【東京モーターショー2011
マツダ、スカイアクティブを進化させた「雄(TAKERI)」など公開


「雄(TAKERI)」と山内孝代表取締役会長・社長兼CEO

東京ビッグサイト
会期:11月30日~12月11日(一般公開日:12月3日~11日)



スカイアクティブテクノロジについて語った

 マツダは、東京モーターショーでスカイアクティブテクノロジをさらに3進化させたコンセプトカー「雄(TAKERI)」と、フルスカイアクティブを採り入れた、量産車では第1号車となるSUV「CX-5」の国内仕様を初公開した。

 マツダは、2009年に開催された前回の東京モーターショーで、内燃機関などの既存技術をベースにし、効率を極限まで高めていく新たな基幹技術「スカイアクティブテクノロジ(当時はスカイテック)」を発表した。当時は、エンジンやトランスミッション単体の技術展示はあったものの、「市販車でどこまで具現化されるのか半信半疑で見ていたメディアも多かったのではないか」と、山内孝代表取締役会長・社長兼CEOは、プレスカンファレンスでコメントした。

 2年前には技術展示のみだったスカイアクティブテクノロジだが、今年に入ってマイナーチェンジを行なった「デミオ」に同技術のエンジンが搭載され、「アクセラ」にはエンジンとトランスミッションを搭載。序々にその範囲を広めて市販していった。山内社長は、両モデルともに販売は好調に推移していると言い、ユーザーやメディアなどの各方面からの評価も得ていると自信を見せた。

 さらに、カンファレンスでは、これから導入されるスカイアクティブD(ディーゼル)について、「今でも初めて乗ったときのことを鮮明に覚えている。圧倒的な走りと加速、発進の気持ちよさに手が震え、早くこの商品を世に送り出したいと胸が高鳴った」と、新たなディーゼルエンジンも自信を持って勧められる仕上がりになっているという。

 このスカイアクティブDが搭載される車両が、来年春に発売が予定される「CX-5」。国内仕様は東京モーターショーが初公開で、エンジンバリエーションは、2.2リッターディーゼルエンジンと2.0リッターガソリンエンジンが用意される。注目すべきは、エンジン、トランスミッション、ボディー、シャシーにおよぶすべてにスカイアクティブテクノロジーが導入されていること。上質で気持ちよい走りと優れた環境や安全性能を高次元で両立したモデルとなる。

 6速ATのスカイアクティブドライブや、アイドリングストップ機構のi-stopとスカイアクティブDが組み合わさったモデルは、JC08モードの燃費で18.6km/Lを達成する見込みで、実際にこのスペックで市場に投入されれば、国内で発売されているすべてのSUVで最高の環境性能を誇ることとなる。

 ボディーデザインに関しては、マツダの新デザインテーマとなる「魂動(こどう)Soul of Motion」をベースとしていて、力強く、機能的なSUVらしさと同時に、マツダらしい生命力と躍動感を研ぎ澄ませたスタイリングを実現しているという。

スカイアクティブG(ガソリンエンジン)、スカイアクティブD(ディーゼルエンジン)にスカイアクティブドライブ、シャシー、ボディーとすべてを導入した「CX-5」
進行方向に奥行きのあるデザインを取り入れているシートは革製とファブリックの2タイプが公開された
後席レッグルームはクラストップの997mm4:2:4分割可倒式リアシートを採用。荷室に設けたレバーのリモコンでワンタッチにて操作できるのも利点
エンジンは、2.2リッターディーゼル(最高出力175PS、最大トルク420Nm)と2.0リッターガソリン(最高出力155PS、最大トルク196Nm)の2タイプタイヤサイズは17インチと19インチをラインアップ

 スカイアクティブ搭載車の第三弾となるCX-5の正式発表とともに、プレスカンファレンスで公開されたのがCDセグメントセダンのコンセプトカー「雄(TAKERI)」。スカイアクティブ技術をさらに向上させたモデルで、スカイアクティブD、スカイアクティブドライブの6速AT、アイドリングストップに加え、減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」という新技術を搭載していて、モーター駆動やハイブリッド技術を装備せずに1,500kmの航続距離をマークするという。

 新たに導入される「i-ELOOP」は、環境性能を高める次の一手で、減速エネルギー回生システム用蓄電池では世界初となるキャパシターを用いているのがポイント。キャパシターは、大量の電気を充放電できる特性があり、走行中の車両に必要な電力は、回生した電力だけでまかなうことが可能となるそうだ。新たな減速エネルギー回生システムを採用することにより約10%の燃費改善を見込んでいる。

 エクステリアは魂動のデザインテーマを落とし込んでいて、昨年のロサンゼルスショーで公開された「靭(SHINARI)」のビジョンを受け継いでいる。マツダは、今後もスカイアクティブ技術に磨きをかけて、ハイブリッドでもEV(電気自動車)でもない第三のエコカーを目指していくという。そして、2015年までにグローバルで販売するマツダ車の平均燃費を2008年比で30%向上させ、「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」を遂行していく。

新世代CDセグメントセダンのコンセプトカー「雄(TAKERI)」。4ドアクーペのような美しいシルエットを持つ
ガラスルーフを採用していて上質感を演出タイヤはブリヂストン製で、サイズは245/40 R20を履く
インテリアはダイナミックさとスピード感を重視。マツダではトップレンジとなる車両なのでプレミアム性もあわせ持つ
昨年のロサンゼルスショーで公開された「靱(SHINARI)」も展示されていた。デザインテーマの魂動を具現化したモデルで、各部の特徴は雄(TAKERI)に引き継がれている

(真鍋裕行)
2011年 12月 1日