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ダイハツとトヨタ、新型トール2BOX「トール」「ルーミー」「タンク」発表会

「お客さまが求める性能や機能をお求めやすい価格で提供できる自信作」と三井社長

2016年11月9日 開催

 ダイハツ工業とトヨタ自動車は11月9日、同日に発売した新型トール2BOX「トール」「ルーミー」「タンク」の記者発表会を都内で開催した。

 ダイハツの「トール」、トヨタの「ルーミー」「タンク」は、同じく同日発売のスバル(富士重工業)「ジャスティ」と合わせて兄弟車となるブランニューモデル。生産はダイハツの本社 池田工場で行なわれ、ダイハツからトヨタとスバルにOEM供給される。

 それぞれ5ナンバーサイズのボディに両側スライドドアを備え、新開発の1.0リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンを採用。多彩なシートアレンジが可能な車内スペースなどを魅力とするモデルで、価格はトール、ルーミー、タンクが146万3400円~200万8800円、ジャスティは先進安全装備「スマートアシストII」の採用車のみをラインアップして152万8200円~213万8400円。

 このほかのグレード体系や車両解説などは、各関連記事の「ダイハツ、新開発の3気筒1.0リッターターボもラインアップする新型小型乗用車『トール』『トール カスタム』」「トヨタ、両側スライドドア採用の新型小型乗用車『ルーミー』『タンク』」「スバル『ジャスティ』復活!! 新型『ジャスティ』を11月21日発売」を参照していただきたい。

ダイハツ「トール」
トヨタ「ルーミー」(右)と「タンク」(左)
ルーミー カスタムG-T
タンク カスタムG-T
5ナンバーサイズのボディに両側スライドドアを持っていることが大きな特徴
「ムーヴ」から培ってきた軽量・高剛性シャシー「Dモノコック」を継承しており、フロアパネルやリアまわりなどが強化されている
エンジンは新開発された直列3気筒DOHC 1.0リッターターボ「1KR-VET」エンジン(左)と、自然吸気の直列3気筒DOHC 1.0リッター「1KR-FE」エンジン(右)の2本立て。トランスミッションは全車CVTを組み合わせる

新型車は「家族の笑顔を支えるクルマ」

ダイハツ工業株式会社 取締役社長 三井正則氏

 発表会では、ダイハツ工業 取締役社長の三井正則氏が最初に登壇。三井氏は「『軽の技術でコンパクトを変えていく』。このダイハツの熱い思いが新型車『トール』という形でまた1つ実を結びました。ダイハツがこれまでに培ってきたノウハウを余すことなく注ぎ込むことで、『安全』『快適』『便利』『楽しさ』『嬉しさ』、そういった、お客さまが求める性能や機能をお求めやすい価格でご提供できる、そういった自信作ができあがりました」と新しいトールについて紹介。

 また、「今年4月に発売した『ブーン』は、ダイハツが企画からデザイン、開発、生産に至るまでのすべての行程を担当し、トヨタ『パッソ』としてOEM供給することで、従来の共同開発から協業体制を進化させました。今回の新型車はその第2弾であり、トヨタのすべての販売チャネルをつうじて、より多くのお客さまにお求めいただけることになります」と述べ、このモデルの立ち位置について説明した。

 最後に三井氏は、「今までは『軽自動車がベスト』『ちょうどいい』とご満足いただいたいたご家族でも、お子様の成長などにつれてクルマの役割やクルマへの期待も少しずつ変わっていくのではないでしょうか。そのような、変わりゆくお客さまのライフステージにぴったりな、お気に入りのクルマを生活のパートナーとしてご愛用いただきたい。そんな思いで、今後もダイハツは国内外で需要が高まるスモールカー市場において『ダイハツならではのクルマ造り』でお客さまのご期待に応えてまいります」と意気込みを語った。

ダイハツ工業株式会社 開発本部 製品企画部 チーフエンジニア 嶋村博次氏

 具体的な製品説明は、ダイハツ工業 開発本部 製品企画部 チーフエンジニアの嶋村博次氏が実施。

 嶋村氏は「軽で主流の“モアスペース車”を新たに小型車に投入するにあたってなにが必要か。それは、お客さまにご支持いただいている軽のゆとりと、小型車として備えるべきところをしっかりと押さえたうえで、お客さまに一番近い存在であるべきという、ダイハツならではのクルマ造りです。このクルマのテーマは『家族とのつながり』です。子育てファミリーをメインターゲットとして、家族の日常や地域に密着し、さまざまな人に広く愛されるクルマを提供したいという思いで企画をスタートさせ、開発を進めました。ご家族の中に溶け込み、なくてはならない存在、1度使ったら手放したくないクルマ。それは『家族の笑顔を支えるクルマ』であると考えます。そこで、商品コンセプトは『子育てファミリーの日常にジャストフィットするコンパクトファーストカー』としました」と、開発の基本路線について紹介。

 また、「『家族の笑顔を支え続ける』というためには、スペックや数値ではない価値が必要だと考え、気遣いや心配りにこだわりました。お客さまが使って納得いただけるていねいなクルマ造りを目指しました」とコメント。開発では「郊外に住む20代後半~30代前半の比較的早婚なファミリー」「都会に住む30代後半の比較的晩婚で堅実なファミリー」という2種類のモデルケースを設定。それぞれがクルマに関わるシーンを想定し、ユーザー調査なども行なって開発に生かしたという手法についても明らかにした。

