イベントレポート

【東京モーターショー 2019】委員長 長田准氏に、3連休の見どころなどについて聞いてみた

2019年10月25日~11月4日 一般公開日

一般社団法人 日本自動車工業会 モーターショー特別委員会 委員長 長田准氏(左)、モーターショー室長 鈴木庸弘氏(右)。多くの人によって東京モーターショーは運営されている

 10月25日から一般公開が始まった「東京モーターショー 2019」。気がつけば会期の半分以上が過ぎ、残すところ11月1日金曜日と、4日月曜日までの3連休となった。そこで、東京モーターショーを運営する日本自動車工業会のモーターショー特別委員会 委員長 長田准氏に、一度目の週末を終えての気持ち、そして最後の週末となる3連休の見どころなどについて聞いてみた。

 なお、文中にも記載したが、2年に一度開催される東京モーターショーは、自工会の加盟各社から運営スタッフが参加している。2019年の自工会会長はトヨタ自動車の豊田章男氏で、長田氏もトヨタから委員長として参加。豊田会長と綿密に打ち合わせをしながら、加盟各社と東京モーターショーを作り上げてきている。


──一般公開日が始まりましたが、雨となってしまったものの最初の金曜日、最初の週末を越えて入場者数は順調ですか?

長田委員長:正直、私たちが思っている数よりも、来場いただいている人数は感覚として多いと思います。私たちは、もともとターゲットとしていたクルマ好きのコア層に加え、お子さまやご家族に体験していただいて「とにかくクルマは楽しいよね」と感じていただこうと思っていました。私たちの予想以上に、ご家族での来場者が多くなっています。

──金曜日は天候に恵まれず雨となりましたが、来場者数に影響はありましたか?

長田委員長:金曜日は優待入場(プレビューデー入場券購入者)のお客さまもいらっしゃいましたので、比較的雨が強かったわりにはご入場いただいたかなと思います。正直、僕はあの日はびっくりしました。

──最初の週末となった先日の土日は大混雑となったようなのですが?

長田委員長:とくに日曜日が混雑していました。土曜日、日曜日とより入場者が増えたので。日曜日は本当に混んでいました。

──今回、会場が西会場、南会場、青海会場、そしてOPEN ROAD、FUTURE EXPOなどさまざまに分かれていますが、混み具合に影響などはありましたか?

長田委員長:基本的にはどの会場もすごく入っていただいています。想定以上に来場いただいているのがOPEN ROADになります。有明から青海まで約20分かかるのですが、当初は「歩いていただけるかな?」と思っていたのですが、(利用者が多かったのが)個人的には驚きです。

 やはり、今回東京モーターショーをやっていく中で、一番の鍵となっているのが「Out of KidZania」(以下、キッザニア)だと思っています。キッザニアの混み方は想定を大きく超えており、平日でも予約待ちが発生しています。一番はキッザニアですね。

──確かに東京モーターショーにおけるキッザニアの取り組みは目立ちました。自分自身会場を回ったのですが、キッザニアの子供職業体験は大人でもしてみたいものがありました。これまでに東京モーターショーにない取り組みですし、来場者の反応も強く出ていました。

長田委員長:キッザニアの反応は思った以上です。お子さまにクルマの分解だとか、それにまつわるような体験をいただくことで、クルマに乗るだけではなくて、クルマの見えない部分の楽しさを感じてもらっています。できたときの満足感とか、「根底から楽しんでいただく」という目標の狙い以上に、お子さまが喜んだり、ゲームの体験などは悔しくて泣いているお子さまもいらっしゃいました。

 そのような体験をしていただくのは、僕らとしてもよかったなと。素晴らしい体験をいただけているのではないかと思っています。

──とくにマツダの金型磨きは大きな話題になっているようですが、体験コンテンツは東京モーターショー事務局のほうからお願いしたのですか?

長田委員長:大きくはクルマの組み立てというテーマになります。各社お子さま向けのメニューなどをお持ちでしたので、基本的にはそこになります。多少の調整とかはありましたが。本当に各社よいものになったと思います。

 また、キッザニアの横にトミカさんに出展いただいたのもよかったと思います。その相乗効果がすごくよい方向に出ています。

 もう1つは、MEGA WEBで経済界協議会に協力していただき、展開している「FUTURE EXPO」の存在があります。このFUTURE EXPOの来場者もとても多くなっています。もちろん数だけではなく、FUTURE EXPOに来ていただき、いろいろな体験をしていただいています。お子さまもそうですが、大人の方も笑顔で楽しんでいただけています。

 そういう意味では、4年~5年後の技術は人を楽しませる、という可能性を感じました。

大きな話題となっているマツダの金型磨きコーナー

個人的にもやってみたいが子供限定のキッザニア。ジェイテクト トルセンデフ組み立てコーナー

コペンの着せ替えができる、ダイハツのコペンファクトリー

キッザニアの向かいにあるトミカ

──自工会では来場者100万人という目標を掲げていましたが、この目標へ向かっては順調でしょうか?

長田委員長:基本的には無料のコーナーも含めてカウントしていくと、100万人は達成できそうです。ただ、内々で言っているのは、「やはり有料入場者数100万人を達成したいね」ということです。

──無料、有料という話が出ましたが、今回の東京モーターショーはFUTURE EXPOなど無料コーナーも結構楽しめるものがあります。無料エリアと、有料エリアの一番大きな展示の違いとは何になりますか?

