イベントレポート
BMW、アジア初公開の新型BEV「iX3」や日本初公開で87台限定販売の「M2 CS」などを展示
2025年10月30日 08:49
- 一般公開日:2025年10月31日~11月9日 開催
- 入場料:1500円~3500円(小学生以下はアーリーエントリーを含め無料、高校生以下はアーリーエントリーのみ3500円でそれ以外は無料)
「ジャパンモビリティショー2025」(一般公開日:10月31日~11月9日、会場:東京ビッグサイト)に出展しているBMWは、プレスデー初日となる10月29日に西展示棟1階 西1ホール・WP03の同社ブースでプレスブリーフィングを実施した。
MINIブランドと共同展開しているBMWブースでは、9月にドイツで開催された「IAA モビリティ2025」で世界初公開したばかりの新型BEV(バッテリ電気自動車)「iX3」に加え、トヨタ自動車と共同開発したFCV(燃料電池車)向けの燃料電池システム(プロトタイプ)をアジア初公開。また、5月に世界初公開した新型2ドアクーペ「M2 CS」を日本初公開している。
このほかにも世界限定70台のコンセプトモデル「BMW コンセプト・スピードトップ」、日本の伝統工芸を施したコンセプトモデル「X7 NISHIKI LOUNGE」、燃料電池技術の実証実験車両「iX5 Hydrogen」といった車両を展示して、BMWが見据える次世代モビリティや最新技術などを紹介している。
2026年夏以降の日本導入を予定する新型BEV「iX3」(アジア初公開)
2026年3月に生産が開始され、日本導入は2026年夏以降を予定している新型BEVのiX3は、第6世代(Gen6)となる「BMW eDrive」を採用するモデル。円筒形セル・バッテリと新開発モーターを搭載して、400kWの充電によって10分で航続距離を372kmの増加させることが可能となっており、「双方向充電機能」の採用で車両が“移動式電源バンク”に変貌するという。
外観はBMWブランドにとってまったく新しいデザイン言語を用いて構成され、インテリアでは革新的なディスプレイと操作コンセプトを組み合わせた「BMWパノラミックiDrive」を採用。新開発となる「BMWパノラミック・ビジョン」と「BMWオペレーティング・システムX」を統合することで、ユーザー体験を再定義する1台となっている。
新型2ドアクーペ「M2 CS」(日本初公開)
2シリーズクーペのMハイパフォーマンスモデル「M2クーペ」をベースに、走行性能をさらに磨き上げた限定車であるM2 CSでは、搭載するエンジンをレース専用のGT3車両「M4 GT3 EVO」でも採用される高回転型で“Mツインパワー・ターボ・テクノロジー”を採用する直列6気筒3.0リッターエンジンに換装。これにより、ベースモデル比でエンジン出力が37kW(50HP)/50Nmアップした最高出力390kW(530HP)/6250rpm、最大トルク650Nm/2650~5730rpmを発生する。
内外装ではカーボンルーフやドアミラーキャップ、ダックテール形状のカーボンファイバートランクリッド、リアディフューザー、インパネ、センターコンソールなどさまざまな部位にカーボンファイバー素材を使い、鍛造Mライトアロイホイールなども採用することで、ベースモデルと比較して約30kgの軽量化を実現。強化したエンジン性能との組み合わせにより、0-100km/h加速はベースモデルから0.2秒短縮となる3.8秒、0-200km/h加速は同1.2秒短縮の11.7秒を記録する。
第3世代燃料電池システム(アジア初公開)
BMWグループとトヨタ自動車の共同開発で生み出された第3世代燃料電池システムでは、技術的進歩によってさらなるコンパクト化を実現しつつ、より強力で効率的なシステム構成を実現。航続距離と出力の向上を図る一方、エネルギー消費量の削減も両立している。
ミュンヘンとBMWグループのシュタイアー工場の専門センターでは、この技術の初期プロトタイプの製作が進んでおり、BMWグループのランツフート工場では駆動システム向けの追加コンポーネントを供給しているという。
世界限定70台のコンセプトモデル「BMW コンセプト・スピードトップ」(アジア初公開)