トールが持つ5つの魅力
5人の乗員とそれぞれの荷物を収める車内スペースと扱いやすいコンパクトボディを両立
後席が240mm前後スライドし、停車中の車内をくつろぎのスペースにするフルフラットのシートアレンジも可能
後席は座面ごと前方にダイブダウンしてフラットなフロアを形成。自転車を2台搭載できる。自転車を載せやすいよう、地面からラゲッジスペースまでの高さを527mmに抑えたこともアピールポイント
2段式のフロアを実現するため、防汚シートなども備える多機能デッキボードを全車標準装備。耐荷重は100kgとなり、バックドアを開けているときにベンチのように腰掛けることも想定しているとのこと
車内のいたるところに多彩な収納スペースを設定。インパネの両サイドに設置した「回転式カップホルダー」は、格納状態でもスマートフォンなどを差し込んでおける形状になっており、リッドを手前に引くと円柱状のドリンクを置けるスペースになり、U字型のスペーサーを逆方向に押し込むと1Lまでの紙パック飲料が置けるスペースに変身する
プラスチックで一体成形した「インパネセンター大型ボックス」は脱着式となっており、使用後の紙おむつなどを一時的に入れておくスペースとして使うシーンも想定している
上下に大きい「大型乗降用アシストグリップ」は全車標準装備、「シートバックテーブル」はフロントシートのシートヒーターとセットでオプション設定
インパネ中央の最上段に4.2インチのTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイをX、X“S”以外のグレードに標準装備。メーターパネル内から移動させたことで、乗員全員が見やすくなっているという
1.0リッターターボエンジンの加速性能や出力特性
1.0リッター自然吸気エンジンもセッティングの見直しなどで発進加速などを改善
これまでの軽自動車開発で培ってきた樹脂外板技術、空気抵抗の低減などでJC08モード燃費は21.8km/L~24.6km/Lとする
サスペンション形式はフロント側が全車ストラット式、リア側は2WD(FF)はトーションビーム式、4WDはトレーリングリンク式を採用
カスタムモデルは、トールとルーミーは重厚さ、タンクではダイナミックさがプラスされている
水平基調のインパネで車内のワイド感を演出
ルーミー Xのリアビュー
リアコンビネーションランプはルーミーとトール カスタムがレッド(左)、タンクとトールがクリアタイプ(右)になる
各車のカスタムグレードではLEDのリアコンビネーションランプにハーフミラーを使い、3D効果を与えて奥行き感を演出している
斜めに絞り込まれたリアゲートは、骨格部分の斜めの筋交いでボディ剛性を高めつつ、ラゲッジフロアを可能な限り下げたいという2つの要望を実現している現われ
トール カスタムGターボ“SA II”のタイヤ&ホイール。タイヤサイズは175/55 R15S
フロントウィンドウの単眼カメラとフロントグリルのレーザーレーダーなどを組み合わせて緊急ブレーキを作動させる「スマートアシストII」を採用
トール カスタムGターボ“SA II”のインパネ。インパネアッパーボックスやドアトリムにテックブルー色が使われ、先進的な雰囲気を演出
カスタムモデルは全車本革3本スポークのステアリングを標準装備
左側のスポークにオーディオ関連のスイッチ、右側のスポークにスポーツモード(ターボ専用)やクルーズコントロールなどのスイッチをレイアウト
X、X“S”以外のグレードは自発光式2眼メーターを採用。右側にTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを設定する
パーキングブレーキは全車足踏み式
「回転式カップホルダー」
スリット部分にスマホなどを収納
リッドを手前に引くと円柱状のカップに対応
奥から伸びているU字型のスペーサーを押し込むと、500mLや1Lの紙パック飲料が置けるようになる
インパネシフトをレイアウトするセンターコンソール。最上段に4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを備え、エコ運転に関連する情報や大型の時計表示などが可能
純正仕様は全車オーディオレスの2スピーカー。オプション装備の純正カーナビには車両周辺の状況を俯瞰表示する「パノラマモニター」を映し出すこともできる
脱着式の「インパネセンター大型ボックス」
両側にBピラーに「大型乗降用アシストグリップ」を設置
オプション品の「シートバックテーブル」はボトルホルダー2カ所を設定
固定式のショッピングフックは、テーブルの展開時と格納時のどちらでも利用可能
シートカラーは子供を乗せても汚してしまうことを気にしないよう、汚れが目立ちにくいブラックのみを設定。カスタムモデルのシート表皮ははっ水加工が施されている
座面は前後に240mmスライドし、背もたれは細かくノッチを用意しつつ最大70度までリクライニング可能。シートアレンジにはフルフラットも設定する
後席を後方まで下げた状態のラゲッジスペース
後席の座面横にシートをダイブダウンさせるループを設定。この位置にしているのは、万が一にも子供などがいる状態でシートを動かして挟み込んでしまわないようにとの配慮
6:4分割でそれぞれダイブダウンが可能で、荷室長は1500mmに拡大
多機能デッキボードを前方に反転させると、裏側から樹脂製の防汚シートが出てくる
シートをめくって展開すると、汚れても拭き取りやすいフロアに変身
多機能デッキボードは備え付けの紐とフックを使って起こした状態での固定も可能
デッキボードのさらに下に、三角表示板などを収納するスペースが用意されている

【お詫びと訂正】記事初出時、記事内の表記が一部間違っておりました。お詫びして訂正させていただきます。