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ミシュラン、ウェットグリップ性能“a”を実現した新高性能スポーツタイヤ「PILOT SPORT 4 S(パイロット スポーツ フォー エス)」発表会

ロニー・クインタレッリ選手「サーキット走行では後半になるにつれタイムアップした」

2017年2月20日 開催

日本ミシュランタイヤ株式会社 代表取締役社長のポール・ペリニオ氏(右)と、“PILOT SPORT 4 S”アンバサダーを務めるレーシングドライバーのロニー・クインタレッリ選手(左)

 日本ミシュランタイヤは2月20日、4月1日に発売を開始する高性能スポーツタイヤの新製品「PILOT SPORT 4 S(パイロット スポーツ フォー エス)」の発表会を、東京 六本木にあるメルセデス・ベンツのブランド発信拠点「メルセデス・ベンツ コネクション」で開催した。

「PILOT SPORT 4 S」は安全性、快適性、省燃費性能、耐久性というタイヤに求められる各性能を1つだけ秀でたものにするのではなく、すべての性能が水準以上でかつそれぞれが調和することを追求するという「ミシュラン・トータル・パフォーマンス」の考えに則って作られた“ハイスペック・スポーツタイヤ”をうたう新製品。

 PILOT SPORTシリーズはアウディ、BMW、コルベット、フェラーリ、メルセデス・ベンツ、AMG、ポルシェ、レクサス(トヨタ自動車)、本田技研工業といった各自動車メーカーに新車装着用タイヤとして採用されており、今回の「PILOT SPORT 4 S」は「Pilot Super Sport」をさらに進化させたパイロットスポーツシリーズのフラグシップ製品になる。すでにメルセデスAMG「E 43」、フェラーリ「GTC4ルッソ」の純正装着タイヤとして採用されている関係で、今回メルセデス・ベンツ コネクションで発表会を開催。発表会には日本ミシュランタイヤ 代表取締役社長のポール・ペリニオ氏、マーケティング部ブランド戦略マネージャーの成瀬朋伸氏が参加して「PILOT SPORT 4 S」について紹介を行なった。

「PILOT SPORT 4 S」がメルセデスAMG「E 43」の純正装着タイヤとして採用されていることから、発表会は「メルセデス・ベンツ コネクション」で開催。会場入り口ではミシュランマンがお出迎え
メルセデスAMG「E 43」に装着される「PILOT SPORT 4 S」。「MO(Mercedes Original)」の文字が純正装着タイヤの証
225/45 ZR19(96Y)XL~345/30 ZR20(106Y)の計39サイズ(19インチ:18サイズ、20インチ:21サイズ)を展開する「PILOT SPORT 4 S」。向かって右がイン側、左がアウト側
「PILOT SPORT 4 S」はPILOT SPORTシリーズのフラグシップモデルという位置づけ。非対称トレッドパターンを採用するとともに、イン側でウェットグリップ、アウト側でドライグリップを確保する「バイ・コンパウンドテクノロジー」を導入。また、「PILOT SPORT 4(パイロット スポーツ フォー)」と同様にサイドウォール部ではベルベット加工により深みのある黒色のデザインが与えられるほか、全サイズにリムプロテクターを採用している

「19~20インチ」のサマータイヤが伸長著しいサイズ

日本ミシュランタイヤ株式会社 代表取締役社長のポール・ペリニオ氏

 冒頭に登壇した日本ミシュランタイヤ 代表取締役社長のポール・ペリニオ氏は日本におけるタイヤマーケットについて紹介を行ない、2013年以降、サマータイヤ市場に伸びがないとしつつ「15~16インチ」「17~18インチ」「19~20インチ」のなかでもっとも伸長が著しいサイズが「19~20インチ」であると述べるとともに、「一般的に大径サイズと言われる17インチ以上については、世界のマーケットと同様、日本でもサイズ拡大傾向にある」とコメント。

