。普通のクルマと変わりのない乗り心地に満足気で、自動運転バスの活用に手応えを感じたようだった。

 先進モビリティの釘宮氏によると、今回の3kmほどの自動運転マッピングは1週間ほどでできているとのこと。従来の自動運転実証実験に比べ、空港内の制限区域のため人の飛び出しが原則ないこともあり、一般道に比べて制御は楽とのことだった。

 記者も2便目に試乗をすることができたが、試乗するたびに制御がスムーズになっているのを感じる。石垣島での試乗時はブレーキを人間が制御していたが、2017年後半から自動ブレーキ制御となり、制御のカド(急な制御変更)もなく、安心して乗っていられる。

制限区域の車両専用道路を通行中。人の飛び出しなどが基本的にないため、一般道よりも安全性を高めやすい

 SpiralMindのアバターテレポーテーションも楽しく、話しかけるとタイムラグなく答えてくれる。この自動運転バスは渋谷からSBドライブの運行管理ソフトである「Dispatcher(ディスパッチャー)」で遠隔監視されているのだが、Dispatcherと連携しているアバターの反応の遅れのなさを見ると、遠隔監視もほぼ遅れなく行なわれていることが予想できる。

 アバターで表現されたバーチャルバスガイドとの会話は楽しく、「ITSフォーラム 2018」に参加してSBドライブのデモに乗る機会があったら、ぜひ話しかけてみていただきたい。そういえば、バーチャルバスガイドの名前を聞き忘れてしまったような……。