長期レビュー
カメラマン高橋学のはたらくスバル「レヴォーグ」
第8回:オーディオのグレードアップ、の巻
(2015/9/18 00:00)
Car Watchの読者のみなさまこんにちは。街では2015型(B型)のレヴォーグもちらほら見かけるようになりました。以前仕事でお世話になっていた雑誌(86/BRZの専門誌になったアレとか、休刊になってしまった季刊のアレとか)でもスバル車の撮影を多く手がけさせていただいていた影響なのか、スバル(富士重工業)はカタログで謳わない部分をシレッと変更してくるイメージが個人的には強く、現行型にも乗ってその真価を味わってみたい気もする今日この頃です。
で、今回はそんな「はたらくレヴォーグ(初期型)」のグレードアップ作戦第1号として、オーディオのグレードアップをしてみました。ホントは車高アップ大作戦にすぐにでも取り掛かりたいところですし、もともと車内で音楽がなくてもあまり苦にならないタイプなので、オーディオのグレードアップはあまり考えていなかったのが正直なところなんですが……。
何故オーディオのグレードアップ?
前述したように、筆者は元々音楽に固執するタイプではありません。実際、納車から半年近くオーディオレスで乗っていてもストレスはありませんでした。でも、実際にオーディオ(というかカーナビ)を装着してみると、その音質が気になっちゃうんです。特に小音量の時にボーカルとかラジオのパーソナリティーの声が聞き取りにくいんです。昔から人に話しかけられても小さな声だと「えっ?」って聞き返すことの多い筆者でしたが、年齢とともにちょっとその度合いが増しているようなので、純正オーディオのせいではなく筆者自身の耳の問題だとは思っているのですが、何はともあれ音質に満足できませんでした。音楽がドライブのマストアイテムではない筆者でも、どうせ聴くなら気持ちよく聞きたいと思いますしね。
という訳で、レヴォーグのオーディオのことをネットで調べてみると……出るは出るは、おびただしい数の情報が。レヴォーグが人気車種なのかそもそもスバルユーザーのオーディオ熱がすごいのか分かりませんが、とにかくたくさんありました。が、どれも少々面倒臭い。デッドニングとかそういうのも面倒だけど、何より情報が多すぎて選ぶのが大変。もちろんせっかく選んだカロッツェリア(パイオニア)の「楽ナビ」はそのまま使いたいから“それ以外の部分で”って考えれば、まず思いつくのは音の出口のスピーカー。
そんな経緯もあり、いつものディーラーオプション探し。取り付けも、何かあった時もいつものディーラーに持ち込めばいいだけだから断然楽。探してみるとレヴォーグが選べるのは、ダイヤトーン(三菱電機)、カロッツェリア、ケンウッド、という筆者でも知ってるお馴染みのブランドと、なんとなく聞いたことがあるけどよくは知らないソニックデザインの計4ブランド、11種。
このくらいに絞られたらあとは簡単。“どれを選んでも音質向上は望めるんだろうな”とは思いつつも、なかでも他のブランドとは一線を画する奇抜な風貌に心惹かれたのがソニックデザイン。なんと、エンクロージャーと一体型でバスレフポートなんかも付いていたりして、本格的なスピーカーっていう風情。世代的にはホームオーディオにミニコンポが登場する以前、システムコンポーネントブームに学生時代を過ごした筆者には、こういう商品はグッときます。一日中スピーカーの下に設置したブロックとかの配置を変えて、好きな音になるように楽しんだアノ時代を思い出します(今はもうやりたくないけど)。あと、その構造は全然違うのですが、その独創性に当時流行った「ボーズ 301MM」というスピーカーに似たスピリットを感じたからという、まったく感情的かつ根拠のない理由でソニックデザインを選びました。すみません、いつもいい加減で。
で、いつものディーラーで注文、そして取り付け。
モデルが決まればいつものディーラー(東京スバル三鷹店)でフロントとリアスピーカーのセットとなる「Sonic Designスピーカーセット」を注文、そして取り付け。消費税・工賃全て込みで11万9448円なり。いつものことですが、この連載があるから写真を撮らせてほしいとお願いしてピットへ。車種別専用設計だけあって取り付けはごくごく簡単。内張をはがしてカプラー繋げて取り付けて終了。まさにポン付け。
実際は作業用にシートカバーを付けたり、取り付け後にテストしたりと少々時間がかかるのですが、取り付け自体はそんな印象。信用していない訳ではないけど、実はこういう商品って作業する人によっての仕上がりのバラツキが出ないので、結構好きだったりします。
