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グッドイヤー、全天候に対応する新オールシーズンタイヤ「Vector 4 Seasons Hybrid」発表会

「日本でオールシーズンタイヤという新しいカテゴリーを開拓・定着させていきたい」と金原社長

新オールシーズンタイヤ「Vector 4 Seasons Hybrid」と日本グッドイヤー株式会社 代表取締役社長の金原雄次郎氏

 日本グッドイヤーは、新オールシーズンタイヤ「Vector 4 Seasons Hybrid(ベクター フォー シーズンズ ハイブリッド)」を8月1日に発売する。従来の「Vector 4 Seasons」は23サイズ展開だったが、今回のVector 4 Seasons Hybridは145/80 R13~225/40 R18という軽・コンパクトカーから大型セダン・ミニバンまで幅広いモデルに対応する44サイズ展開となる。価格はオープンプライス。

 7月26日、このVector 4 Seasons Hybridの発表会が都内で開催されたので、その模様をお伝えする。

Vector 4 Seasons Hybridのサイズ一覧

 オールシーズンタイヤは、夏タイヤとしての性能を持ちつつ、雪道も走れるという四季をつうじてオールマイティな性能を発揮するタイヤ。同社は1977年に世界初のオールシーズンタイヤ「TIEMPO(ティエンポ)」をリリースしており、以降40年近くオールシーズンタイヤの製造・販売を行なっている。

 Vector 4 Seasons Hybridは、従来のVector 4 Seasonsが備えていたいかなる天候、多彩な路面コンディションに対応するべく、高いグリップ性能と操縦安定性を実現するために設計された専用コンパウンド「オールウェザーシリカコンパウンド」、センターエリアのサイプ側面にワッフル状の凹凸の突起を与えることでブロック間が支え合い、より高いブロック剛性を発揮する「3Dワッフルブレード」、優れた排水性を実現するV字型グルーブの「Vシャープドトレッド」などを採用。

 また、一般的に浅雪用を示す「M+S」(マッド&スノー)が刻印される一方で、欧米では「M+S」以上に冬道性能が高いスノータイヤと認められている「スノーフレークマーク」、さらに日本で冬用タイヤであることを示す「スノーマーク」が入るなど、高速道路等におけるチェーン規制下でも走行可能であることが同製品のポイントの1つになっている。

 なお、従来のVector 4 Seasonsは欧州で生産したものを日本に輸入していたが、今回のVector 4 Seasons Hybridは住友ゴムが生産を担う。3DワッフルブレードやVシャープドトレッドといった技術は欧州で培われたもの、日本で生産を行なうという意味から製品に「Hybrid」の名称が与えられている。

いかなる天候、多彩な路面コンディションに対応するオールシーズンタイヤのVector 4 Seasons Hybrid。専用コンパウンド「オールウェザーシリカコンパウンド」を採用するとともに、ブロック間が支え合うことでより高いブロック剛性を発揮する「3Dワッフルブレード」、優れた排水性を実現するV字型グルーブの「Vシャープドトレッド」を採用
サイドウォールには一般的に浅雪用を示す「M+S」(マッド&スノー)が刻印されるとともに、欧米では「M+S」以上に冬道性能が高いスノータイヤと認められている「スノーフレークマーク」、さらに日本で冬用タイヤであることを示す「スノーマーク」が入る

2016年度の展望

2015年12月に日本グッドイヤー株式会社の代表取締役社長に就任した金原雄次郎氏

 発表会の冒頭、まず2015年12月に同社の代表取締役社長に就任した金原雄次郎氏が登壇して同年10月の米グッドイヤーと住友ゴム工業のアライアンス解消後を振り返り、「新体制で事業を開始して以来すでに9カ月が経過しましたが、会社の体制変更という重要な局面において社長就任から約半年間、2つの点に注力してきた。1つは、何より既存のお客様との信頼関係を維持することで、商品・サービスを確実にご提供すること。また、グッドイヤーが日本市場を非常に重視しており、国内でのプレゼンスを上げていくことを全国をまわって説明を行なってきた。また、市場でのグッドイヤーブランドへの期待は非常に強く、手応えを非常に感じている」

「もう1つは社内体制の整備と社員の意識改革。経営体制の変更に伴い、社内のすべての領域で仕事の進め方を洗い直してきた。グッドイヤーのグローバル基準をベースにしつつ、日本のやり方のよい点は残しながら活かすという視点で社内の改革に取り組んできた。そして今、新体制への移行に伴う作業は完了し、新たな成長戦略の実行フェースに入ったということを皆様に宣言させていただく」とコメント。その新成長戦略の重要なカギになるのが魅力ある製品であり、その1つが今回のVector 4 Seasons Hybridであるとした。

 また、JATMA(日本自動車タイヤ協会)が発表した2016年の市販用タイヤの振り返りと需要見通しについても触れ、「上半期は新車用・市販用ともに前年割れとなり、年間の見通しでも新車用・市販用ともに下方修正されており、引き続き厳しい環境が見込まれている。その中で日本グッドイヤーの実績では、1-6月累計でほぼ業界動向並みの実績を確保している。暖冬による履き替え需要の減少、車検需要の低迷、新車販売の苦戦、さらにはライバル各社の攻勢の強まりという逆風下ではあるが、直近1~2カ月については復調の兆しを見せており、下期以降の活動でさらに弾みをつけていきたい。年間では最低でも業界需要を上回る実績を確保し、プラス成長を維持していく」と宣言。

