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【WEC 第7戦 富士】予選リポート、8号車 アウディ R18がわずか0.025秒差でポール獲得
アウディ、ポルシェ、トヨタがコンマ2秒の中でトップ3を分け合う激戦に
2016年10月15日 16:53
- 2016年10月14日~16日 開催
6月に行なわれるル・マン24時間レースを頂点として、スポーツプロトタイプカーとGTカーで争われるFIA世界耐久選手権(WEC)の第7戦となる富士6時間耐久レースが、10月14日~16日の3日間にわたって静岡県小山町の富士スピードウェイで開催されている。
開催2日目となった10月15日は14時から予選が行なわれ、LMP1、LMP2、GTE PRO、GTE AMの各クラスのグリッド順位が決定された。
総合でポールポジションを獲得したのは、8号車 アウディ R18(ルーカス・ディグラッシ/ロイク・デュバル/オリバー・ジャービス組)。ディグラッシ選手とデュバル選手の2人で出したタイムの平均1分23秒570というタイムでポールポジションを獲得した。
2位は1号車 ポルシェ919 Hybrid(ティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンダン・ハートレー組)、3位は5号車 トヨタ TS050-Hybrid(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴組)で、3メーカーがそれぞれ1-2-3に並び、かつタイム差はわずか0.169秒という接戦の予選となった。
このほか、LMP2は26号車 オレカ 05-ニッサン(ロマン・ルシノフ/アレックス・ブランドル/ウィル・スティーブンス組)、GTE-PROは66号車 フォードGT(ステファン・ミッケ/オリビエ・プラ組)、GTE AMは98号車 アストンマーチンV8ヴァンテージ(ポール・ダララ・ラナ/ペドロ・ラミー/マティアス・ラウダ組)がそれぞれポールポジションを獲得した。
予選結果表(暫定)
順位 | カーナンバー | ドライバー | マシン | タイヤ | 平均タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | ルーカス・ディグラッシ/ロイク・デュバル/オリバー・ジャービス | Audi R18 | MI | 1'23.570 | - |
2 | 1 | ティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンダン・ハートレー | Porsche 919 Hybrid | MI | 1'23.595 | 0.025 |
3 | 5 | アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴 | Toyota TS050 - Hybrid | MI | 1'23.739 | 0.169 |
4 | 6 | ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ/小林可夢偉 | Toyota TS050 - Hybrid | MI | 1'23.781 | 0.211 |
5 | 7 | マルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノア・トレルイエ | Audi R18 | MI | 1'23.856 | 0.286 |
6 | 2 | ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ | Porsche 919 Hybrid | MI | 1'24.134 | 0.564 |
7 | 13 | マセオ・チェスター/ドミニク・クラハイマー/アレクサンドレ・インペラトーリ | Rebellion R-One - AER | DL | 1'28.837 | 5.267 |
8 | 4 | サイモン・トラマー/オリバー・ウェブ/ピエール・カッファー | CLM P1/01 - AER | DL | 1'29.827 | 6.257 |
LMP1はアウディ、ポルシェ、トヨタがわずかコンマ2秒の中でトップ3を分け合う、ポールは8号車アウディ
最大3人登録出来るドライバーのうち、2人が出走し、それぞれのドライバーのベストラップの平均により予選順位が決定されるユニークな予選方法をとっているWECの予選。事前の予想に反して、メインカテゴリーとなるLMP1の予選は3メーカーによって非常に僅差の熱い戦いが繰り広げられることになった。
前半でタイムを出したのは5号車 トヨタ TS050-Hybrid(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴組)をドライブする中嶋一貴。その中嶋がだしたタイムを塗り替えたのは、8号車 アウディ R18(ルーカス・ディグラッシ/ロイク・デュバル/オリバー・ジャービス組)のディグラッシと1号車 ポルシェ919 Hybrid(ティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンダン・ハートレー組)のベルンハルト。
