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日立アステモ、SDV時代に対応する「ステア・バイ・ワイヤ・システム」や「インホイールモーター」など新たな技術を紹介
2024年5月23日 20:17
- 2024年5月22日~24日 開催
- 入場無料(事前登録制)
自動車技術会が主催する自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」が5月22日、神奈川県のパシフィコ横浜・展示ホールで開幕した。会期は5月24日まで。入場に際して公式サイトでの事前および会場での登録が必要だが入場は無料。
日立Astemo(アステモ)のブースでは、SDV(ソフトウエア・デファインド・ビーグル)の時代に対応するプロダクトの展示を行なっていて、2つのステア・バイ・ワイヤ技術を展示している。
1つは「SBWS(ステア・バイ・ワイヤ・システム)」と名付けられたもので、これは車両統合制御と組み合わせて高い安全性と信頼性を提供することを目的としたもの。SBWSを搭載することで緊急回避時のステアリング操作や外乱を受けたときの修正舵などの制御を行なってくれる。こうした技術はドライバーが自らステアリングを操作しているときはもちろん、ADASの機能を使用しているときにも欠かせない装置だ。
ただ、ステア・バイ・ワイヤの動作は、電気の供給によって行なわれているので、何らかの理由で電気が得られずに機能が止まってしまうことも起こり得る。そこでSBWSでは車両統合制御を使い、片側のブレーキだけを作動することでタイヤの回転差を生み、車両を路肩へと誘導しながら減速、停車まで行なえる「ステア・バイ・ブレーキ制御」も開発しているという。
また、ステア・バイ・ワイヤの技術を使うことで従来のステアリングではないものでもステアリングとして使えるようになるので、そのモデルとして展示されているのが「インホイールEV」。
この車両は名前のとおり日立アステモが開発している、ダイレクトドライブ技術を用いた小型軽量、高効率のインホイールモーターを備え、ステアリングとして「ノブ」のような形状の操作インターフェースが使われていた。
ステアリングでいうところのロックtoロックの範囲は狭く、ノブを握った腕の手首や肘を回す動作でカバーできる範囲に収まっている。ただ、回せる範囲が少ないと操作がシビアになりそうなイメージもあるが、意外とすぐ慣れてカーブが続くコースでもスムーズに走れるとのこと。
HEV(ハイブリッド)用の「走行環境適応エネルギーマネジメントシステム」も展示していて、これはAIで走行状態の先読みをする機能で、次に来る状況を予測してパワートレーンを制御するという技術。
これを使うことでエンジン、モーターのどちらを使用するか適切に判断できるようになるのだが、これは単純にスムーズな運転ができるだけでなく、例えばエンジンが余計に働かなくて済むようになり、「これだけの仕事量」という区切りがはっきりと見えてくる。
現在のエンジンは明確な仕事量が決まっていないので、エンジン自体の作りやラジエターなど補器類のサイズに余裕を持たせているが、これが適正なサイズに落とし込むことができるようになるという。その結果、補器類の小型化やコストの削減につながるそうだ。
そのほかにも、クルマの制御に関連する技術を解説ボードで展示している。今回の日立アステモブースでは、シャシーやパワートレーンといったパートごとを「それぞれのパーツ」ではなく「システム」として作っていたが、その理由は走行環境適応エネルギーマネジメントシステムにもあった構成パーツの最適化を実現するためのもの。
つまり従来のクルマ作りは、部位ごとにサプライヤーが存在して、自動車メーカーはそれぞれのサプライヤーとやり取りをしていたが、クルマに求められる要件がどんどん高度になっていることから、自動車メーカーもその対応に手を焼くようになっている。
そのため自動車メーカーはいろいろとシステムや機構をまとめられるサプライヤーを求めるようになっていて、日立アステモはそうした状況に対応するためのサプライヤーとしての回答をボードに展示しているようだ。