東京オートサロン 2019

【東京オートサロン 2019】トヨタ、新型スープラベースの「GRスープラ スーパーGTコンセプト」発表会。2020年からSUPER GT参戦

「トヨタがニュルで勝負できるのは生産が終わった中古のスープラしかない」。故・成瀬弘氏の言葉を受けてスープラ復活

2019年1月11日~13日 開催(最終日は18時まで)

入場料:特別入場券3500円、大人一般入場券2500円、中・高校生一般入場券1800円(全日とも保護者同伴に限り小学生以下無料)

GRスープラ スーパーGTコンセプトとトヨタ自動車株式会社 副社長 兼 GAZOO Racing Company プレジデント 友山茂樹氏

 1月11日、幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)において「東京オートサロン 2019」が開幕した。トヨタ自動車は新型「スープラ」を1月14日(現地時間)から開催される「2019年北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)」で公開予定だが、ひと足早く東京オートサロンではSUPER GT GT500クラス参戦予定の「GRスープラ スーパーGTコンセプト」を公開した。

トヨタが大切にしている“カイゼン”が勝利につながる

GAZOO Racing Company プレジデント 友山茂樹氏

 プレスブリーフィングで車両の説明を行なったGAZOO Racing Company プレジデントの友山茂樹氏は「GAZOO Racing Companyはレーシングカンパニーである」と宣言、「世界有数のレースにワークスチームとして参戦し、鍛えられた実戦部隊が市販車の開発も行なう。言い換えれば、国際レースの舞台でその存在感を示すことがGRブランドの根底にあるべき」と説明した。

 友山氏はさらに、2018年にル・マン24時間レースで優勝したこと、WRC(世界ラリー選手権)では参戦2年目にしてマニュファクチャラーズタイトルを獲得したことに触れ、「トヨタが大切にしている“カイゼン”、実際にやってみては改善する、その積み重ねが今回の勝利につながっている」と述べた。

ル・マン24時間レースの優勝と、WRCのマニュファクチャラーズタイトルのトロフィを展示

 その上で「勝ち続けることはもちろん、GRブランドのスポーツカーを世に送り出すことも重要な使命であると認識している」とし、2018年のオートサロンで発表したWEC(世界耐久選手権)に参戦しているTS050のロードゴーイングバージョン「GRスーパースポーツコンセプト」についても触れ、「現在、市販化に向けて着々と開発を進めていますので、ぜひご期待いただきたいと思います」と経過を説明した。

 さらにWRCに関連したスポーツモデルについては、「ラリー王国・トヨタを不動のものとする戦略的スポーツモデル。もう、ここまで口に出かかっているのですが、絶対に言わないでくれと念を押されておりまして、これ以上は申し上げることはできません」と期待させた。

スープラは2020年からSUPER GT GT500クラス参戦

 続いてスープラについて説明がなされた。GAZOO Racingにとって「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」にスープラで参戦することは悲願だったという。

 友山氏は“モリゾウ”選手こと現社長の豊田章男氏の運転の師匠であるトヨタのマスタードライバー、成瀬弘氏のエピソードを紹介。成瀬氏はテスト中の事故で亡くなっているが、生前、ニュルブルクリンクにおいて「ドイツメーカーを見てみろ、開発中の新型車でニュルを走っている。トヨタがここで勝負できるクルマは、すでに生産が終わった中古のスープラしかない」と言ったことがあったという。豊田氏はその言葉が忘れられず、スープラの復活を決意したという。

“モリゾウ”選手こと豊田章男社長と運転の師匠である成瀬弘氏

 2018年10月にドイツ・ニュルブルクリンクで開催されたVLN耐久選手権最終戦に新型スープラで参戦した際、豊田氏は心の中で成瀬氏に「ついに新型スープラでニュルに来ました」と報告していたとのエピソードも紹介された。

 そして、友山氏は「スープラの復活とともにレースをカムバックさせるのはニュルブルクリンクだけではありません。かつて、さまざまなチームからGT500に参戦し、数々の伝説を残したスープラでふたたびGT500を戦う、その夢をかなえるマシンこそGRスープラ スーパーGTコンセプトです」と、今回初公開となるGRスープラ スーパーGTコンセプトを紹介、アンベールを行なった。