長田委員長:やはり有料の入場エリアには、各自動車会社の出展があるのが大きいです。各社の魅力あるコンテンツがそろっており、先ほども触れましたキッザニアも有料エリアのコンテンツになります。

──先ほどのキッザニアもそうですが、長田委員長から見て、「おっ、これはいいな」という展示はありましたか? 全部をとりまとめる委員長という立場上難しい質問でしょうか?

長田委員長:そうですね(笑)。ただ、各社ともクルマの魅力をしっかりお伝えしているなと思っています。以前の東京モーターショーのように、「置いてあるだけ」という展示ではなく、来場者と一緒になって「クルマって楽しいですよね」ということを訴求しています。そこがちょっと変わったのかなと思います。

 後は、私どものことで恐縮ですが(編集部注:東京モーターショー運営スタッフは自工会加盟各社から構成されており、2019年の東京モーターショーの委員長はトヨタ自動車が担当)、トヨタのブースは未来を表現してクルマを置かないなど、だいぶ飛ばしたものになっています。

──トヨタのブースは賛否両論ありますが、話題にはなっていますね。先ほど、東京臨海高速鉄道に乗って東京モーターショーに来たのですが、新宿駅や電車の中で「トヨタのブースってクルマ置いてないんだってよ~」「え~」と話している若者がいました。トヨタの横にあってクルマをグリグリ回しているスバルとは、強い対比になっていて興味深かったです。

長田委員長:トヨタブースの横にあるダイハツもクルマはあるのですが、ミュージカル風なステージ演出をしていて、体験を重視しています。各メーカーの特色が強く出た東京モーターショーになったと思っています。

 実は豊田会長と今日も打ち合わせをしていたのですが、会長からは「100万人というカタマリ感を作ろうよ」と言われています。「このカタマリ感を作ったということが、次の2年後に存在感になっていく。その存在感が、新しい日本、いいモビリティを作ろうという仲間の企業がどんどん集まっていく。それが活性化して、もっと大きなものになっていく」「そういう循環でやっていこう」という話がありました。

 そこへ向けて僕らは、「まず100万人をやっていくんだ」と取り組んでいます。

──東京モーターショーの会期は11月4日までです。100万人に向けては、この週末の3連休が大切になると思うのですが、さらなる展示などはありますか?

長田委員長:3連休に向けては新たな試みとしてドローンレースを用意しています(予選大会:11月1日[金]17時~20時、決勝大会:11月2日[土]18時~20時30分)。これはぜひ見ていただければと思っています。前回の週末がeスポーツのレースでしたので、今回の週末はドローンレースを打ち出します。

 また、DRIVE PARKの最終日となる11月3日は、DREAMS COME TRUEの中村正人さん、クレイジーケンバンドの横山剣さんなどミュージシャンの方が登場するイベントやライブショーも用意しています。こちらもかなり盛況になるかなと思っています。

 さらにトヨタは11月2日に豊田が社長としてトヨタのステージに登場します。社長と副社長陣で「トヨタ経営会議 in 東京モーターショー 2019」というこれまでやったことのないことを行ないます。これは初の試みになります。トヨタはこのような意思決定をしているということを見てもらえればと思っています。

──今回の東京モーターショーでは、西館や南館のサプライヤー展示がとても未来感あるものになっています。かつては、部品館のような感じで渋い展示が多かったのですが、これは東京モーターショーの事務局からお願いしたことなのですか?

長田委員長:僕らはコンテンツの内容まで立ち入ることはありません。ただ、各出展者のみなさんがCESをご覧になったりしていることもあって、将来を感じられる展示が多いです。

──最後に長田委員長から、東京モーターショーに来たらこれをぜひ見てほしいというのはありますか?

長田委員長:とにかくOPEN ROADにあるフードトラックなどの食事、体験して移動するためのモビリティなど、盛りだくさんに用意しています。いつも言っているのですが、東京モーターショーの入場料が2000円(当日券)なので、「映画を1回見るつもりで来ていただければ」と。高校生以下は入場料も無料になっていますし、おいしい食事もフードトラックで提供しています。


 今回の東京モーターショーは、2020年にオリンピックが東京で行なわれる関係で、東京ビッグサイトの西館と南館、そして青海会場と大きく分割された開催になっているのはご存じのとおり。始まる前は分割開催が心配されていたものの、無料で楽しめるエリアも多くあり、これまでの東京モーターショーより閉塞感が小さい。東京モーターショーは日本有数のビッグイベントであり、混雑する時間帯はものすごく混雑するのだが、今回はオープンなエリアが多くあるため、疲れたらゆっくり休める場所があるのがうれしい。確かに密度感には欠けるが、その分リラックスして東京モーターショーを楽しめる。

 長田委員長も語っていたが、この週末には東京モーターショー 2019のラストを飾るコンテンツがいろいろ用意されている。とくに自工会の会長でもある豊田章男氏は、トヨタブースで副社長陣とともに「トヨタ経営会議 in 東京モーターショー 2019」を行なうなど、これまでの東京モーターショーでは考えられないコンテンツを用意してきている。

 従来と異なったところもあるし、従来同様コンセプトカーや最新の市販車を楽しめるところもあるなど、令和最初となる2019年の東京モーターショーは歴史に残るイベントになるのは間違いない。子供が楽しめるコンテンツも過去最大、無料エリアも過去最大となっているので、クルマ好きはもちろん、子供連れの家族にもぜひ訪れていただきたいモーターショーだ。

編集部:谷川 潔