後半になり2人目のドライバーになると、トップタイムをマーク下のは、8号車アウディR18をドライブするロイク・デュバル選手。それにより、8号車アウディ R18は1分23秒570のアベレージタイムをマークして、見事にポールポジションを獲得することになった。
そのアウディに追いすがったのは、1号車ポルシェ 919で、このレースで今季限りでのレーシングドライバーからの引退を発表したマーク・ウェバー選手が自己ベストを叩き出し1分23秒595というタイムで、予選2位を獲得した。2台の差はわずか100分の25秒という僅差で、現在のWECのハイレベルの高いがこの差に象徴されていると言っていいだろう。
3位を獲得したのは、地元トヨタの5号車TS050-Hybridで、1分23秒739という、トップとの差はわずか0.169秒。4位もトヨタ 6号車TS050-Hybrid(ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ/小林可夢偉組)で、こちらも1分23秒781でトップとの差0.211秒。5位に入った7号車アウディR18(マルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノア・トレルイエ組)も1分23秒856でトップから0.286秒差。トップ5台がいずれもコンマ3秒以内に入るというまさに"激戦"の予選となっている。なお、ポイントリーダーの2号車ポルシェ919 Hybrid(ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組)は予選6位で、トップから0.564秒差だ。
ハイブリッドではないLMP1クラスでは13号車 レベリオンR-One-AER(マセオ・チェスター/ドミニク・クラハイマー/アレクサンドレ・インペラトーリ組)が予選7位でポールを獲得した。
ポールを獲得した8号車のルーカス・ディグラッシ選手は「富士スピードウェイは熱心なファンが来てくれるサーキットでそこでレースをできることは嬉しい。自分のラップは1つのコーナーでちょっとワイドになったぐらいで綺麗な周回だった。わずか0.025秒差という僅差のマージンでポールを獲れたので嬉しい」とコメント。
また、同じく8号車のもう一人のドライバーとなるロイク・デュバル選手は「車は非常によかった。セクター1はコンサバに行なったけど、セクター2とセクター3は攻めて、いいタイムが出せたときは嬉しい。予選は非常にタイトな戦いで決勝レースはタフな戦いになると思う。今日は天候が僕たちの味方をしてくれたけど、明日はポイントをがっつりとりたいね」と予選後の記者会見でコメントした。
LMP2は26号車オレカ・ニッサン。注目のGTE PROはフォードGTがフェラーリを降す
LMP2は今回ドライバーにウィル・スティーブンス(2014年最終戦、ケータハムF1で小林可夢偉選手のチームメイトを務めたドライバー)が復帰したG-DRIVEの26号車 オレカ 05-ニッサン(ロマン・ルシノフ/アレックス・ブランドル/ウィル・スティーブンス組)。特にスティーブンス選手は全体ベストとなる1分31秒332を出して、チームのポールポジション獲得に貢献した。2位はポイントリーダーのシグナテック・アルピーヌの36号車 アルピーヌA460ーニッサン(グスタボ・メネゼス/ニコラ・ラピエール/ステファン・リッチミー組)。
ル・マン規定のGTカーのカテゴリーとなるLMGTE車両を利用したプロのレーシングドライバー向けのGTE PROでは、Ford Chip Ganassi Team UKのフォードGTと、AF CORSEのフェラーリ 488 GTEの対決となった。
それを制したのは、66号車 フォードGT(ステファン・ミッケ/オリビエ・プラ組)で、2位も同じチームの67号車 フォードGT(アンディ・プリオール/ハリー・チックネル組)で、3位にAF CORSEの71号車 フェラーリ 488GTE(デビット・リージョン/サム・バード組)が入った。
また、アマチュアドライバー向けのGTE AMは98号車 アストンマーチンV8ヴァンテージ(ポール・ダララ・ラナ/ペドロ・ラミー/マティアス・ラウダ組)がトップとなった。
明日の決勝レースは11時より富士スピードウェイで行なわれる。予選日の富士スピードウェイの天気は、富士山が常時見えるほどの快晴で、明日も基本的には晴れだが、午後は曇りという天気予報がでている。まさにレース日和になる可能性が高く、明日の3メーカーのハイブリッドカーによるガチンコレースは見逃せないレースとなりそうだ。
なお、当日券の販売も予定されているので、詳しくは富士スピードウェイのWebサイトをご参照頂きたい。