 ミシュランでは現在、走りを愉しむ「スポーツシリーズ」、くつろぎを味わう「プレミアムコンフォートシリーズ」、安心感が増す「エナジーシリーズ」をラインアップするが、先ほど述べた近年成長著しい「19~20インチ」としては「スポーツシリーズ」が該当する。「スポーツシリーズ」、すなわちPILOT SPORTシリーズは1997年に発売した「Pilot Sport」を皮切りに、F1のドライタイヤを連想させる「Pilot Sport PS2」(2003年~)、高い運動性能を持ちながらも他の性能も犠牲にしないというコンセプトで作られた「Pilot Sport 3」(2010年~)、もっとも過酷なレースとされるル・マン24時間耐久レースで培った技術をフィードバックした「Pilot Super Sport」(2011年~)、公道も走れるサーキットタイヤ「Pilot Sport Cup 2」(2014年~)、そしてフォーミュラ Eの技術をフィードバックした「PILOT SPORT 4」を2016年に発売してきており、「このようにPILOT SPORTシリーズの歩みは過酷なレースで鍛えられた技術とともに進化してきた。その証として、世界の名だたる自動車メーカーからもっとも新しいカーメーカーまで、400車種を超える採用実績をいただいている。これは一重にすべての性能に妥協しないという、ミシュランの製品づくりのポリシー“ミシュラン・トータル・パフォーマンス”があるからこそ」と説明する。

日本において伸長が著しいタイヤサイズは「19~20インチ」
ミシュランのタイヤラインアップ
PILOT SPORTシリーズの歴史
PILOT SPORTシリーズは400車種以上への採用実績がある
タイヤに求められる各性能が水準以上で、かつそれぞれが調和することを追求するという「ミシュラン・トータル・パフォーマンス」の考え
“ハイスペック・スポーツタイヤ”に位置付けられる「PILOT SPORT 4 S」

「グリップ」「ブレーキング」「走行安定性」を満たしてこそスポーツタイヤ

日本ミシュランタイヤ株式会社 マーケティング部ブランド戦略マネージャーの成瀬朋伸氏

 そしてPILOT SPORTシリーズ20周年を記念する新製品「PILOT SPORT 4 S」について説明を行なったマーケティング部ブランド戦略マネージャーの成瀬朋伸氏は、同社がタイヤサイズに応じて最適なパターンを提案するという考えのもと、15~16インチとして「Pilot Sport 3」を、17~18インチとして「Pilot Sport 4」を、19~21インチとして「Pilot Super Sport」をラインアップしていることを説明するとともに、今回の「PILOT SPORT 4 S」は19~20インチを用意していると紹介。

 また、ユーザーがスポーツタイヤに求める性能についてアンケート調査を行なったところ、1位は「乾いた路面での高いグリップ性能」、2位は「濡れた路面での高いグリップ性能」、3位は「ブレーキ性能」となり、以下「ハンドリング」「高速走行時の安定性」「レスポンスのよさ」「低燃費性能」「見た目のよさ」「レースに出場しているメーカーの製品である」が続いた。この結果を受け、「ドライでもウェットでも高い性能が求められる『グリップ』、そして『ブレーキング』『走行安定性(ハンドリング&高速走行)』という3つのポイントを満たしてこそスポーツタイヤである」と、スポーツタイヤの定義について述べる。

タイヤサイズに応じた最適なパターンを提案
ユーザーがスポーツタイヤに求める性能
アンケート調査では「グリップ」「ブレーキング」「走行安定性」という結果が

 成瀬氏はこの3点にスポットをあてて「PILOT SPORT 4 S」の特徴について語り、まず「グリップ」性能についてドライ路面とウェット路面の両方で高いグリップ力を確立するため非対称トレッドパターンを採用したことについて触れ、「イン側はウェットに強いパターンということで非常に大きな横溝、さらに4本のストレート・グルーブにより高い排水性を確保。アウト側はコーナーを曲がるときに踏ん張ったり、前に進むときにトラクションがしっかりかかるようにということで剛性を高めた作りになっている。さらに横溝もなるべく平行を保つようにして、キャタピラーのように前に掻く力というものを表すパターンを採用した。まずはドライでもウェットでも対応できるトレッドパターンを採用している」と説明。

 そしてコンパウンドについては「通常であれば1つのコンパウンドで全体を支えるが、『PILOT SPORT 4 S』はイン側とアウト側でトレッドのゴムの性質を変えている。イン側に関しては、雨が降ったときなどに路面温度が下がるため、そうしたときでもしなやかにしっかり路面を捉えられるようにということでシリカを配合したウェットに強いコンパウンドを採用した。また、アウト側はドライに強いコンパウンドを採用することでドライ路面でもウェット路面でもグリップを確保した」とその特徴について語る。

