ニュース
羽田空港隣接の「HANEDA INNOVATION CITY」で誰でも乗れる自律走行バスの運行がスタート
2020年9月18日 18:26
- 2020年9月18日 運行開始
羽田空港に隣接する「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」において、9月18日から自律走行バスの定常運行がスタートした。HICityの構内移動の利便性を向上させるもので乗車は無料。毎日10時30分~13時30分、14時30分~16時30分に30分間隔で運行する。
運行開始セレモニーを実施
運行するバスはフランスのNavya製「NAVIYA ARMA」。BOLDLY(旧SBドライブ)が各地で自動運転の実証実験を重ねてきた車種で、電気で動く電動バス。走行場所はHICityの施設内の1周700mを約8分間で運行する。
運行主体はHICityを開発した羽田みらい開発となり、鹿島建設、BOLDLY、マクニカ、日本交通が協力する。鹿島建設は施設の建設だけでなく、空間情報データ連携基盤「3D K-Field」を提供。BOLDLYは自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher」の提供と遠隔監視者のトレーニング、「NAVIYA ARMA」の設定と運転手の提供やトレーニング、マクニカは「NAVIYA ARMA」の輸入、販売、メンテナンス、日本交通は運行管理と将来は運転手の提供となる。
運行開始日となる9月18日の10時からは、各社の代表が参加して運行開始セレモニーが行なわれた。
羽田みらい開発 代表取締役社長の山口皓章氏はこの街のコンセプトを「先端産業と文化産業を集積して融合させることで、新しいイノベーションを起こすこと」と説明し、自律走行バスを運行することについては「イノベーションを起こす種になってほしい。来訪される人にイノベーティブな刺激を与えてくれることを期待」とした。
次に鹿島建設 執行役員開発事業本部長の塚口孝彦氏は、HICityの土地を提供した大田区からの要請があったことに触れ「HICityの企画段階から、区から先端産業の創造拠点を作ってほしいということから、大きな柱は先端的なモビリティ」と説明した。
BOLDLY 代表取締役社長兼CEOの佐治友基氏は今回の運行を「ハンドルや運転席のないレベル4を目指す自動運転車として初めて定常運行をする」と説明。HICityについても「自動運転を想定した街づくりをしてくれたのは日本でここが初めて」と指摘した。
また、日本交通 常務執行役員 佐藤真吾氏は「自動運転化はドライバーの仕事を取り上げるというものだった」と過去を振り返るも、「新たなものに取り組み、そのなかで日本交通が培ってきたホスピタリティや安全重視の考えが生かされる場を探していく」と自動運転に積極的に関わっていく考えを示した。
マクニカ 代表取締役社長 原一将氏は「Navyaと国内総代理店契約を締結し、車両の輸入と販売、導入後における法定点検、車検対応、メンテンスから技術サポートと、自律走行バスが安全に走行できるための支援を行なうのが役割」と説明。マクニカのスタッフは3割がエンジニアであることから「テクノロジーフィッティング力を強化して定常運行を支援していきたい」とした。
各社のあいさつのあとは、テープカット、各社代表が乗車して少しの区間だがデモ走行を行なった。
最高速度8km/hでHICity内を巡回する
実際の運行は、NAVIYA ARMAが1周700mのコースを約8分で走行する。NAVIYA ARMAに公道を走るためのナンバープレートはついているが、今回は施設内の道路のみを走行する。最高速度は8km/hで、これは施設内道路の最高速度に合わせたものとなる。
走行は、一時停止などで停車したあと、スタートボタンをタッチするのは同乗したスタッフが行ない、その上で動き出す方法をとる「自律走行」。しかし、これらは今後自動になることを目指していき、当初、同乗するスタッフは2名だが、これも減らしていく。
運行管理はDispatcherで行なうが、開始から4日間だけHICity内に特設するスペースから日本交通のスタッフが行ない、その後は近隣の日本交通の営業所から行なう。同乗スタッフもいることから現地に運行管理スタッフがいる必要はないとのことだ。
また、Dispatcherはもともと遠隔監視を想定したシステムで、今回の運行では自律走行バスのほか、施設内を走行する自律走行低速電動カート「Percepth」の管理も同時に行なう。両車は異なるメーカーだが、Dispatcherによって同じ操作で管理できるという。