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ITS Japan、最新の取り組みについて紹介する「2018年度通常総会・総会シンポジウム」開催
「少子高齢化」「地方経済の衰退」の解決に取り組む
2018年6月18日 22:23
- 2018年6月18日 開催
ITS Japanは6月18日、東京都千代田区の経団連会館で2018年度の通常総会を開催し、合わせて最新の取組状況などについて紹介する総会シンポジウムを開催した。
総会の冒頭では、ITS Japan 会長の佐々木眞一氏が挨拶を実施。佐々木氏は冒頭で同日に大阪北部地域で発生した地震で被害を受けた被災者などに対して見舞いの言葉を口にしたあと本題に入り、今年で25年目を迎えたITS Japanの活動内容について紹介。「交通事故ゼロ、渋滞ゼロ、快適移動」をビジョンに、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)に関連する活動の民会代表となっているITS Japanでは、各種の提言やビジネスの実現、世界会議の主催や出席などの活動を実施している。
活動の“第3ステージ”と位置付ける現在は、これまでに活動内容を継続しつつ、「少子高齢化」「地方経済の衰退」といった日本が抱えている社会的課題の解決にITSがいかに貢献できるかをテーマに議論を進めているという。そこでITS Japanでは「統合的サービスの実現」を活動の柱に据え、「安全で健康的に、全ての国民がどんな地域でも暮らせる日本」を目指して方針策定していると佐々木氏は説明。
この目標を実現するための「統合」というキーワードについて佐々木氏は、「目的の統合」「技術要素の統合」「ITS活動主体の統合」が重要になると語ったほか、昨今ではITSの役割が自動運転に注目が集まりがちであると指摘。同日開催の総会では会場に集まった会員各社の担当者から意見を受けながら、ITSによる社会問題の解決に向けた議論を深めていきたいとした。
また、来賓を代表して登壇した経済産業省 製造産業局 局長の多田明弘氏も、冒頭で同日の地震で亡くなった人と遺族に対して哀悼の意を表し、被災者に対する見舞いの言葉を述べてから挨拶をスタート。
多田氏は日本でもITSに関するさまざまな取り組みが行なわれている一方で、米国では「スマートシティ・チャレンジ」がオハイオ州コロンバスで行なわれ、ニューヨークやタンパでもITSの実証実験を開始。欧州でも欧州委員会主導による取り組みをはじめとして各国独自のプロジェクトが進められていることを紹介し、ITS分野での国際競争が日々激化していると説明。この危機感を共有してオールジャパン体制で取り組んでいく重要性を説いた。
政府としても6月15日に閣議決定した「未来投資戦略 2018」の中で、日本から世界に先駆けて自動運転、ならびに公共交通全体のスマート化を含む次世代モビリティシステムを実現するとの方向性を示しており、同日にはITS Japanも参画する「官民ITS構想・ロードマップ 2018」で「世界一のITSを構築し、日本、世界に貢献する」として、2020年の高度な自動運転の実現に必要な法制度の整備を進めることが決定されていると多田氏はアピール。経産省では制度整備や技術開発に加え、社会展開を担う事業者の発掘、国民の自動走行に対する受容性の向上などを平行して進めることが重要との考えを示した。
また、多田氏は自身のコメントが自動走行にフォーカスしたものとなったことについて、自動走行の実現に向けてITSが重要な役割を持っているとアピールしつつ、ITSは自動運転に止まらず、「スマートシティ」といった新たな価値創造に資するものであると位置付け、社会が抱えるさまざまな課題の解消につながっていくとコメント。ITS Japanには引き続いて産官学の連携の要として、安全で円滑、利便性の高い道路交通の実現を推進し続けてもらいたいと述べた。
2018年度の総会では、例年どおり前年度の収支決算と次年度の予算案の審議が議案となったほか、任期が満了した本田技研工業 専務取締役の竹中弘平氏のITS Japan 監事再任、貸借対照表の広告に関する定款の変更といった計4点が議案として取り上げられ、4案全て賛成多数で承認となった。
通常総会後に行なわれた総会シンポジウムでは、ITS Japan 理事の穐場亨氏、アジア太平洋地域ITSフォーラム 2018 福岡・実行委員会 委員長の中尾和毅氏、デンマーク大使館 商務部 公使参事官のトーマス・ホイルンド・クリステンセン氏の3人が登壇。
穐場氏からは統合的移動サービスの実現を目標に進められているITS Japanの「第3期中期計画」について解説され、中尾氏は5月8日~10日に福岡国際会議場(福岡県福岡市)で行なわれた「アジア太平洋地域ITSフォーラム 2018 福岡」の活動報告を実施。クリステンセン氏は9月17日~21日にデンマーク コペンハーゲン市で開催される「第25回ITS世界会議 コペンハーゲン 2018」の見どころなどについて説明した。
この中で穐場氏は、活動の中で取り組みを行なっている現地に足を運び、実際に活動している現地の人と会話していくうちに、地域ごとに目指している姿に合わせて必要とされている移動サービスの整合性を考慮することが欠かせないと解説。また、新たな活動として、統合的移動サービスの実現に向けて取り組みに参加する新たなメンバーを募集するとコメント。会員各社から統合的移動サービスとして取り組んでみたい具体的なテーマを募り、共有するテーマごとにワーキンググループを結成。サービス実現に向けさまざまなプロトタイプを立ち上げていくとしており、ITS Japanではワーキンググループの統合を進めていくと述べた。