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鈴鹿サーキット、参戦ライダーや音楽イベント「8フェス」など「鈴鹿8耐」の開催概要発表会

ヤマハ3連覇をめぐる監督のトークバトルも

2017年3月24日 発表

中上選手、伊藤選手、レオン・ハスラム選手が参戦表明した鈴鹿8耐の発表会

 鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドは3月24日、東京ビッグサイトで開催されている「第44回 東京モーターサイクルショー2017」で、「2016-2017 FIM世界耐久選手権最終戦“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース」(以下、鈴鹿8耐)の概要説明と、参戦チーム・ライダーらによるトークイベントを行った。

 2017年の鈴鹿8耐は7月27日~30日に開催される。EWC(Endurance World Championship:世界耐久選手権)のシリーズ最終戦に位置付けられ、鈴鹿でそのシリーズチャンピオンが決まる可能性が高い。例年になく盛り上がることが予想されるレースイベントとなりそうだ。レースは米Fox Sportsにより日本を含む100カ国に放送され、スマートフォン向けアプリとしても提供されている同放送局のサービス「FOX PLAY」でも視聴できる。

2017年の鈴鹿8耐について概要を説明した株式会社モビリティランド 取締役社長の山下 晋氏
日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部 CMOのカリル・ヨウンス氏。スポンサーブランドをこれまでの“コカ・コーラ ゼロ”から“コカ・コーラ”に変更したこと、40回目を迎える鈴鹿8耐の開催を記念する限定版スリムボトルを販売することを紹介した
これまでのスポンサーブランド“コカ・コーラ ゼロ”は黒ベースだったが、2017年は“コカ・コーラ”となり、ブランドカラーとして赤が目立つ形になる
ユーロスポーツ・イベンツ 代表 フランソワ・リベイロ氏。鈴鹿8耐が世界で最高の耐久レースだとコメントする一方で、ル・マンなどで開催しているシリーズ戦の24時間耐久レースに多くの日本のチームが参戦することも期待していると語った

 若年層の来場者が増えていることを受けて「音楽とバイク・モータースポーツの融合」をコンセプトに掲げ、予選と決勝レースが行われる7月29日~30日の2日間通しで音楽イベント「8フェス」(ハチフェス)を開催する。また、「ヤング割」(観戦無料)の対象を従来よりも低年齢層に広げ16~22歳とし、さらなる若年層の取り込みを目指す。

 毎年注目が集まる参戦ライダーは、まだ全ては確定しておらず、交渉中の段階にあるチームも多い。そんななかで、今回Kawasaki Team GREENから2016年に続いてBritish Superbikes(BSB)に参戦しているレオン・ハスラム選手が、MuSASHi RT HARC-PRO. HondaからはMoto2ライダーの中上貴晶選手が、それぞれ鈴鹿8耐に参戦することが発表された。また、ホンダと国内のパーツメーカー16社が共同で「Team SuP Fream Honda」を結成し、伊藤真一選手をメインライダーに鈴鹿8耐に参戦する。

鈴鹿8耐出場が決まった中上選手はビデオメッセージで意気込みを語った
第1回鈴鹿8耐の優勝ライダーであるウェス・クーリー氏が来場することも明らかにされた。
「細かい要求を直接聞いて、ライダーが本当に欲しい部品を作っていく。それを通じて部品メーカーが技術力を高められる」と語ったTeam SuP Fream Hondaの井上光夫監督
「優勝できるマシンを作ってチームに貢献したい。一番いいパーツが真っ先に回ってくると思うので、安心しています」と伊藤真一選手

3連覇、移籍、新型マシン。各チームの思惑がストレートに表現されたトークセッション

鈴鹿8耐に参戦するチームの監督とライダー

 鈴鹿8耐参戦予定チームの監督およびライダーによるトークセッションも開催された。それぞれのコメントは以下のとおり。

MuSASHi RT HARC-PRO. Honda 本田重樹監督
MuSASHi RT HARC-PRO. Honda 本田重樹監督

 昨年、(2連覇の経験がある立場から、ヤマハの吉川監督に)2連覇って難しいんだよ、と言ったら、レースが終わった後に「意外と簡単でしたね」と言われた。だけど3連覇は本当に難しいぞと言ってある。今年は中上貴晶の出場が決定したので、高橋巧を軸として、3人目は(ヤマハの)和多留にはいい思いをさせないようなライダーを招聘しようと思って目下検討中です。