5月にイタリア・コモ湖畔で開催されたヒストリックカーの祭典「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2025」で世界初公開したBMWコンセプト・スピードトップは、シューティング・ブレークが持つ優雅さと斬新なデザイン言語の融合により、スポーティなツーリングモデルとして再解釈された車両。70台が限定生産され、“BMWが現在提供する最もパワフルなV8エンジンによる卓越したパワートレーンを搭載する”という点もこのモデルの希少性をさらに高めている。
フロントマスクには「シャークノーズ」と呼ばれるV字形状が与えられ、スリムなヘッドライトとイルミネーションを備えるキドニー・グリルによって個性を強調。また、ボンネットからルーフを経てリアスポイラーまで続く中央の「スプライン・ライン」がダイナミックなツーリング・プロファイルを車体に与え、ワイドなリアフェンダーがスポーティなデザインをさらに際立たせている。
足下でも専用設計の2トーン14スポーク・ファンスタイルホイールによって優雅さが強調され、2トーンカラーと素材コンセプトがエクステリアとインテリアの連続性を創出する。ボディは「フローティング・サンストーン・マルーン」に塗装され、きらめきを放つ茶系色のボディがシート表皮の明るい「ムーン・ストーン・ホワイト」に世界観を連動させるよう配色を組み合わせる。
日本の伝統工芸を施したコンセプトモデル「X7 NISHIKI LOUNGE」
X7 NISHIKI LOUNGEはBMWの最上級ラグジュアリーモデル「X7」をベースとして、「BMWと日本の名匠プロジェクト」第4弾モデルとして製作され、2月に発表したモデル。「川島織物セルコン」「楽芸工房」「kuska fabric」が手がけた日本の伝統工芸品を車内に装着し、豪華な乗り心地と日本の伝統工芸が優雅に融合した姿を体現している。
「星がきらめく美しさに満たされた安らぎの空間」がコンセプトとなっており、優しく広大な安らぎの空間を表現するため、BMW独自の洗練された輝きと京都の伝統工芸を組み合わせ、星空の広がりを芸術的に表現。
車内ではセンターコンソールにkuska fabricと楽芸工房の技術が施され、機械を使用しない手織りのジャガード織りでコンセプトの「星がきらめく安らぎの空間」を表現。また、2mm、3mm、4mmとレザーの太さを変え、平面ではなく繊細で立体的な仕上がりとしている。その上には箔装飾が施されて星がきらめく世界観を表現。トリム類やシフトスイッチ、iDriveコントローラーの周辺などにも楽芸工房による箔泊装飾が与えられ、広大な宇宙空間ときらめく星々を表わしている。
外観でも2色のボディカラーでコンセプトを表現する専用2トーン塗装を採用。車体下側をBMW Individualカラーの「ベルベット・ブルー」で塗り、「スペース・シルバー」でボンネットやピラー、ルーフなどを塗装して宇宙で輝く星雲を表現している。
燃料電池技術の実証実験車両「iX5 Hydrogen」
FCVのiX5 Hydrogenはゼロエミッションに向けたBMWの取り組みのなかで、水素燃焼と平行してFCVの開発を進めるために約100台が生産され、2023年7月から日本でも公道を使った実証実験で走行を行なっている車両。実証実験は2024年も続けられ、2028年には新型iX5 Hydrogenの発売も予定されている。
iX5 Hydrogenは700barの水素タンクを2本搭載し、トータル容量は6㎏。最高出力295kW(401PS)のモーターを備え、0-100km/h加速性能は6秒未満で最高速は180km/h以上。一充填走行距離(WLTPモード)は504kmで、水素燃料消費率(複合、WLTPモード)は119km/kgとなっている。
M2 CSは「正真正銘、M2史上最強のモデル」と長谷川社長
プレスブリーフィングのオープニングでは、ビー・エム・ダブリュー 代表取締役社長 長谷川正敏氏が日本初公開したM2 CSの助手席に乗ってステージに登場。2025年になり、ビー・エム・ダブリューでは「1シリーズ」「X1」「X2」「X3」といった日本市場で高い人気を誇るプレミアムコンパクトセグメントのモデルを立て続けに市場投入して、9月までのBMWブランドの売り上げは対前年比6%増となった。また、MINIブランドでも新世代MINIファミリーが多彩なボディタイプをプロダクトポートフォリオとして展開しており、同じく対前年比の売り上げが32%増となったと紹介。この理由として魅力的なプロダクト展開とユーザーに対するブランド体験の機会提供が結果につながっているとの分析を披露した。
