アステモ、SDV時代に向けた「新開発インホイルモーター」やレアアースを使用しない「新型モーター」を展示

新開発のインホイルモーター。小型の12インチタイプ（右）は軽自動車や2輪車への搭載も可能

　アステモ（Astemo）はジャパンモビリティショー2025（東京ビッグサイト、プレスデー：10月29日～30日/一般公開日：10月31日～11月9日）に出展し、SDV（Software Defined Vehicle）時代における先進技術や、その取り組みを紹介した。

　10月30日にはAstemoブースにてプレスブリーフィングが行なわれ、代表取締役 社長&CEOの竹内弘平氏がこれからのAstemoについてスピーチした。

　竹内氏はこれまでのクルマが部品単体の進化により利便性や安全性を高めてきたのに対し、これからのクルマはソフトウエアとハードウエアの連携によって安全性を担保しながら、より柔軟により便利に進化していく時代であるとし、AstemoはそんなSDV時代におけるモビリティの電動化と知能化のリーディングカンパニーを目指すと語った。

　2025年4月1日に「日立Astemo株式会社」から「Astemo株式会社」と社名を変更することにより、その由来となった「Advanced Sustainable Technologies for Mobility」に込められた想いが鮮明になったとのことだ。

Astemo株式会社 代表取締役 社長&CEOの竹内弘平氏

　また、2024年の11月に設立したソフトウエア、クラウドサービス事業を担う新会社「Astemo Sypremos株式会社」に触れ、実車とクラウドを繋ぎ、データ収集からシミュレーション、オンボードテストなどを連携し、これまでより開発効率や品質向上の実現を目指していくという。

　Astemoブースでは、「デジタライゼーション」「安全」「環境」といった3つの領域で取り組みが紹介されており、ソフトウェアによる自動車の進化にくわえ、先進技術やモータースポーツ活動の紹介もされている。

　先進技術の分野ではリンクレス形式の「ステア・バイ・ワイヤシステム SBWS」や19インチと12インチのインホイールモーターが紹介されていた。12インチのモデルは新構造の空冷システムを備え小型車のレアアウトとコストの課題を解決しており、軽自動車や2輪車への搭載も可能だという。

リンクレス形式の「ステア・バイ・ワイヤシステム SBWS」

　また、レアアースを使用しない新型モーターのモックアップを展示。これからも増加するであろうBEVの駆動システムの動力源として従来型の永久磁石モーターの代替を可能とし資源リスクを大幅に低減するものだ。

レアアースを使用しない新型モーターのモックアップ

　モータースポーツの分野では4輪では国内のSUPER GT GT500クラス（Astemo REAL RACING）や米国インディーカー・シリーズにおけるチーム・ペンスキーとのスポンサー契約、2輪ではMFJ全日本ロードレースや鈴鹿8時間ロードレースに参戦する「Astemo Rro Honda SI Racing」をサポート。レースという極限状態における性能評価を通じ最先端の開発や技術者育成を推進しているとのこと。会場にはMFJ全日本ロードレースに参戦する「Honda CBR1000RR-R FIREBLADE」が展示された。

MFJ全日本ロードレースに参戦するHonda CBR1000RR-R FIREBLADEを展示した

カウルには今もブランドとしてその名を残すKEIHIN、SHOWA、NISSINの名を見ることができる

SDV時代における先進技術や取り組みを紹介する「Astemoブース」