 加えて直進時とコーナーリング時における接地面圧を最適化して、広い接地面を確保する「ウルトラ・リアクティブ・トレッドパターン」を採用することで、直線でもコーナーでもしっかりと路面を捉え続けるという特徴について紹介をしている。

 次に「ブレーキング」性能については、タイヤラベリング制度で最高レベルのウェットグリップ性能“a”を獲得したことを述べるとともに、5サイズ限定となるもののタイヤラベリング制度における転がり抵抗性能“A”を獲得したことをアピール。

 また、3つめのポイントとなる走行安定性については、内部構造に耐熱安定性に優れた「ハイブリッド・アラミド/ナイロンベルト」を採用することで、高速走行時のトレッドのせり上がりを防ぐとともに、タイヤと路面との密着度を高められることからドライバーの意思をしっかりと路面に伝えられるという。

非対称トレッドパターンを採用
2種類のコンパウンドによりドライ路面でもウェット路面でもグリップを確保
2種類のコンパウンド配置イメージ
直進時、コーナーリング時における接地面圧を最適化して、広い接地面を確保する「ウルトラ・リアクティブ・トレッドパターン」
タイヤラベリング制度では最高レベルのウェットグリップ性能“a”を獲得
内部構造に耐熱安定性に優れた「ハイブリッド・アラミド/ナイロンベルト」を採用
高い「グリップ」「ブレーキング」「走行安定性」を獲得したことでサーキット走行も可能に
「PILOT SPORT 4 S」のキャッチコピー
「PILOT SPORT 4 S」のポジショニング
サイズラインアップ
「PILOT SPORT 4 S」はメルセデスAMG「E 43」、フェラーリ「GTC4ルッソ」の純正装着タイヤとして採用

 成瀬氏はまとめとして、「スポーツタイヤに必要な性能である『グリップ』『ブレーキング』『走行安定性』、これらの性能を妥協することなく開発されたこのタイヤは、サーキット走行も視野に入れたスポーツタイヤということで市場に投入する。PILOT SPORT 4 Sは基本的には一般公道向けとなるが、サーキット走行を楽しみたいというニーズに対応するだけの性能を持っている。製品ポイントは『サーキット走行も可能にするグリップ性能』『濡れた路面でも安心のウェット性能“a”を獲得』『広い接地面が生み出す走行安定性能』で、これらをキーに市場投入していく。技術と情熱を結集した次世代の走りを生み出すハイスペック・スポーツタイヤ、ぜひよろしくお願いします」としてプレゼンテーションを締めくくっている。

製品ポイント
レーシングドライバーのロニー・クインタレッリ選手。2月17日にSUPER GTのGT500クラスにMOTUL AUTECH GT-Rで出場することが発表されている

 このあと、レーシングドライバーのロニー・クインタレッリ選手がスペシャルゲストとして登場。“PILOT SPORT 4 Sアンバサダー”として、米国パームスプリングスの国立公園で行なわれた試乗会に参加し、実際にPILOT SPORT 4 Sを試したことを報告。その第一印象について「そんなにスピードは出さなかったのですが、すごく乗り心地がよく印象がよかった。メルセデス、フェラーリ、アウディに乗ったが、どれに乗ってもPILOT SPORT 4 Sのハンドリングはとてもよかった」とコメント。

 そしてその後にパームスプリングスにあるサーキットでも試乗したそうで、「コースレイアウトはとくにフロントタイヤに厳しく、(他のタイヤでは)10周連続で走行するとだいたい5~6周でフロントタイヤのグリップが落ちてきて乗りづらくなる。ところがPILOT SPORT 4 Sはずっと性能高いままフルプッシュできた。もし機会があるなら、皆さんにも一般道のみならずサーキットに行ってもらって試してほしい」と、その性能の特徴について紹介。なお、発表会後に行なわれた質疑応答で、ロニー・クインタレッリ選手は10週連続でサーキット走行を行なった際、後半になるにつれタイムアップしていったことも報告している。

「PILOT SPORT 4 S」の性能はロニー・クインタレッリ選手のお墨付き