イベントレポート

日米友好をモータースポーツからも NASCARがスーパー耐久最終戦富士に6台参加 モリゾウことSTMO理事長がJMS2025で発表

日本自動車会議所「モリゾウ モータースポーツを語る」

日本自動車会議所のモータースポーツ委員会による公開会議がジャパンモビリティショー2025で行なわれた

 11月1日、東京ビッグサイトで開催されているジャパンモビリティショー2025(以下、JMS2025)において、日本自動車会議所が主催する「モリゾウ モータースポーツを語る」というトークショーが開かれた。

 これは日本自動車会議所の会長でもあり、モリゾウという一人のレーシングドライバーでもある豊田章男氏が呼びかけたもの。豊田章男氏は、トヨタ自動車 代表取締役会長としてJMS2025のプレスデー初日にプレゼンテーション。そのプレゼンテーションの中で、戦後間もなく日本自動車会議所の原型となる自動車協議会を立ち上げた豊田喜一郎氏が語った「民主主義 自動車工業国家を建設し、平和日本の再建と世界文化に寄与したい」「平和日本の再建」という言葉を紹介していた。

トヨタ カムリがベースのNASCARマシン。写真は、ル・マン24時間レース展示時のもの

 豊田章男氏は、「この言葉が私の頭から離れませんでした。『平和日本の再建』には『自動車工業が原動力となり、日本の人々に笑顔と平和な日常を取り戻したい』という産業報国の精神が込められております。『世界文化への寄与』とは、『異なる国や民族が持つ文化の理解や交流を通じて、より良い社会を築くこと』それを意味していると思います。当時の日本に必要だったもの。それは、『日本に生きる人間としてのプライド』だったのではないでしょうか」と語りかけていた。

 豊田章男氏は日本自動車会議所会長就任において「クルマをニッポンの文化に!」を掲げており、クルマ文化発信の場としてグローバルに機能するモータースポーツの環境改善へ取り組むため、このようなトークショーを企画したものと思われる。

 このトークショーには、下記のメンバーが参加。

モリゾウ(豊田章男 日本自動車会議所会長)
坂口正芳 日本自動車連盟(JAF)会長
坂東正明 GTアソシエイション(GTA)会長
近藤真彦 日本レースプロモーション(JRP)会長
桑山晴美 スーパー耐久未来機構(STMO)副理事長
鈴木哲夫 日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)会長
加地雅哉 日本自動車会議所モータースポーツ委員長
<司会> 森田京之介 トヨタイムズスポーツ

 モータースポーツに詳しい方であれば、11月1日はSUPER GTの最終戦の予選日であり、坂東正明代表やチーム監督兼オーナーである近藤真彦氏が参加していることに驚く部分もあるだろう。また、4輪と2輪のモータースポーツ統括団体代表が一堂に会するのも、とても貴重なことだ。

日本の4輪モータースポーツを代表する人たちが集まった。左から坂東正明 GTアソシエイション(GTA)会長、近藤真彦 日本レースプロモーション(JRP)会長、桑山晴美 スーパー耐久未来機構(STMO)副理事長

 トークショーでは、現在のモータースポーツが直面する問題が率直に意見交換されたほか、スーパー耐久を運営するSTMO(スーパー耐久未来機構) 理事長でもあるモリゾウさんから、NASCARを6台走らせるとの発表があった。

 これはアメリカのモータースポーツであるNASCARをスーパー耐久で走らせようというもの。日本では佐藤琢磨選手がアジア人として初めて優勝したこともあってインディ500に代表されるインディカーシリーズが知られているが、インディカーシリーズがスーパーフォーミュラと同様なオープンホイールのレースに対して、NASCARはスーパー耐久やSUPER GTなどと同様に箱車(というよりストックカーか)のレースとなる。市販車のイメージを残したものとなっており、トヨタもカムリが参戦している。

 そのNASCARが、11月14日~16日に行なわれるスーパー耐久最終戦富士で走るという。NASCARはアメリカの心とも言われているシリーズで、アメリカのクルマ文化を象徴するモータースポーツ。そのアメリカンモータースポーツを見てもらうことで、日米クルマ文化の交流を図っていく意図があると思われる。豊田章男氏はSTMOの理事長でもあり、先日のトランプ大統領来日時には、迎賓館には、米国産のクルマとしてなぜかNASCARのカムリが飾ってあった。

 という背景をいろいろ考えて見るのも楽しいが、一人のクルマファンとしては大排気量(358立方インチ、5860cc)であるV型8気筒エンジン搭載車が(しかもDOHCではなく、OHVですよ)富士スピードウェイのストレートを駆け抜ける音は聞いてみたい。ちなみに馬力も700馬力以上と言われているので、500馬力相当(実際にはもっと上だろうが)と言われるGT500マシン以上の速さは見せてくれると思われる。

 NASCARの走行などに加え、スーパー耐久最終戦富士では液体水素カローラ(字面だけで見るとロケット並ですね)の走行と、次のアップデートである超電導モーター搭載ポンプシステムの展示を予定。クルマ好きには楽しめる要素の多い大会となるだろう。

※その後の関係者の取材により、超電導モーター搭載ポンプシステムは展示のみで、液体水素カローラへ搭載してのレース参加は、来年以降となる見込みであることが分かりました。

ジャパンモビリティショー 2025 記事リンク集

https://car.watch.impress.co.jp/category/event/jms/2025/index.html

編集部:谷川 潔