イベントレポート

ボッシュ、SDVで実現可能な機能やサービスを盛り込んだ展示車 クリスチャン・メッカー社長がプレゼン

2025年10月31日~11月9日 開催(一般公開日)
SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)技術を可視化した展示車両とクリスチャン・メッカー社長

「ジャパンモビリティショー2025」(プレスデー:10月29日~30日/一般公開日:10月31日~11月9日)に出展したボッシュのテーマは「ソフトウェア ドリブン モビリティ(Software-driven Mobility)」。ソフトウェア主導で開発した最新技術を盛り込んだ電動化技術のモジュール型ソリューションを、モデルカーを通して展示した。

 プレスカンファレンスで登壇した代表取締役社長のクリスチャン・メッカー氏は、「自動車開発の主流はソフトウェア主導へと変化しています。ソフトウェア・デファインド・ビークルは、ソフトウェアをアップデートすることで車両性能を改良したり、アプリケーションを追加したりすることで新しい機能が使えるようになります。スマートフォンと同じです。調査では20%未満の人がソフトウェア・デファインド・ビークルという言葉を知っており、具体的にソフトウェアデファインドビークルで実現可能な機能やサービスを盛り込んだのがこの展示車です」とし、それぞれの技術と機能を紹介した。

プレスカンファレンスに臨むクリスチャン・メッカー社長
SDV技術を可視化したボッシュの展示車両

初公開されたバイワイヤアクチュエータ

 クリスチャン・メッカー社長は、「今回ボッシュが日本で初めて一般公開するコンポーネントの1つがバイワイヤブレーキアクチュエータです。ボッシュは1978年にアンチロックブレーキシステムの量産を開始しました。それ以来、ブレーキ技術の開発にボッシュは力を入れてまいりました。従来のブレーキシステムでは、ブレーキペダルとブレーキシステムの間は機械的に連結されているのが主流でしたが、現在、ソフトウェアドリブンモビリティを見据えて、ボッシュは油圧式のブレーキバイワイヤシステムを開発しています。これはバイワイヤブレーキアクチュエータと横滑り防止装置ESCの2つのユニットから構成されています」。

「ブレーキペダルとブレーキバイワイヤアクチュエータは電線でのみ接続されており、ドライバーのブレーキ要求は電気信号としてブレーキ動作に変換されます。ブレーキペダルとブレーキシステムの間に機械的な接続がなくなることで、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)と車室内のデザインに新たな可能性が生まれます。さらに、ボッシュの油圧式ブレーキバイワイヤシステムは、市場で実績のあるブレーキシステム技術を基盤としているので、バイワイヤ化によるメリットを最大限に引き出しながら信頼性が高く、軽量かつエネルギー効率が高いという特徴があります。ボッシュは、バイワイヤ技術におけるリーディングカンパニーの1つで、ボッシュのブレーキバイワイヤシステムは 2026年初頭にアジアの自動車メーカーの量産車に搭載予定です」と紹介した。

展示車が搭載するバイワイヤブレーキアクチュエータ(右)と横滑り防止装置(ESC)

ビークルモーションマネジメント

 ビークルモーションマネジメントは、ブレーキ、ステアリング、パワートレーン、サスペンションなど、車両制御のためのさまざまなアクチュエータを統合制御する包括的なソフトウェアだ。すでにドライバーの指示で個人の好みで走行シーンに合わせた「パーソナライズ化された運転」が可能になっているが、この技術をさらに発展させ、顔認証でドライバーの好みの走りを自動認識し、ソフトウェアが自動的に最適な走行モードで走れるような新機能を開発中だという。

 ドライバーが意識することなく、過去の走行パターンや設定履歴、走行中の行動パターンを認識し、その時々の気分や意図、継続的に学習される運転スタイルに合致したモードを自動で提供できるシステムだという。

ビークルモーションマネジメントを構成するステアリング部。根元部分にアクチュエータを搭載する
ラック&ピニオンのギア部にもアクチュエータを搭載する(丸い筒状のもの)
前席は顔認証によって自動でパーソナライズ化が行なわれる

イージーターンアシスタント

 ビークルモーションマネジメントの機能である「イージーターンアシスト」は、Uターンや急カーブなどで急旋回する際に、内側のタイヤに軽くブレーキをかけるとともにモーターの力配分を調整し、より小さな回転半径で曲がることを可能にする技術だ。

展示車が搭載するリアの油冷e-Axle
原 アキラ