イベントレポート

レクサス「RZ」に採用されるステアバイワイヤシステムの体験コーナーやドローンの技術を紹介するジェイテクトブース

「走る」「曲がる」「止まる」に加え「下がる」機能も集約した開発中の「転舵・駆動統合ユニット」を動画で紹介

2025年10月29日~11月9日 開催
ジェイテクトブースのテーマ「Joyful Mobility, Fun Living ~移動も暮らしも、もっとワクワクに~」を紹介する株式会社ジェイテクト 取締役社長 近藤禎人氏

 ジャパンモビリティショー2025(プレスデー:10月29日~30日/一般公開日:10月31日~11月9日)が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている。

 ジェイテクトは西展示棟 西3・4ホールにブースを出展。「Joyful Mobility, Fun Living ~移動も暮らしも、もっとワクワクに~」をテーマに、未来の「ワクワクする移動」「ワクワクする生活」に貢献するソリューションを紹介している。

ブースでは、ステアバイワイヤのあり/なしをバーチャル体験できる
未来のモビリティ社会に貢献するジェイテクトの技術を紹介
ステアバイワイヤシステムを搭載することで、未来のクルマの「曲がる技術」が進化する
ステアバイワイヤシステムのモック
2022年から開発を開始した「走る」「曲がる」「止まる」「下がる」の制御を1つのユニットに集約した「転舵・駆動統合ユニット」。モビリティの四隅に配置することでフロアをフラットにでき、昇降機能も備えることでバリアフリーに貢献する。20~120mmの高さ調整ができ、車両全体の高さを下げるだけでなく、前後・左右のどちらかだけを斜めに傾けたり、降車場などの高さに合わせて自由な位置に調整したりも可能。19km/h以下の低速走行を想定しており、今はまだ手動制御で実証実験段階ではないとしつつ、今後は実証実験が行なえるよう開発を進めていくという
ワクワクする生活に関するジェイテクトの技術を紹介
工場のソーラーパネルで発電した電気を使って水素をつくり、その水素を工場のアルミ溶解時に活用するというようなグリーンエネルギーの地産地消を刈谷で行なっている。まだ実証実験段階で実用化には数年はかかるとのことだが、クルマや燃料だけでなく、製造現場からもCN化を進めていくという
「ステアリングの制御操作に似ているのでは?」ということから、ドローンの姿勢制御を行なうフライトコントローラーを開発。ジェイテクトの持つコア技術を、ドローンという自動車とは異なるモビリティの世界で活用するという、まさに“コンピタンスのかけ合わせ”から生まれた。現状、ドローンはまだ十分な規制や法整備がされていない部分もあるが、それを「自動車産業が歩んできた道」ととらえ、法整備などを積極的に進めていけたらという展望があるとのこと
産業用ドローンのイメージ
ドローン用フライトコントローラー
高出力電源基板
高耐熱リチウムイオンキャパシタ「Libuddy」1000F
子ども向けのコンテンツとして、「J+TEKTON QUEST」(ジェイテクトン・クエスト)を用意
ジェイテクトのコアコンピタンスをかけ合わせ、さまざまな課題をモンスターに見立てた“社会課題モンスター”を倒すという内容。遊び方はスタッフが教えてくれ、ブース内に設置されたタブレットのほか、スマホからも遊べる

 10月30日に行なわれたプレスカンファレンスでは、ジェイテクト 取締役社長 近藤禎人氏がプレゼンテーションを実施。共通のバリューとして「Yes for All, by All!」を掲げ、ブース内でも紹介しているMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)と中期経営計画に沿って、モビリティ社会の未来をつくるソリューションプロバイダーへの変革を進めていることを強調した。

株式会社ジェイテクト 取締役社長 近藤禎人氏

 ジェイテクトは前身となるベアリングメーカーの光洋精工と工作機械メーカーの豊田工機がそれぞれの祖業で培ってきた技術を生かし、ステアリングや駆動部品といった自動車部品を生産していることから、「コンピタンスのかけ合わせによって新たな挑戦をしてきた歴史がある」と紹介。現在、ジェイテクトが持つコンピタンスは1つのプラットフォーム「コアコンピタンスプラットフォーム(ココプラ)」に集約され、ジェイテクトだからこそ提供できる価値が次々と生まれてきていると説明した。

ジェイテクトのさまざまなコンピタンスは、事業に紐づいたものが多く、その垣根をなくして活用できるようにしたのが「コアコンピタンスプラットフォーム」(ココプラ)となる

 具体的には、レクサス「RZ」に搭載されるジェイテクトのステアバイワイヤシステムに用いられた高耐熱リチウムイオンキャパシタ「Libuddy」や、産業用ドローン向けに姿勢を制御する「フライトコントローラー」、そのバックアップ電源としてLibuddyを活用するなどの例を紹介した。

レクサス「RZ」に採用されるステアバイワイヤシステムや、産業用ドローン用のフライトコントローラー、高耐熱リチウムイオンキャパシタのさまざまな方面への活用、水素技術などを用いたCN活動、商用車用コラム同軸操舵アクチュエーター、転舵・駆動統合ユニットなど幅広い分野での技術活用が行なわれている

 近藤社長は「今後、新たなソリューションを生み出すためには自社のコンピタンスだけでは十分ではない場合があります。自前主義にこだわらずお客さまや仕入先さま、スタートアップの皆さまをはじめ、新たな共創パートナーとのコンピタンスのかけ合わせも不可欠です。世の中の困りごとを理解し、本質と課題解決を仲間と一緒に共創し、ソリューションを提供していく。こうしたことが私たちジェイテクトの目指す姿です」と、今後の展望について語った。

 なお、ブースでは開発中の「走る」「曲がる」「止まる」に加え「下がる」の機能を1ユニットに集約した「転舵・駆動統合ユニット」も紹介しており、近藤社長は「さまざまな使い方が想像できると思いますので、ぜひご覧いただき、皆さまのお考えを聞かせていただけると大変ありがたいです」と、ブースへの来場を呼びかけた。

ジェイテクト 近藤禎人社長
編集部:北村友里恵