この時初めて標準装着のスピーカーを目にすることになるのですが、何より新鮮だったのがスピーカー自体よりも外したあとのドアの穴の深さ。かなり奥行きがあるのです。ソニックデザインはこの奥行きをあますことなく使い切り、エンクロージャーの形を決めたことがよく分かります。まだ音も鳴らしていないのにすでにこの時点で漂うイイモノ感に満足してたりする自分がいました。
実際にドアの内張を剥がしてみると、あぁ、ココの振動を抑えたりここを塞いでしまえば音も変わるのだろうな、なんて妄想も膨らみますが、どうせ泥沼にはまったり迷路から抜け出せなくなることは今までの人生経験から容易に想定できるので、そういう意味でも全てがモジュール化された今回の選択は正解だったと、この時点で感じたりもしていました。
完成、そして試聴
とりあえずディーラーを出て帰宅。それが最初の試乗、いや試聴。ソースは全て「iPhone5」に入っている音楽をBluetooth接続で。昔買ったCDのコピーやらiTunesストアで購入した最新の映画音楽まで、ボーカルも入っていたりいなかったり色々。
結果は、お見事! めちゃくちゃクリアで歯切もいい! 音楽に興味があろうがなかろうが、誰にでもはっきり分かる程すごい差。とにかくグレードアップ感が凄い。うまく表現できないんですけど、写真で言う所の「ヌケのイイ感じ」。特に古いCDとか生き返っちゃいました。やっぱり、何も専門知識を持たない筆者がアレコレこねくりまわすより、正解だったと思います。ただし、装着直後のまさにファーストインプレッションは「よくなったけど、ちょっと音が硬くて線が細いかなぁ」なんて思ったのも正直なところ。
この連載で書こうと思っていたからあえてイコライザーで調整せず、交換前と同じ設定で聴きながら知人に相談すると“エイジング”なるものを教えてくれました。要はスピーカーにも慣らし期間みたいなものがあって、今はベストじゃないみたいですね。まあ、それでも相当よくなっているんですけど。
そしてロングラン試聴
取り付けの翌々日からは全日本ラリーの撮影のため群馬、長野へ。これがなかなかキツイ仕事なんです。とにかくコースの下見から、ステージ間の移動と撮影の繰り返し。おまけにラリーのメイン会場と宿は1時間もかかる遠さ。それを毎日往復。もう走りまくり。しかも今年はずーっと雨。関東圏を走っている時はTVとかラジオを聴いていることも多いのですが、ロードノイズがあっても小音量でハッキリ人の声が聴こえるのはかなり快適。
ニュースとか天気予報、渋滞情報はちゃんと聴き取れなきゃ意味がないですから。しかも筆者の場合、長距離を運転する時は、聴き疲れしないようにあまり音量を上げないようにしているのですが、今までよりもさらに音量を2ステップくらい下げても今まで以上にハッキリ聴こえるんです。もちろん音楽を聴く時だって同じです。
今回のラリー期間中はずっと雨に祟られてしまいましたが、うるさいくらいの雨音の中でも快適に音楽を楽しめました。ラリーが行われるのは大概人里離れた山の中ですから、TVやラジオの電波条件があまりよくないことも多いのですが、3日間快適に過ごせたのは音楽のおかげだと思います。
移動も仕事とはいえ、ちょっとだけラリーのことを離れてリフレッシュできますし、なにより楽しみながら運転できるので眠気防止にもなります。ネットで見るエイジングの情報によるとだいたい50時間が目安らしいですので、3日間で800km以上走ったとはいえまだまだ慣らし運転は序盤だと思いますが、心なしか音も落ち着いてきたような気がします(単に耳が慣れただけかもしれませんが)。いずれにしても本当の評価はこれからですので、機を見てこれからの印象をお届けしようと思います。
まずは“ソニックデザイン導入しました”ってご報告でしたが、不本意な数字に終わった前回の燃費の話と違い、嬉しくってついつい長くなってしまいました。ごめんなさい。そして最後まで読んでくれてありがとうございます。
ラリー期間中は何度も下まわりを打ってガッカリなシーンもありましたが、この頃は毎日かなり気分よく運転してます。余談ですが、撮影してきた全日本ラリーの第6戦「モントレー2015in嬬恋」では、新井/田中組が優勝、3位に勝田/石田組、同日鈴鹿サーキットで行われたSUPER GTではBRZが3位で今季初の表彰台と、筆者のレヴォーグにとってもスバルのモータースポーツにとっても、気持ちのよい8月の週末となりました。
高橋 学
1966年 北海道生まれ。下積み時代は毎日毎日スタジオにこもり商品撮影のカメラアシスタントとして過ごすも、独立後はなぜか太陽の下で軽自動車からレーシングカーまでさまざまな自動車の撮影三昧。下町の裏路地からサーキット、はたまたジャングルまでいろいろなシーンで活躍する自動車の魅力的な姿を沢山の皆様にお届けできればうれしいです。 日本レース写真家協会(JRPA)会員