友山氏がGRスープラ スーパーGTコンセプトを説明。アンベールされた

 GRスープラ スーパーGTコンセプトの参戦は2020年シーズンからとなる。友山氏は「スープラがライバルたちと熱いバトルを繰り広げるその日をぜひ、楽しみにお待ちいただきたいと思います」と応援を呼びかけた。

アンベールされたGRスープラ スーパーGTコンセプト

 なお、スープラはカモフラージュがなされているが、実車が一般公開される数少ない機会。ブースではスープラに注目が集まっていた。

新型スープラ。カモフラージュされているが実物を間近に見ることができる
友山氏の個人所有のスープラも写真で紹介。トヨタの役員駐車場に乗り付け、警備員に阻止されたというエピソードが紹介された。その後、警備員には独特の直6サウンドでクルマを覚えてもらったという
歴代のレース参戦のスープラも展示された

6速MTのマークX“GRMN”を限定発売

 ブースのメインはGRスープラ スーパーGTコンセプトだが、マークX GRMN、GRコペン GRスポーツコンセプト、センチュリーGRMNなど、注目すべき車両も豊富に展示されている。

6速MTのマークX“GRMN”と友山氏

 初公開された350台限定のマークX“GRMN”。今回のマークX“GRMN”は2代目となり、専用6速MTを搭載していることが特徴。専用チューニングサスペンションや252か所におよぶスポット溶接打点追加による高剛性ボディ、専用内外装パーツの装着がなされ、V型6気筒3.5リッター「2GR-FSE」型エンジンを搭載、最高出力は234kW(318PS)/6400rpm.、最大トルクは380Nm(38.7kgfm)/4800rpm。価格は513万円となっている。

 友山氏は自らが試乗した動画を紹介し、「この私が試乗している動画です。どうです、楽しそうでしょう」と呼びかけ、「貴重なマニュアル、トヨタ史上最高のファン・トゥ・ドライブのセダンが誕生したといっても過言ではありません」と自信を見せた。

友山氏による試乗の様子

GRシリーズ初の軽スポーツクーペ「GRコペン GRスポーツコンセプト」

 また、GRシリーズ初の軽スポーツクーペである「GRコペン GRスポーツコンセプト」はもっと気軽にGRを楽しめるクルマとして紹介。「新たなクルマ好きの期待に応えることができる」とした。

GRコペン GRスポーツコンセプト

 なお、友山氏は今後、GRシリーズを12車種、15車型までラインアップを拡充する予定であることを明らかにした。

マークX“GRMN”

2台のうちの1台、センチュリーGRMNの黒バージョン

 ブースにはサプライズとして、センチュリーGRMNも展示された。最近では箱根駅伝で白のセンチュリーGRMNが伴走車として活躍したが、オートサロンで展示されたのは黒。友山氏によれば、世界に2台だけあるセンチュリーGRMNのうちの1台ということだ。

センチュリーGRMN
センチュリーGRMNのリア
専用グリルとGRMNのバッヂ
フェンダーに装着されたGRMNバッヂ
専用ホイールと赤の差し色のあるフロントバンパー
リアタイヤとホイール
リアのGRMNバッヂ
黒ボディでは分かりにくいが、カーボン柄のスポイラーを装着
もともとエキゾーストエンドが見えないセンチュリーだが、GRMN仕様でもエキゾーストエンドは下向きで見えない

モータースポーツ参戦車両なども展示

 ブースでは、モータスポーツ参戦車両としてヤリスWRC、TS050 HYBRID、レクサスLC Nur2019年スペックを展示。GRシリーズのクルマがモータースポーツタイトルと密接な関係があることをアピールした。

 そのほか、グッズの販売コーナーなども設置されている。

ヤリスWRC
ル・マン24時間レースに参戦したTS050 HYBRID
レクサスLC Nur2019年スペック
グッズ販売ブース
これはGRのブランドを付けたオイル

正田拓也