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陸上自衛隊、国内最大の実弾演習「平成28年度富士総合火力演習」を開催
本番は8月28日10時~12時。USTREAMなどによるライブ配信も
2016年8月26日 18:32
- 2016年8月25日 実施
陸上自衛隊は8月25日、東富士演習場(静岡県御殿場市)畑岡地区において、「平成28年度富士総合火力演習」(学校予行)を公開した。一般公開となる本番は8月28日の10時~12時に実施される。チケットの申し込みは7月11日に終了しているが、USTREAM、ニコニコ生放送、FRESH! by AbemaTV、スカパー!、ひかりTV、チャンネル700(ケーブルテレビ)によるライブ配信が当日9時30分~12時30分に放送される予定となっている。
富士総合火力演習は陸上自衛隊における国内最大規模となる演習で、「総火演(そうかえん)」の略称で呼ばれる。同演習は昭和36年から実施されており、昭和41年からは陸上自衛隊の広報活動の一環および日ごろの訓練の成果を披露すべく、一般にも公開されている。
普段はなかなか見ることができない戦車や自走砲といった車両、ヘリコプターによる実弾射撃を間近で体感できるとあって人気はうなぎ登り。見学にはインターネットまたは往復はがきによる申し込みが必要となるが、競争倍率は平成25年度が約20倍、平成26年度が約24倍、昨年は約29倍、そして本年度も約29倍と、なかなかのプラチナチケットぶり。ちなみに、はがき応募総数2万5381通(約20倍)、ネット応募総数12万2450通(約31倍)と、はがきによる申し込みの方が倍率は低め。次回の見学を希望するならはがきで申し込んでみるのもひとつの手だ。
今回、28年度の総火演は人員約2400名、戦車・装甲車約80両、各種火砲約60門、航空機約20機、その他車両約700両が参加する。プログラムは例年通り、陸上自衛隊の主要装備品を紹介する前段演習、「島嶼(しょ)部に対する攻撃」への対応をコンパクトにまとめた後段演習の2部構成。開始前と終了後には富士学校音楽隊などによる演奏が行なわれたほか、終了後には参加した車両を間近で見学できる装備品展示も行なわれた。
前段演習は遠距離(特科火力)、中距離(迫撃砲、誘導弾)、近距離(対人障害、普通科火力)とレンジが異なる3タイプの火力を紹介するところからはじまり、続いてヘリ火力、対空火力、戦車火力と実弾射撃を交えながら主要装備が次々に登場していく。中でも注目したいのは74式、90式、10式の各戦車による迫力ある射撃シーンや、履帯ならではの機動力が大きな見どころだ。また、前段演習の最後には空挺部隊による自由降下や自動索降下も紹介された。
前段演習と後段演習の間には15分ほどの休憩時間が設けられており、取材日には実施されなかったが本番では音楽隊による音楽演奏が行なわれる。後段演習は具体的なシナリオが用意され、その流れに沿って演習が展開していく。シナリオのテーマは「島嶼(しょ)部に対する攻撃への対応」となっており、海上および航空自衛隊との連携により「部隊配置」「機動展開」「奪回」と3段階のフェーズで作戦が進行する。
まず、洋上や島嶼部に展開した部隊への攻撃などからなる部隊配置からはじまり、機動展開では先遣部隊による機動展開および兵站支援など、そして最終段階となる奪回では島嶼部を舞台に偵察からはじまり、支援射撃、地雷などの障害処理、対空援護、戦車部隊での攻撃と、それぞれの部隊が連携して作戦を遂行していく様子を見ることができる。この後段演習には45分の時間が設けられているものの、密度の高い内容に息つく暇もなくあっと言う間に時間が過ぎてしまうハズだ。