 加えてVector 4 Seasons Hybridについては、「ライバル各社を上回る成長の柱として、今回強化したのがVector 4 Seasons Hybridになる。8月1日より全国で一斉に発売を開始するが、我々グッドイヤーにはこの分野のパイオニアとして、欧米で30年以上にわたってオールシーズンタイヤのマーケットを切り開いてきたという実績と知見がある。この実績をてこに、私どもは日本でオールシーズンタイヤという新しいカテゴリーを開拓・定着させていきたいと考えている。まだまだパイとしては小さな市場ではあるが、新しいタイヤの使い方をマーケットに提案し、定着させるべく商品を大幅に拡充し、販売を加速させていく。オールシーズンタイヤのベネフィットはお得で便利で楽で安心ということ。グッドイヤーはタイヤの分野から新しいクルマの使い方を提案したいと考えており、よりアクティブに、より安全に、より経済的にドライブを楽しんでいただきたいという思いを込めた自信作。グッドイヤーといえばオールシーズンタイヤ、オールシーズンタイヤといえばグッドイヤーと認めていただけるよう、新しいマーケットを切り開いていく」と意欲を見せた。

JATMA(日本自動車タイヤ協会)が発表した2016年の市販用タイヤの振り返りと需要見通し
2016年上半期にJATMAの準会員になった

オールシーズンタイヤのメリットとは?

日本グッドイヤー株式会社 技術本部長 松崎洋明氏

 製品紹介は技術本部長の松崎洋明氏から行なわれた。松崎氏によれば、欧州では7カ国が冬期に冬用タイヤの装着を義務化するとともに、14カ国が降雪コンディション下において装着を義務化。さらにドイツ、ベルギー、ポーランド、フランス、イタリア、トルコが義務化を検討(2015年時点)している段階にあるという。

 一方、日本はというと四季があり、年間をつうじて天候はさまざまな変化を見せる。都心部においても降雪があり、1月18日には東京で6cm、秩父では34cmの降雪を記録。交通機関に支障をきたすケースも発生するなど、「このような状況下でも、仕事や家族の送迎などクルマなしでは生活できない方々が多くいらっしゃる。そのような方々に、グッドイヤーは新しいオールシーズンタイヤを紹介したいと思っている」とコメント。

 ここで夏タイヤ、冬タイヤ、オールシーズンタイヤの要求性能について触れ、「夏タイヤは当然ドライ性能・ウェット性能が求められ、冬タイヤは冬性能と必要最小限の夏タイヤの性能が求められる。オールシーズンタイヤは夏タイヤと冬タイヤのちょうど中間に位置することになり、夏タイヤと冬タイヤの性能を満たし、さらに高速道路でのチェーン規制に対応できることが求められている」と説明。

 また、今回のVector 4 Seasons Hybridのメリットとして予測不能な天候(突然の積雪)に対応できること、1年間をつうじてタイヤ1セットで走行できること、保管スペースと脱着コストが不要で別途ホイールの購入も必要ないこと、「スノーマーク」が入ること、優れたロングライフを持つこと、快適な乗り心地を実現することが挙げられた。

欧州での冬タイヤ規制について
日本は四季があることからさまざまな天候の変化が見られる
1月18日には東京で6cm、秩父では34cmの降雪を記録し、交通機関に支障をきたすケースも発生
夏タイヤ、冬タイヤ、オールシーズンタイヤの要求性能について
オールシーズンタイヤにはコンディションを問わずオールラウンドで使える多様性が求められる
Vector 4 Seasons Hybridのメリット

 具体的な性能については、V字型グルーブの「Vシャープドトレッド」により排水性とトレッド剛性の強化を行ない、アクアプレーニング現象の抑制とともにハンドリング応答性を強化。また、各ブロックに配置した「3Dワッフルブレード」の採用によってサイプ数を減らさずにスノー性能と高いブロック剛性を確保。雪上・氷上性能を保ちつつ、ドライおよびウェット路面でのコントロール性能を向上させることに成功したという。

 そのVector 4 Seasons Hybridのサイズは、従来の23サイズから44サイズへと大幅に拡大されており、2013年に販売された新車の約80%をカバーできるサイズを展開していることが報告されている。

 松崎氏は最後に、「グッドイヤーのオールシーズンタイヤは、北米はもちろん欧州自動車メーカーまで納入実績がある。フォルクスワーゲンやアウディにも対応できる、高いレベルにある商品になっている。グッドイヤーからの新たな提案として、1年をとおして卓越した走りを可能にするタイヤ、Vector 4 Seasons Hybridを日本の市場に紹介していきたい」と意気込みを語り、プレゼンテーションを終えている。

Vシャープドトレッドについて
3Dワッフルブレードについて
夏タイヤ(E-Grip ECO)、冬タイヤ(ICE NAVI 6)、オールシーズンタイヤ(Vector 4 Seasons)での性能比較。ドライ路面とウェット路面での制動性能テストの結果
Vector 4 Seasons Hybridのドライハンドリングと乗り心地は夏タイヤ(E-Grip ECO)と同等以上とした
Vector 4 Seasons Hybridでは2013年に販売された新車の約80%をカバーできるサイズを展開
グッドイヤーのオールシーズンタイヤは北米や欧州自動車メーカーへの納入実績がある