この好調をさらに加速させるため、プレミアムコンパクトセグメントの新製品としてM2 CSを日本市場に導入すると発表。M2 CSはベース車両となるM2から車両重量を約30kg軽量化して、エンジン出力も最高出力530PS、最大トルク600Nmにアップグレード。「正真正銘、M2史上最強のモデルでございます」と長谷川社長は評した。なお、M2 CSは87台限定販売で価格は1488万円となっている。
「ノイエ・クラッセ」DNAを備える新型車を2027年末までに40モデル展開
ドイツ本国のBMW AGが日本を大切な市場として考えていることを示すため、このジャパンモビリティショー2025の開催に合わせて取締役会のメンバーであるBMW AG 開発担当取締役のヨアヒム・ポスト氏が来日し、長谷川社長に続いてプレゼンテーションを行なった。
ポスト氏は「自分に最もふさわしいBMWモデルを選ぶのはお客さま」との考えを示し、そのためには高効率な内燃機関からHEV(ハイブリッドカー)、BEVなど多彩な選択肢を用意する「テクノロジーオープンアプローチ」こそが自分たちをグローバルプレミアムセグメントの押し上げてくれる理由になっていると説明。2028年に発売を予定するFCVの新型iX5 Hydrogenによってさらに次のレベルに引き上げられるとアピールした。
水素は次世代のエネルギーシステムを担うキーであり、画期的な変化を生む可能性を秘めていると語り、FCVはBEVと並んでゼロエミッションドライビングエクスペリエンスを提供する技術で、よりお客さまに選んでいただきやすいようにしていくと述べた。また、新型iX5 HydrogenはBMWのモデルとして初めて5つのパワートレーンオプションを展開するモデルとなり、トヨタ自動車と共同開発した新しい第3世代FCシステムがこの中核になると説明している。
また、BMWにおける新時代の技術コンセプト「ノイエ・クラッセ」のDNAを備える新型車を2027年末までに40モデル展開すると表明。この新しい潮流を受けた最初の発表として、新型iX3をステージに招き入れ、アジア初公開を行なった。
新型iX3は内外装に新たなデザイン言語を導入
新型iX3の助手席から姿を現わしたBMW AG コンパクトクラス ノイエ・クラッセ BMW M デザイン部 部長 オリバー・ハイルマー氏は、アジア初公開となった新しいiX3のデザインについて解説を実施。
新型iX3の外観ではBMWのSAVモデルが持つ特有の力強いプロポーションを保ちつつ、4輪すべてで存在感を強調。クリーンなサーフェイスと限定的な精密なラインのみを使って構成しており、フロントマスクではBMWモデルの個性に新たな解釈を行ない、これまでクロームの加飾で表現してきたラインをLEDの光に置き換えている。このLEDシグネチャーはDRL(デイタイムランニングライト)としての機能も備え、昼夜を問わずiX3を識別しやすくする働きを持つ。また、BMWのアイデンティティであるキドニー・グリルは縦型となり、縦方向にも存在感を示すSAVの現代的な外観と調和するデザインとなっている。
全体的なプロポーションでは力強いスタンスと強力なショルダーラインを基調として、リアコンビネーションランプは水平方向に伸びるシグネチャーを備えて全幅を強調している。
インテリアではフロントウィンドウのすぐ下に設定されている新開発の「BMW パノラミックビジョン」がドライバーを安心させ、確かなコントロール感を提供する。この新たな装備はヘッドアップディスプレイの技術をさらに進化させたものとなっており、ドライバーだけでなく同乗者まで車内の全員が確認可能となっており、必要な情報を迅速にチェックできるという。
新しいiX3に導入した内外装の新たなデザイン言語は、今後登場するBMWブランド車両全体に導入されて新たな印象をもたらすものになると説明。極めて洗練されたデザインであり、同時に力強い個性を発揮するとしている。


















