YAMAHA FACTORY RACING TEAM 吉川和多留監督
YAMAHA FACTORY RACING TEAM 吉川和多留監督

(2連覇を達成したので)3連覇を目指したい。(MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaの本田)重樹さんには、いや今年も簡単でした、と言えるように頑張りたい(笑)。今年はファクトリー体勢として、去年と同じく(主力チームと)同等レベルと言えるさらにもう1チーム、計2チームで出ますので、期待してほしいと思います。(ワンツーフィニッシュは)夢ではありますね。

ヨシムラスズキ MOTULレーシング 加藤陽平監督
ヨシムラスズキ MOTULレーシング 加藤陽平監督

(8年ぶりにバイクが新しくなる、と水を向けられ)まだレースしていないのではっきり言えないが、これまでヤマハさんの独壇場でしたけれども、スズキさんが開発を一生懸命頑張ってくれて、それを上回る量産車を出してくれた。ヨシムラはそれにチューニングして挑む。強い決意で1年間開発しています。

Kawasaki Team GREEN 釈迦堂利郎監督
Kawasaki Team GREEN 釈迦堂利郎監督

(2016年の鈴鹿8耐は2位という)いい成績を収めた。ヤマハさんと同一周回というのは誇りに思いますし、レオン(・ハスラム選手)は実力通りの走りで盛り上げてくれて、感謝しています。実はレオンと3月初めに(鈴鹿8耐出場について)契約しました。

Kawasaki Team GREEN 渡辺一馬選手
Kawasaki Team GREEN 渡辺一馬選手

(2016年まではF.C.C TSR Hondaに所属、2017年からTeam GREENに移籍した。コンビを組むことになるレオン・ハスラム選手とは)今年一緒にレースを作っていくことになる。(2016年は)2位表彰台でしたから、それ以上の結果をプレゼントできるように精一杯頑張りたい。移籍は心機一転ということにはなるが、結果を求められて起用してもらったと思うので、期待に応えるために100%力を出し切って、成長もしないと。

Team KAGAYAMA 加賀山就臣選手
Team KAGAYAMA 加賀山就臣選手

 世界レベルの戦いになると思う。(参戦ライダーは)毎年直前で決まる行き当たりばったりみたいで申し訳ない。2013年から鈴鹿8耐に出場させてもらって3年連続表彰台を獲得したけれども、去年初めてチームのトラブルで表彰台を逃してしまったので、今年もしっかりしたメンバーで挑みたい。

MuSASHi RT HARC-PRO. Honda 高橋巧選手
MuSASHi RT HARC-PRO. Honda 高橋巧選手

(中上選手とチームを組むことになり)2010年も一緒に組んだことがあり、実際に本番では走らなかったけど、その実力はわかっていますし、実際にMoto2でも活躍していますし、すごく楽しみ。2015年、2016年と(リタイアに終わって)悔しい思いをしているが、ニューマシンになってポテンシャルは間違いなく上がっていると思うので、期待してもらっていいと思います。

ヨシムラスズキ MOTULレーシング 津田拓也選手
ヨシムラスズキ MOTULレーシング 津田拓也選手

(体が)ちょっとやせた。シーズンオフはMotoGPのテストがあり、それに応じてトレーニングをしていたこともあって、一段と肉体改造できたという感じ。鈴鹿8耐に向けてはかなりいい流れ。(スズキの新しいバイクは)ポテンシャルが高くて、去年まではMotoGPでいうCRTクラス(量産車のエンジンを搭載したマシン)並みだったのが、MotoGPクラスに参戦できそうなくらいの違いがある。